祭壇はどちらをお選びになりますか

 白木祭壇と生花祭壇を比較すると、最近では生花祭壇がよく選ばれているようです。
 生花祭壇は高いのでは?と思っていらっしゃる方も時々いらっしゃいますが、価格は一昔前よりも抑えられ、葬儀社によっては生花祭壇のほうがリーズナブルな価格で対応しているところも多くなってきました。

 センターではご相談の際にどのような祭壇をお望みか伺っていますが、最初白木祭壇を希望されていた方でも、やり取りの中で生花祭壇に決める方は多いです。
 生花祭壇はその故人様のためだけに作られる祭壇というところも決め手になる一因のようです。

 一方で、以前対応したご相談では、「主人のイメージは白木祭壇のほうが合っているので」とあえて白木祭壇をお選びになられた方がいらっしゃいました。
 ご葬儀後に拝見させて頂いた写真には、多くのご供花に囲まれた中央に厳粛なイメージの白木祭壇が飾られ、故人様がどのような方だったのかが伝わってくるようでした。

 葬儀社の自社会館など、昔は斎場に備え付けられていた白木祭壇も、今では使う人が少なくなり、持て余してしまっているところもあるようだと聞いたことがありますが、昔ながらの日本のお葬式の雰囲気がある白木祭壇もいいものだな、と思うことがあります。
 
 
 
 

 

白木祭壇と生花祭壇

センターのご相談フォームには、どのような祭壇を希望されるかチェックを入れていただく項目があります。
まずは、白木祭壇、花祭壇、その他 の3つのうちからお選びいただいているのですが、最初のご相談の段階では白木祭壇にチェックを入れている方の方が花祭壇を選ぶ方よりも多く、「その他」は直葬など、祭壇を必要としない方がチェックを入れています。

白木祭壇を希望されている方にその理由を伺うと、「祭壇のことはよくわからないので、とりあえず白木祭壇にチェックしました」、「花祭壇は高いと思ったので」、など、積極的に白木祭壇を選んだというという感じではありません。
映画やドラマ、以前参列した葬儀など、日本のお葬式を思い浮かべると白木祭壇での葬儀の様子が目に浮かぶからなのでしょうか。

ただ、実際のご葬儀では、最初白木祭壇を選ばれた方でも、斎場に常設されている白木祭壇をご利用になる以外の方は、生花祭壇を飾ってのご葬儀にされることが多いようです。

生花祭壇にされた理由としては、その故人様のためだけにその都度作る祭壇であることや、祭壇に使用した花はお別れの際にお棺に入れてあげることができるので、たくさんのお花に囲まれた状態でご出棺できること、また、花の数の増減やデザインによって、葬儀の規模や予算に比較的柔軟に対応できるところなどのメリットが挙げられます。
また、自社会館を持たない葬儀社さんは、白木祭壇のセットを保管しておく倉庫を準備することや手入れなど、維持していくことが難しい状況にあることも、生花祭壇を勧めする理由の一つです。

以前、白木祭壇にチェックを入れられていたご相談で、理由を伺った際、「主人のイメージからすると、白木祭壇の方が合うような気がするので」と、奥様がご主人を想う気持ちから選んだというお返事をいただきました。
ご相談から程なくして執り行われたご葬儀では、大きな白木の祭壇の周りに皆様から頂いた多くの白い菊の供花が並び、故人様とはもちろんお会いしたことがありませんが、どのような方だったのかの想像ができました。

式場に入ると一番最初に目につくであろう、正面に飾られた祭壇はご家族の想いが込められています。
白木祭壇でも、生花祭壇でも・・。

葬儀社さんのこだわりは。

 生花祭壇を選ぶ方が多くなってきてから、ずいぶん長い年月がたち、葬儀社によって色々とこだわりを持って祭壇を作っている所も多くなってきたように思います。

 センターの賛同葬儀社さんの中でも、生花祭壇にちからを入れている葬儀社は複数あり、そのこだわりについてはさまざまです。

 以前、葬儀社の担当者から伺った話しでは、お父様のご葬儀よりお母様のご葬儀のほうが祭壇のデザインやお花の色味などの希望をおっしゃる事が多いように思いますとのこと。
 ご生前、花が好きだったので、庭にはいつも母が育てている花が咲いていたのでなど、お母様をイメージできるお花があるからなどの理由があるからかもしれません。

 また、他の葬儀社さんにお邪魔した時にお聞きした話しでは、生花祭壇に使う花は、リクエストが無い限り、「百合なら、誰が見ても百合と分かるものを、バラならば遠くから見てもバラと分かるものをなど、花に詳しくない方でも何の花が使われているかわかりやすい種類の花をつかうようにしています」とのことでした。
 百合といってもその種類は多く、ぱっと見て百合と分からないかもしれないようなものもありますが、誰が見ても「百合」と分かれば、「綺麗な百合の祭壇」と印象に残して頂けるかもしれません。
 小さなこだわりかもしれませんが、そんなこだわりも心づかいのひとつにつながるように思います。

 規模やプランによって祭壇のデザインや大きさが違ってくる生花祭壇ですが、その故人様のためだけに作られるものですので、故人様のイメージで作って頂くのもいいかもしれません。
 お花の色味などは、ほとんどの葬儀社さんで希望に対応して頂けます。

担当者さんの心配り

 生花祭壇の花は、ご出棺前のお別れの時に皆様の手でお柩の中に納めることが多いのですが、祭壇が大きく、全ての花がお柩に入りきらないような場合、残った花で花束をいくつか作り、ご喪家やご親戚の方々にお持ち帰りいただくようは計らいをしてくれる葬儀社さんもあるようです。

 我が家ごとではありますが、以前義父の葬儀を行なった際、骨葬だったため葬儀の時には柩が無く、祭壇に使った花は片付けの際に花屋さんが持ちかえるものだとばかり思っていたのですが、ほとんどの花を花束にして、持ち帰れるように準備してくれていました。
 先に家族だけで火葬を行ない、後日に告別式を行なうという順番の違う葬儀だったため、最期のお別れが出来なかった義父の兄弟たちが、義父のために作った祭壇の花をよろこんで持ちかえって下さいました。仲の良かった兄弟でしたが、火葬に立ち会えなかった事には一切触れず、葬儀が終わって数日後に、「あの時もらった花のおかげで弟を偲ぶことが出来た」と伝えられた時、改めて葬儀社の担当者と花屋さんの心配りに感謝しました。

 葬儀社さんにとっては小さな心配りやあたりまえの気配りだったとしても、受け取る側にとってはとても大きく感謝したいものになることもあるようです。

その方のためだけの生花祭壇

 生花で作った祭壇が飾ってある式場に入ると、まず、花の香りが式場の中いっぱいに香っています。普通に生活をしている我々は、あれだけ沢山の花を見るのは、生花祭壇くらいなのではないかと思いますが、あのような綺麗な祭壇を数時間で飾る花屋さんの準備は本当に大変だと思います。
 限られた時間内で完成させなくてはならないわけですから、事前の準備もさぞ大変なことと思います。
左右のバランスのチェックやなど、細かな微調整を行なって造られた祭壇は大きい、小さいに関わらず、いつもとても綺麗にできあがっています。

 祭壇と共に念入りに位置を確認しているのは供花です。左右対称の位置に飾られた供花は、祭壇と共に配置のバランスを念入りに調整し、祭壇を更に大きく見える手伝いも担っているかのようです。
 供花は、白い菊をメインにしたものや洋花で造られたものが多いかと思いますが、以前立ち合いで伺ったご葬儀では、祭壇に使っている花と同じ花を使用した供花を飾っていました。まるで一つの大きな祭壇のように見えるほどとても綺麗だったのを覚えています。

 センターでは、立会いに伺えなかったご葬儀は、葬儀社さんにご協力いただき、祭壇やご葬儀の様子の写真を拝見させていただいています。
 祭壇は各社それぞれのデザインがあり、また、故人様のためだけに作るものということから、ご家族の希望で個性的な祭壇になる場合もあります。実際の立会いや施行写真を拝見し、多くの祭壇を見てきましたが、みな同じではないというところが、生花ならではのいいところだといつも思います。

 最近では、白木祭壇よりも生花祭壇の方が費用を抑えられるプランを用意している葬儀社さんも多く、最期に故人様のお棺に沢山のお花を入れてあげることができる生花祭壇は、これからもますます希望される方が増えていくのではないでしょうか。

生花祭壇の役割

 センターでは、ご相談の初めの段階で一度祭壇についてお伺いしますが、宗旨宗派を問わず、年々、生花祭壇を希望される方が増えてきているようです。
 
 生花祭壇は式場内を華やかに飾るだけでなく、故人様やご遺族の要望をかなえやすく、その方のためだけに造られるものというのも理由の一つかと思います。
 また、たくさんの花で送りたいと思われている方も多く、祭壇で使った生花はたいていの場合、ご出棺前のお別れの際に皆様でお柩におさめられるので、最期に皆様が故人様とお別れをする時間を少しでも長くしてくれるのにも役立っているのかもしれません。

 ときどき、仏式の葬儀でも生花祭壇を選んでもいいのでしょうかなどのご質問をいただくことがあります。昔ながらの葬儀をお考えの方などには、仏式での生花祭壇に少し抵抗がある場合もあるようですが、葬儀社さんとの打ち合わせなどで気持ちが変わり、生花祭壇に変える方もいらっしゃいます。
 また、神道でのご葬儀では白木の祭壇を使用される方が多い中、神道用の生花祭壇を提案する葬儀社さんもあります。

 故人様のイメージや好きだった色や花で飾られることも多く、故人様が男性の場合には、白やブルー、紫色などの寒色系の花をメインに飾ることが多いように思うのですが、お父様のご葬儀の祭壇をピンクの花で華やかに飾ら れたご葬儀もありました。 ご相談当初から生花祭壇で見送られることを強く希望されていたご家族でしたので、生花祭壇にちからを入れている葬儀社さんをご紹介させていただきました。
 祭壇は遺された奥様と娘さんのご希望でピンク色の花をメインに使用したとのことです。
 立会いに伺えなかったご葬儀でしたので、その祭壇の写真を見せていただいたのですが、あくまで私の想像ではありますが、とても仲の良いご家族という印象をもちました。

 葬儀に対する考え方は千差万別ですが、生花祭壇はそれぞれのご家族の送る想いをかなえることにも一役かっているのではないかと思います。

柩を祭壇前に置くのはルール違反か・・・?

 仏式のご葬儀に立ち会って祭壇の前に柩が置かれているのをごく普通の光景のように捉えていましたが、柩は祭壇の後の高い位置に安置されるのが正式だそうです。

 しかし現実、斎場の祭壇スペースの問題や会葬者の方々が故人とのご対面を希望され、柩に近寄ってご面会し易いようにするために、祭壇の前に置かれるケースが多くなってきているのも事実です。

 以前ですと、ご自宅での葬儀・告別式が多く、ご面会はご家族・ご親族に限られ、すでに納棺の前にお会いされていて、後はご出棺前に最後のお別れをされるだけでしたので、最近のようなご対面のために気遣う必要なかったとお聞きしました。

 一方、斎場の祭壇両脇は供花が並び、祭壇後にご安置するスペースの確保も難しい状態では、前にご安置せざるをえない状況もあります。
 さらに、宗派を問わない生花祭壇の普及が輪を掛けているようにも思われます。
 別な見方をすれば、柩を生花祭壇の前に出して、むしろ、宗教色を薄め、故人を中心としたアットホームな雰囲気のご葬儀を希望されていく傾向が見受けられるようです。
 
 それでも祭壇の最上段に飾られたご本尊の前に柩を置くのは本末転倒ではないかと読経されるご住職から苦言を呈されそうですが・・・。

その人らしさを演出する花祭壇とは・・・。

 ヒマラヤで撮影中、雪崩に巻き込まれた山岳テレビカメラマン・中村進さんのご葬儀の記事に荼毘に付されたチベット・ラサの青い空と白い雲をイメージした花が飾られたと記されていました。
 
 最近のご葬儀では都会を中心に、男女を問わず祭壇と言えばお花が主流を占めてしまった感があります。
 少し前までは花祭壇は白木祭壇に比べ割高でしたが、お花の方が量の多少でお値段的にも融通が利き、ご要望にもそいやすく、また、ご喪家側も最後柩に納めることができ、飾ったお花は使い切ることができる安心感も手伝い、いつの間にか逆転されてしまったようです。
 お花が少数の頃はただ華やかさだけに目を奪われていましたが、最近はその方らしさが出た花祭壇が演出されてきています。
 
 スキーが趣味の方には雪山をイメージした祭壇で奥様から感謝され、長年シップドクターを勤めた方には船をイメージした祭壇で、集まった同僚の方々も大いに感激されたとの報告を受けています。
 ご葬儀が母の日と重なり、遺影の周りを急遽沢山の赤いカーネーションで囲んだり、赤が好きだとだけ伺い創った祭壇を一目見た奥様が結婚式の時のブーケと同じ花とびっくりされたりとバラエティーに富んだ祭壇が目につくようになってきました。
 
 お花に託された最後のメッセージを皆様に受け取っていただき、そのお気持ちをお別れ花として柩に入れていただく。
 形式だけではない、それぞれ個性あふれるもの、こだわりのものに変わっていく気配が感じられます。

花祭壇は花で故人の個性をあぶりだします。その人らしさを大切に。

 「朝取りの石楠花(シャクナゲ)を柩に入れてやります」高蔵院のご住職の言葉です。
 春から初夏にかけて白、ピンク、真紅と色鮮やかに境内で咲き誇っている石楠花がお別れ花と一緒に収められます。
 一名、仏の花とも言われ、チベットのブータンからやって来て株分けされた花は、新たな役割を果たしているようです。
 それは柩の故人を見守ってくれているようにも、また朝露を含んだ取れたての花の生が現実の死を際立たせて、より一層死を深く見つめさせているようにも思われます。
 花は時として、人の心の中まで入り込み揺さぶる力をも持っているようです。
 
 最近、都会を中心に花祭壇の需要が圧倒的に増えてきています。花祭壇は同じ色、同じ形の花が使われても出来上がってくるものは異なります。似た感じのものがあるだけで、花の持つ力や訴えてくるものは一つひとつ違います。
 花祭壇というと花の美しさや色鮮やかさに目が行き、豪華さを競いがちですが、故人の好みや気持ちを汲み、故人らしさを土台にできるか否かで作品の出来具合も違ってくるように思われます。
 祭壇のイメージと故人の思いがより一体となるほど、悲しみの中にも落ち着いた心安らかなお見送りができ、お集りの方々にご満足頂けるようです。
 
 シンプルだけれども華やかなイメージを持つもの、シンプルだけれども力強さが感じられるもの、やさしさが強調されたもの、それぞれのイメージから、在りし日の故人を偲ぶことができます。
 

市営斎場の常設祭壇使用で葬儀費用が半減できる

 葬儀費用を大きく左右するのは祭壇費用です。
 その祭壇が公営斎場で無料(斎場費に含まれる)、若しくは数千円から1万円前後で借りられる地域があります。
 関東地方でも千葉、埼玉方面の方は特にこの恩恵に与れます。
 都内、神奈川地域の方は残念ながらありません。生花祭壇を除いた仏式、神式、正宗、キリスト教とそれぞれに対応します。、
 千葉県の方の場合は千葉市斎場が無料、馬込斎場(船橋市、習志野市、八千代市、鎌ヶ谷市各市内の方)が1回標準型3700円、大型4300円。ウィングホール柏(柏市、流山市、我孫子市内の方)が15000円、野田市関宿斎場が10500円。
 埼玉県の方の場合は、さいたま市浦和斎場が1時間390円、さいたま市思い出の里会館が第一葬祭場用1時間2100円、第2葬祭場用1時間1250円、さいたま市ひかり会館が1時間2800円、市内貸出1回(2日)2650円、朝霞市斎場が1回15000円、越谷市斎場は斎場費に含まれる等ざっと見ただけでも使用料はまちまちですが、通常の10分の一から20分の一という安さで借りられます。
 ほとんどが斎場に常設されていて、この祭壇のみ使用というところと、持ち込みのできる場合等は常設の祭壇前に飾ったり、なかには常設の祭壇を後にずらすことができる斎場もあります。
 また常設の祭壇上は生花を飾ることができないというハンディもあります。
 生花で飾りたい場合は柩の周りと棺の前だけになります。この場合は葬儀社により異なりますが、プラス10万円ほど加算されるようです。
 費用の面だけを考慮すると、斎場費を加算しても民営の斎場とはかなりの差ができますので、
 特に家族葬等で費用を極力抑えたい方には朗報だと思います。