「自宅からのご葬儀は私の願いでした」
ご主人を亡くされた奥様から、先日ご葬儀のご報告をいただきました。
「区内にも斎場は沢山ありますが、今回は夫と働いて家を建て、この良い環境の所でと私の長年の願いからです」
以前はご自宅からのお見送りがごく一般的でしたが、昨今は都会を中心に、住宅事情やご近所への配慮、はたまた準備への煩わしさ等、色々と取りざたされ、病院から安置所、斎場、火葬場とのコースがいつの間にか主流を占め、ご家族の思い出が詰まったご自宅の存在が薄くなり、ご葬儀の流れも大分様変わりをしてまいりました。
それでも、ベテランのご葬儀の担当者の方は「できれば一旦はご自宅の方へ」とアドバイスをされるとのこと。
以前、ご葬儀の立会いでお伺いした折の「奥様の想い」が思い出されます。
長患いの末、お亡くなりになられたご主人の長い入院生活を、病院近くのウイークリーマンションで支え続けた奥様は、ご主人とご一緒に1年9ヶ月ぶりにご自宅に戻られ、最初にされたことは、長い間閉めっぱなしになっていた雨戸を明けて、ご主人のご自慢だったお庭を見せてあげられたことでした。
お疲れのお顔がほっと安堵されたご様子に、お伺いした当方も思わず大きく頷いたものでした。
ご自宅での御葬儀はご喪家の方々にとりましてご負担とお感じになる方もいらっしゃるようですが、最近も病院でのご逝去後、一旦ご自宅に搬送され、数日間をお過ごしになられた後、ご葬儀は斎場にて執り行われた例もございます。
ご自宅でお過ごしになられた数日間はご近所の商店街の方々が多数、最後のお別れにお見えになり,にぎやかなお別れとなられたご様子です。
ご葬儀はお身内だけでしめやかに執り行われたとのご報告をいただいております。
また、以前いただいたご報告には、ご自宅への想いが綴られておりました。
「亡くなるずっと前に、病院から安置所へ行く途中で、自宅前を通ってほしいと要望を伝えておりましたが、亡くなった当日、私も家族もそのことをすっかり失念しており、葬儀社さんが思い出して自宅前で暫し停車し、お祈りをしてくれました。元気で帰ってこれなくて・・・悲しいし、無念でしたが、一瞬でも立ち寄って頂けたことで、心が救われた気がします。このタイミングをおいて他になかったですから。また、この際に、足が痛い母を一緒に車に乗せていただき、本当に助かりました」。