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家族葬にする注意点

家族葬とは、主に家族・親族などのお身内を中心とした葬儀のかたちです。最近では希望者が多く専用の斎場なども増えてきましたが、メリットだけでなく、デメリットもあります。家族葬の葬儀でも、葬儀社選びは大切です。

家族葬とは

家族葬の厳密な定義はありませんが、規模としては、家族や親族、親しい友人の範囲だけの葬儀ということになります。同じような意味合いで密葬という言葉も使われますが、微妙なニュアンスの違いとして、密葬は秘密という言葉が連想されますので、少し暗い感じがします。一方、家族葬は、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、こうした意味合いで使われているように思われます。

家族葬という言葉が一般的になってきている通り、家族葬の割合は増加傾向です。公正取引委員会による「葬儀の取引に関する実態調査書」(2016年)の調査では、葬儀の種類別の年間取扱件数は、「一般葬」が63.0%と最も多く,次いで「家族葬」が28.4%、直葬が5.5%、一日葬2.8%でした。

ところが、葬儀業者に対し、直近5事業年度の傾向として、葬儀の年間取扱件数に占める割合が増加傾向にある葬儀の種類について聞いたところ、「家族葬」が51.1%と最も多く、次いで「直葬」が26.2%、「一日葬」が17.1%になっています。家族葬の増加傾向がうかがえます。

 家族葬は規模による分類に位置づけられますので、宗教的な意味合いはありません。それゆえ、仏式であれば僧侶、キリスト教であれば牧師あるいは神父、神式であれば神職にお願いして葬儀をします。

家族葬のメリット

まず、費用を抑えられることが挙げられます。

家族葬の場合、参列人数が少ないので、お料理や返礼品など接待にかかる費用が軽減できます。

式場も大きな式場を使用する必要はありません。例えば、板橋区の戸田葬祭場や千葉県柏市のウィングホール柏斎場などでは、式場の広さによって使用料が異なりますので、家族葬に適した小規模な式場を選べば式場の使用料が軽減できます。式場の大きさに合わせて祭壇も大きなものを選ぶ必要がありませんので、費用の負担が軽減できます。

次に、家族葬の場合、家族だけでゆっくりお別れができることが挙げられます。一般葬の場合、会葬者への対応で精一杯で、故人とゆっくりとお別れする余裕がなかった、と言う声をよく聞きます。大切な人を亡くされたばかりのご家族にとっては、会葬者へ対応・接待しなければならない、という気持の上の負担や身体的な負担が軽減できるのもメリットのひとつでしょう。

当センターのアンケートでも、家族葬を選んだ理由としては、「費用を抑えたい」や、「身内とごく親しい方だけでゆっくり見送りたい」とお答えいただくことが多く、ご相談でも家族葬を希望される方もとても多くなっています。家族葬専用の式場や家族葬に特化したサービスを提供する葬儀社も増えています。

家族葬のデメリット

家族葬は参列者が限られるため、葬儀に参列できなかった人が葬儀後の慌ただしい時に自宅へお線香をあげに訪れたりすることがあり、その対応に追われてしまう可能性があります。

実際にあったケースですが、現役でお仕事をされていたご主人を亡くされ、お身内だけでの家族葬で葬儀を行ったところ、葬儀を終えてまだ手続きなどがある忙しい時期に「お線香をあげさせてください」と、連日、代わる代わる色々な方が自宅に訪問し、その対応の大変さから、「他の方にも葬儀のときに声をかけてお別れをしてもらえばよかった」と後悔した、という経験をされた方がいらっしゃいます。

このケースでは、故人様がまだ若く、現役の会社員だったということでこのような事になってしまったとのことですが、すでに現役から退いている方でも、例えば教職だった方の場合には、多くの教え子さんたちがお別れをしたいと思われるかもしれませんし、会社にお勤めになっていた方でも慕っていた後輩の方々や得意先、取引先の方々などでも最期にお別れをしたいと思う方がいらっしゃるかもしれません。

また、葬儀に呼ばれなかったことで喪家から軽く見られているという印象を持たれてしまい、その後の関係がうまくいきづらくなってしまうことも考えられます。「自分も最期のお別れをしたかった」と言われ、家族葬にしたことを後悔したという方もいらっしゃいます。

家族葬で気をつけるべきこと

家族葬は、ご対象者の意思や、自分だけで葬儀のやり方を決定してよい場合もありますが、家族や親族など関係者の意向を確認し調整しておいたほうがよい場合があります。

家族葬がご本人のご意向ですと周りを説得しやすいですが、現在のところ家族(奥様・ご主人、お子様等)で決められるケースも多く見受けられます。身内でのトラブルの原因を作らないためにも、特にご本人様と血のつながりのあるご両親、兄弟、姉妹等の了解をあらかじめ得ることが大切です。

身内にうまく根回し・調整したとしても、先ほどのデメリットで挙げた、「自分も最期のお別れをしたかった」 と非難される場合もあります。

それゆえ、家族葬にする場合は、誰を呼ぶのかを慎重に決めなければなりませんし、呼ばない人へも、失礼のないような形にしたいものです。

さて、家族葬は内々で行う葬儀のため、情報が外部に漏れてしまった場合、人が来てしまい、葬儀の際に混乱をきたしてしまう事があります。

以前、斎場を持つお寺のご住職から伺った話しなのですが、お寺のご近所の方のご葬儀で、家族葬にするということになり、式場を半分に仕切って使う予定でいたところ、準備の段階で供花の申し込み数が多くなってきたため、ご喪家に状況を聞いてみると、ご近所の方に葬儀を行う事を言ってしまったとのこと。故人様は町内でご活躍されていた方だったため、急遽式場の仕切りを外し、大人数を受け入れる一般葬の体制に変更して対応したそうです。結果、そのご葬儀では近隣の方を含む200名ほどの方が参列に訪れたとのことです。

また、自宅に安置をしたい場合や、自宅で葬儀を行いたい、また、自宅から近いところの式場を使いたいという場合、ご近所の方とのお付き合いの仕方によっては、家族葬では難しくなることが考えられます。

自宅に安置をすると、葬儀社が毎日ドライアイスの交換をするために自宅に訪問します。また、自宅で葬儀を行う場合は、多くのスタッフの出入りがあります。普段あまり見かけない人や黒いスーツを着た人の出入りは意外と目立ちますので、近隣の方に葬儀が行われることがわかってしまい、ご安置中や葬儀の際に弔問に訪れたりすることがあるかもしれません。せっかく来てくださった方を門前でお断りすることもなかなかできないことだと思いますので、自宅でお身内だけでの葬儀を行う場合には、近隣の方への配慮が必要になる場合があります。

自宅から近いところの式場を使う場合は、近隣の方に葬儀が行われることがわからないようにと、式場に看板を出さないなどの対応をしてくれることもありますが、あえて自宅から離れたところの式場を選ぶ方もいらっしゃいます。

最後に、家族葬のメリットの中で、「費用が抑えられる」と書きました。たしかに葬儀社からの請求金額は押さえられます。ただ、会葬者が多くなるということは、香典収入も増えるということです。これを含めた収支で見た場合、家族葬のほうが必ずしも一般葬より費用を抑えられるとは限りません。たいていの場合は、やはり家族葬のほうが抑えられると思いますが、それでも、思ったほどのことでもないかもしれません。

いずれにしても、家族葬を選ぶにあたっては、費用を抑えることなどだけでなく、故人様の生前のご活躍やご家族の状況などを踏まえ、人間関係の基本的な事を忘れないように気を付けることも大切です。

家族葬でのお知らせの仕方

ご相談では、家族葬で葬儀を行うためにはどうやってお知らせをしたらいいかというご質問されることがあります。

最近では「家族葬」という言葉もずいぶん浸透してきていますので、ご逝去の連絡をする際、葬儀前の段階でしたら、『葬儀は近親者のみで行う』ということと『一般の方のご参列はご遠慮いただきたい』ということをお知らせをすれば理解して頂けることも多くなったようです。

葬儀を終えてからご逝去のお知らせをする場合には、例えば、「故人の遺志を尊重し、近親者のみで葬儀を行いました」というかたちの書面を郵送します。お知らせはできるだけ早い段階でお送りするとよいでしょう。

葬儀前に連絡か、葬儀後に連絡か、どちらが正解ということはないので、実際の状況を見ながら、故人の交友関係の深さと広さを踏まえ、関係者の反応を予想しながら判断するほかありません。

葬儀前に連絡すれば、先ほどの、町内でご活躍されていた故人様の例ではないですが、知ったからには会葬に行かなければ、と思う人が出てくる可能性があります。しかし、葬儀後の報告のように、「なぜ知らせてくれなかった」という非難はなくなります。

身内でゆっくりお別れ、混乱させないことを優先し、葬儀後に報告するという選択肢もあります。

それでも、「なぜ知らせてくれなかった」と非難され、その後の関係がうまくいきづらくなってしまうことが予想されるような、ごく親しい人にだけは、葬儀前に電話などで直接伝えるという方法も有効かもしれません(他の人には葬儀後に伝えると含みを持たせて) 。

家族葬に適している斎場

公営の斎場などでは、複数の式場から葬儀の規模に見合った式場を選ぶことができるような所があります。

例えば、町田市にある南多摩斎場では35席、80席、103席の3つの式場の中から、葬儀の規模に合わせた式場を選ぶことができます。

上の方でも少し触れましたが、家族葬の場合、大きな式場で行う必要がなく、それに伴って祭壇も小さなもので対応できます。また、なにより、式場の広さが人数にちょうどよい広さであることは満足にも影響があるようで、ご利用者からのアンケートでは、使用した式場についての感想で「ちょうどいい広さでした」や「こぢんまりしていて来てくださった方々とゆっくり話しができました」など、よかった点としてご回答いただくこともあります。

ただ、多くの公営の斎場では、家族葬で葬儀を行いたい人が増えていることから、小規模な式場の予約の方が先にうまってしまい、大きな式場は空いているのに、家族葬規模の式場は何日も待たなくてはいけないという状況になる場合もあるようです。

このような場合、少しでも早い日程で葬儀を行いたいと思っている方や、待っている間の安置やドライアイスにかかる費用などを踏まえて、やむを得ず大きな式場に変更する方もいらっしゃいます。

大きな式場の場合、広さに見合うように大きな祭壇を勧められたりすることもあるかもしれません。また、空間が多くなるため、淋しい感じがしたと感想をくださった方もいらっしゃいました。

公営斎場以外の民間の式場でも、寺院の会館や葬儀社の自社会館などは家族葬に適した大きさの式場が多くなってきています。葬儀社や寺院が保有する式場は、一日一喪家の利用が多く、周りを気にせずゆっくりお別れをすることができるとうメリットもあります。そして、利用頻度が高く待機日数が多い公営の斎場よりも、早い日程で式ができることも多いので、公営の斎場が第一希望だった人も、葬儀社などの式場で施行することもよくあります。

家族葬の流れ

家族葬とは、葬儀の規模を表現する言葉のため、家族葬だから何かを特別な儀式を行うということはなく、葬儀は各宗教の流れに従って進行されます。

例えば、仏式の葬儀であれば、通夜・告別式・火葬、神式の葬儀であれば、通夜祭・葬場祭・火葬祭の流れで執り行われます。

ここでは、葬儀式中の細かな流れではなく、ご相談でよくご質問をいただく、ご臨終から葬儀終了までのご喪家の目線での流れを仏式の葬儀を例にとって説明いたします。 

家族葬の流れ(仏式の例)

臨終 医師による死亡確認
(病院などで亡くなった場合はこの後お身体のケアをしてくれるところなどがあります。)
葬儀社へ依頼 葬儀社へ連絡し、寝台車に迎えにきてもらいます。
この時点で葬儀社が決まっていない、どこの葬儀社を選べばいいかわからないなどのような場合、センターへお電話いただけば速やかに葬儀社のご紹介をいたします。
(寝台車の到着までに多少の時間がかかる場合がありますが、慌てる必要はありません。)
自宅でお亡くなりになった場合は、葬儀社に自宅に来てもらいます。(ドライアイスでの処置は死亡診断書を受け取ってから行います)
搬送※納棺安置 故人様を安置するところへ搬送します。自宅での安置が可能な場合は自宅へ、自宅での安置が難しいような場合には、葬儀社が保有、または提携してる安置所へ搬送、ご安置となります。
安置所に安置をする場合、納棺してある状態でないと受け入れられない安置所があります。そのような安置所を利用する場合には、先に納棺をしてから安置となります。
葬儀打ち合わせ見積書作成 菩提寺がある場合には菩提寺に報告をし、ご都合を伺います。斎場の空き状況と照らし合わせ、この時点で葬儀の日程が決まります。
打ち合わせにより、葬儀社からの説明を受け、必要なものの内容を決めていきます。
見積書は必ず書面で受け取りましょう。また、説明でよくわからないことや、心配なことがあるようでしたら、必ず担当者に確認し、説明をして頂いてください
通夜 通夜が執り行われます。通夜の後、お清めのお食事を召し上がります。
告別式出棺 告別式が執り行われます。
告別式の式中に初七日法要も執り行う場合があります。
最後にお別れの儀(お花入れ、喪主挨拶等)が執り行われ、出棺となります。
火葬 火葬場へ移動し、ご火葬。
(火葬時間が長い火葬場では、火葬の待ち時間に精進落としのお食事を召し上がることがあります。)
精進落とし 火葬時間が短い火葬場(主に都心部)の場合には、式場へ戻って精進落としのお食事を召し上がります。
(ご僧侶によっては、告別式の式中ではなく、ここで初七日法要を執り行う場合があります。)
※納棺をしていない状態で安置をしている場合、また、ご自宅に安置をする場合の納棺のタイミングは、葬儀社と相談して決めます。

家族葬では、担当者によって満足度が左右される

家族葬に特化したサービスを提供している葬儀社が増えていて、ホームページなどで「〇〇区 家族葬」と検索しただけでも多くの葬儀社の情報が出てきますが、サービスや葬儀社の特徴、担当者の対応などはどの社も同じということはありません。ネットの情報だけでその葬儀社がどのような社なのか、担当者はどんな人なのか、どんな対応をしてくれるのかを把握することはできません。

とくに、家族葬での葬儀では担当者の重要度が増します。最初から最後まで同じ人対応してくれることが望ましいですが、そのうえで担当者を信頼できるか、すべてをまかせることができるかどうかという事は葬儀の満足度に大きく影響してきます。

よりよい家族葬にするためには、斎場と葬儀社選びも大事

家族葬などごく内輪だけで行う葬儀では、「温かい葬儀にしたい」と希望されることが多く、人数に見合わない大きな式場では空いている空間が寒々しく感じかえって寂しさが増してしまうこともあるようです。

家族葬での葬儀でも、人数に見合うような斎場を選ぶことが大切です。

センターでは、状況に応じた式場の提案のみならず、葬儀社も担当者レベルまでの把握に基づいてご紹介させて頂いていますので、闇雲に選んだ複数の葬儀社の担当者と直接やり取りをするよりも、労力が軽減され、確実な対応が期待できるように思います。

家族葬のまとめ

・お身内の方だけでゆっくりと故人を見送ることができる葬儀です・メリットだけでなく、デメリットについても理解しておくとよいでしょう。

・親族や故人の友人関係などへの調整が必要になる場合があります。

・家族葬の規模にあった斎場を選ぶとよりよいでしょう。

・家族葬に特化した葬儀社が増えていますが、どの社に依頼しても同じではありません。担当者と合う・合わないなどは葬儀の満足度に大きく影響します。

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