斎場の種類 (選び方)
斎場での葬儀が増加し、自宅で葬儀をする人が急激に少なくなってきています。どのような葬儀にするかによって、適切な斎場は変わってきます。斎場の種類は公営斎場と民営斎場に分類でき、それぞれに長所と短所があります。「斎場利用無料」とうたっているのは、葬儀社所有の斎場の場合です。また、斎場として、地域やマンションの集会所、菩提寺などが利用できることがあります。斎場選びと葬儀社選びは密接な関係にあります。
自宅葬から斎場での葬儀になってきている
斎場とは通夜や葬儀・告別式を行う場所のことです。首都圏では自宅で執り行う葬儀が減少し、斎場を利用しての葬儀へ移行しているのが現状です。
その理由としては、マンションなどのため物理的に自宅葬が難しい状況といったことに加えて、葬儀のために自宅を準備する必要もなく、近所への心遣いが必要ないという遺族の精神的負担が少ないということがあるからでしょう。と同時に、葬儀社にとっても、自宅よりも斎場のほうが手間がかからないため、斎場を勧めるということもあるように思われます。
下記は、2011年に行われた経済産業省の調査結果(安心と信頼のあるライフエンディング・ステージの創出に向けた調査)です。「葬儀場所」について自宅葬が2割を超えていますが、この調査は全国対象なので、都心部だけならもう少し割合が下がると思われます。ちなみに、(財)日本消費者協会の調査報告(神奈川・東京・埼玉地域、2014年1月)では、自宅葬6.3%、葬儀専門式場81.8%となっています。
実際、自宅での葬儀が減少している今の時代、自宅葬の経験がない葬儀社の担当者もいるくらいです。
斎場の種類
斎場を理解するにあたって斎場の種類と特徴を以下のようにまとめましたので参考にしてみてください。葬儀社自社斎場以外は、基本的に場所だけを提供するので、そこで葬儀をするには葬儀社が必要になります。
斎場 | メリット | デメリット |
---|---|---|
公営斎場 | ・費用が抑えられる。 ・火葬場が併設されている場合が多いので移動の必要がない。 ・利用葬儀社の制限はない。 |
・場所が少し不便なところが多い。 ・利用希望者が多いので、待機日数がある。 ・利用資格制限がある。 |
一般的な貸式場 | ・待機日数はあまりない。 ・交通の便の良いところも多い。 ・おおむね利用葬儀社の制限はない。 |
・費用がかかる。 ・飲食が指定業者の場合がある。場合によっては葬儀社の指定もある。 |
葬儀社自社斎場 | ・葬儀のための設備が整っている。 ・自社だけが利用するので融通がきく。 ・担当者は慣れているので流れがスムーズ。 |
・葬儀社の選択肢がない。 |
菩提寺 | ・慣れ親しんでいるところで送り出せる。 ・普段から意思疎通があるご僧侶であれば、何かと相談ができる。 |
葬儀社が指定される場合があり、選択できないこともある。 |
集会所 | ・費用が安い ・慣れ親しんでいるところで送り出せる。 |
ご近所さんには知られるので、家族葬には向かない。 |
自宅 | ・思入れのある場所から故人を送り出すことができる。 ・斎場費がかからない。 |
・部屋の片づけなど対応を整える必要がある。 ・ご近所さんに知られるので、家族葬には向かない。 |
公営斎場
自治体である市や区が運営するものです。使用するには死亡者か喪主がその自治体に在住していることなどが条件になります。区域外の人が利用できる場合もありますが、割高な費用になります。
公営の斎場は、ない行政区もありますが、一行政区に一つ(もしくは複数)ある場合と、複数行政区で連携して一つ持っている場合があります。
一般的な貸斎場
民営の貸斎場は、公営の斎場に比べはるかに数が多いです。
特に大都市圏には、寺院会館が数多くあります。 寺院の境内地などに別途葬祭用の会館を建設して一般に貸し出しています。運営管理するのは仏教寺院ですが、宗派に関係なく貸し出しているため、例えば、日蓮宗の寺院でも真言宗の葬儀に貸し出したりします。どの範囲までの宗派、宗教を認めるかは各寺院によって多少違いますが、神式などにも対応できるところが多数です。
葬儀社自社斎場
互助会やある程度の規模の葬儀社が持っています。自社の所有なので他の斎場に比べ一番融通がききます。一般的にその斎場はその葬儀社しか使えませんので、葬儀社所有の斎場を利用したい場合、葬儀社選びと斎場選びは同じになります。
ちなみに、「斎場利用無料」をうたい文句にしているのは、このパターンの斎場です。
優先順位のつけ方によって、斎場の選び方は変わる
さて、上記のような斎場の選択肢から、実際に斎場をどのように選んでいけばいいのかと言いますと、「どのような葬儀にするのか」に密接に関わってきます。
たとえば、当センターでは葬儀の種類で見たように、どのような葬儀にするのかについて、5つの項目に分けて整理しています。
- 規模(直葬、家族葬、一般葬、大型葬・・・)
- 宗教(仏式、神式、無宗教葬・・・)
- 場所(エリアと具体的斎場。)
- 予算
- サービス
そして、事前の準備段階では、斎場の具体的待機日数や宗教者(菩提寺さん等)の日程の都合はわからないので、実際は日程のことも加味されます。
たとえば、規模や宗教で、「家族葬」ということであれば、大きい斎場よりも家族葬向きの斎場がよいでしょう。「一日葬」ならば、一日貸の斎場があれば選択肢にしても良いでしょう。宗教によって、使えない斎場もあります。
「費用をあまりかけたくない」ということであれば、基本的には市営斎場が良いでしょうし、状況によっては自宅、集会所も選択肢になります。
上記の項目すべて思い通りにいくとは限らず、価格なのか、設備なのか、場所なのか、待機日数なのか、優先順位をつける必要に迫られる場合もでてきます。
- 会葬者の交通の便を考えて、駅が近く、設備がととのっているという条件を最優先したい場合と予算を最優先させたい場合とでは、最適な斎場は違うということも起こってきます。
- 菩提寺さんの都合や、会社をそんなに長い間、休むわけにもいかないということで、日程が最優先であれば、斎場の空き状況をみて空いているところに決めるしかありません。そうなると、混み合うことの多い公営斎場は利用しない選択肢も出てきます。
- 場所は少し遠くても予算を抑えたいという場合は公営の斎場を利用することが第一に考えられます。
- 大規模な社葬であれば、利用できる斎場は限られてきてしまいます。
- 家族葬や密葬であれば、広い斎場を借りる必要はありませんし、会葬者の交通の便もあまり考慮しなくてもいいでしょう。人にあまり知られたくないので、かえって遠くのほうがいいという場合もありえます。
- 葬儀の内容を音楽葬にしたい場合、音楽を流してよい斎場でないとできません。
- 斎場に利用条件があれば、いくら利用したくても利用できない場合があります。
日程を優先させる必要がでてきた場合など、斎場は葬儀社とのやり取りの中で決めていくことも多くなりすので、葬儀社選びさえ間違わなければ斎場選びも失敗しないといってもいいでしょう。自社保有斎場を含めて、どういう斎場に精通し提案してくれるのか、それを見た上で葬儀社を絞り込むことも大事です。
詳しくは、葬儀社と斎場の関係および、葬儀社選びと斎場選びのどちらを優先させるべきかについて別ページで説明していますので、 葬儀社と斎場と火葬場の関係 をご覧下さい。
斎場は、要望に合うところを選ぶこと、そして、よりよい葬儀にするためには、その斎場に精通する葬儀社を選ぶことが大事だと思っています。
実際の斎場選びの流れにつきまして、具体的な実際例を詳細しております、サポート相談事例 をご覧いただきますと、よりイメージがつかみやすいと思います。