無宗教での葬儀

無宗教の葬儀は形式にとらわれることなく、故人様やご家族のご意向を自由に取り入れることができるご葬儀のかたちです。

宗教離れや核家族化など、事情は様々で、テレビ・マスコミや、葬儀社のホームページなどで知ったという方もいらっしゃいます。

無宗教のご葬儀は、葬儀社からの提案もさることながら、依頼する側にも「こうしてほしい」や、「これを使ってほしい」、「これをやりたい」などのある程度具体的なご要望を提示することで、よりその方らしいお送りかたができるのではないかと思います。

例えば、故人様のご趣味だった絵画や写真などの作品を式場内に個展風に展示をしたり、音楽を演奏されることがお好きだった方は、お仲間達が故人様をしのびながら思い出の楽曲をお式の中で演奏する、また、式中に故人様のご生涯を司会者がナレーション風に読み上げるなど、さまざまな方法があります。

しかし、自由なかたちでやるためには、ご遺族様側はご心痛な中でもご葬儀の準備に携わらなければならない場面もでてきます。
また、式場なども限られてくる場合がありますので、無宗教葬をご希望される方は、無宗教葬に精通している葬儀社を選ぶことが大切であり、可能であれば、事前に相談をされるのがよいかと思います。

いろいろな事情により、まだ無宗教のご葬儀が浸透していない地域などもありますが、これからは少しずつ増えていくのではないでしょうか。

神式での葬儀で気を付けたいことは・・。

 神式での葬儀については、家族ぐるみで信仰をしていれば問題はおきないかもしれませんが、故人様だけがその信仰を持っていたような場合は、少し面倒になることもあります。
 たとえば、菩提寺があり、そこに納骨するという場合です。この場合、菩提寺から戒名をもらわないと納骨させてもらえないということが起こります。  菩提寺である寺院墓地は檀家制度によって寺院を維持している宗教集団なので、檀家になることが条件で納骨できるというわけです。

 故人様の信仰を尊重し、神式で葬儀を行うということになれば、お墓は違うところに設ける必要が出てくることになります。もしくは、故人には悪いけれども葬儀そのものを神式にしないというように、遺族が現実的な選択をするかもしれません。こうした問題には正解はありませんので、故人様の生前の遺志をからめて、関係者による合意如何によります。

 もちろん、納骨先が菩提寺ではなく、公営墓地や宗教不問の民間墓地であれば何の問題もおきません。

葬儀の時にお経をあげなくても・・。

 無宗教の葬儀を希望しているとご相談いただいた際、なぜ無宗教をお選びになられたのかをお尋ねすると、「本人の希望で」とお答えいただくことが多いように思います。
 「本人が宗教を信仰していないので」や、「好きな音楽で送ってもらいたい」など、理由はそれぞれで、ご家族はご本人の希望をかなえてあげたいという気持ちで無宗教の葬儀をされる方も多いと思います。

 以前、無宗教葬をよくやっている葬儀社の担当者と話をする機会がありました。
 故人様は生前、ご家族に「自分の葬儀にお経はやめてほしい。」と遺し、無宗教で葬儀を行ったのですが、ご葬儀後にご家族が「本当にお経は必要なかったのでしょうか、ちゃんと成仏できてるんでしょうか」と心配になりご相談にこられたそうです。

 日本人の8割は仏式で葬儀を行っているとのことで、たとえ菩提寺がなくても葬儀ではお経をあげてもらいたいと希望される方も多い中、無宗教葬は宗教色がないため、ご家族にとって大切なお身内をきちんと送れたのか気になってしまったのかもしれません。

 担当者は、「ご心配ならば、納骨の時にお経をあげていただくといいかもしれませんね」とお答えしたそうです。

 ご家族、ご親族が同意している積極的な理由から無宗教での葬儀を選んだ方にとっては満足が大きくなるような葬儀の形だと思いますが、この話しを聞いて、このご家族のお気持ちもわからないではないな・・と思いました。

満足度が高い葬儀を行った人が感じたところは・・

 日本では約8割ほどの葬儀が仏式で行われているそうです。それに伴って、仏式の葬儀に参列した経験がある方も多いと思います。

 参列者として仏式の葬儀をみた場合、葬儀の流れなどはどれも同じように感じるかもしれませんし、どこの葬儀社でも同じような対応をしているように見えるかもしれませんが、ご喪家の立場からみた場合、葬儀社はどこも同じではありません。

 ご喪家にとって葬儀社との関りは大切な人を亡くされた直後からはじまります。

 センターからのアンケートにご回答くださった方の多くは「分からないことも、聞くときちんと答えてくれるので安心してお願いすることができました」、「遺族の立場にたった対応をしてくれました」、「どんな質問にも明確な答えが返ってくるので安心できた」など、葬儀社の担当者の対応面で満足を感じられているようです。

 葬儀社の担当者と合う・合わないということは葬儀の満足度に大きくかかわるところですので、どこの葬儀社でも対応が可能な仏式の葬儀であっても葬儀社を選ぶことは大切です。

菩提寺との関係は良好ですか・・・。

 仏式のご葬儀の場合、菩提寺サイドでは通夜、葬儀・告別式の一連の流れに本義があり、直葬、1日葬への省略は難しいとも言われてきましたが、最近ではご喪家の事情を汲み取り、ご相談によっては臨機応変な対応も考慮されてきているようです。

 先日も当初、ご自宅のある横浜では火葬のみで済ませ、後に田舎の菩提寺にて骨葬を予定しているとのご相談でしたが、1ヶ月後のご葬儀では横浜での1日葬へと変更されました。
 喪主になられるお母様は足が不自由な上に、軽い認知症の症状もおありになるとのことで、遠路菩提寺までお連れするのは難しい状況をご住職にお話しされ、ご相談の結果、ご住職自ら横浜にお越しいただき、横浜での1日葬と相成りました。

 一方、都心に菩提寺をお持ちのシングルマザーの方からのご相談は、危篤状態に陥ったお母様には年金もなく、ご自身も1人っ子でご葬儀を執り行う余裕もないとの切羽詰まったものでした。
 ご自身の蓄えもなく、小さなお子様お2人を育てながらローンを抱え、金銭的にかなり厳しい状況にあることを率直にお話いただきました。
 ご相談される方がどなたもいらっしゃらないとのことで、まずは菩提寺のご住職にありのままを申し上げることをお勧めしたところ、3日後「あれから、意を決して申し上げたところ、そのような理由でしたら、戒名のことも含め、火葬が終ってからご相談に乗りましょうとおっしゃっていただけました」とのご報告が入りました。
 第1関門を突破した安堵感が電話口からも伝わって、お聞きしている当方も思わず力が入ってしまう程でした。

 また、以前千葉の肝っ玉母さんと呼ばれていた担当者からこんなエピソードも伺いました。
 ご葬儀のご依頼を受け、「先ず初めに菩提寺には丁寧にご連絡をお願いします」と申し上げましたが、若い喪主様はFAXで連絡され、騒ぎの発端はここから始まったとの由。
 
 FAXで事の次第を初めて知ったご住職は、地域の葬儀を取り仕切っていた菩提寺にご遺族が直ちに出向くのが当然との思いがあり、菩提寺にお伺いを立ててからご葬儀の段取りを決める手筈なのに、勝手に葬儀社を決めてしまい、しかもFAXでの事後報告には完全におかんむりの御様子です。
 枕経の当日、担当者もご挨拶に伺いましたが、ご住職からは枕経が終わるや否や「葬儀社は俺の知り合いでなければ」と怒鳴り散らされ、あまりの剣幕に喪主のお母様は泣き出す始末・・・。
 担当者も「お経を途中で終わらせてはいけないので、降ろさせていただきます」とまで申し出ると、今度は見積書を見せろと迫り、ご喪家の状況を踏まえ、出来るだけ費用を抑えた見積りを目にするや否や、「こんな安い仕事は出来ない」と怒鳴り散らす。
 罵詈雑言を浴びせられた喪主のご子息も途方に暮れるばかり。
 ついには「こんなに安くては明日の葬儀には行かない」とまでエスカレート。
 担当者が根気強く説得するうちに「お宅はどんな葬儀社さんだ」と矛先がかわり、今度は一転してご住職の方から身の上話が切り出される始末。
 息を詰めて事の成り行きを見守っていたご親族はあっけにとられているご様子でしたが、いつの間にかご住職から「安い葬儀があったらそちらに回すか」とまでの友好ムードに変身し、「帰りは会社まで送っていく」との申し出がなされた由。
 一旦は丁重にお断りいたしましたが、仲直りの為にも同乗させていただいたとのことです。
 疎遠ぎみの菩提寺との意思の疎通も大切です。

親しい方のみでの無宗教葬を・・・。

 「あちこち遊びにご一緒できる同級生は、とうとう二人になってしまったわ」。
 先日、久しぶりにお料理教室でご一緒した、80代後半の先輩が嘆いておられました。
 人生100歳時代に突入したとも言われている昨今ですが、同年配でお元気な方を探すのは結構難しいようです。
 その先輩も、将来万が一の際は無宗教葬にて、出来るだけシンプルに、親しい友人とご親族だけでのお見送りをご希望との由。
 周りの皆さんもお気持ちは同様で、菩提寺を持つ方、持たない方、思わず一様に頷いて、ひとしきりご葬儀の話題で持ち切りとなりました。

 話題に上った無宗教葬も10年程前、マスコミにセンセーショナルな話題として取り上げられたころに比べると、大分落着きを取り戻し、最近は各人に見合ったご葬儀が執り行われてきているようです。

 他の宗教と違い、少人数での無宗教葬の場合、お式での時間の配分が難しく、時間が余って戸惑われる方もいらっしゃるのではと心配される向きもございますが、故人様と親しく最期のお別れをご希望される方にとっては、むしろゆったりと思い出に浸る時間が取れるようにも思われます。

 当方が立ち合いでお伺いした無宗教葬でも、告別式での献花以外は何もしないでほしいとのご喪家からのご要望をいただき、お集まりになられたご会葬者はお一人お一人が故人様と向き合い、ご出棺のお時間まで夫々が最期のお別れをされ、ご自身のお気持に踏ん切りをつけていらっしゃるご様子がうかがえました。

 また、「無宗教葬の音楽葬で」という故人様のたっての願いで、喪主の奥様はかつてのジャズ仲間にお集まりいただきましたが、ジャズが静かに流れる中、献花をされて故人様と向き合ったお仲間の一人が感極まり、飛び入りで持参のトランペットを吹き、お見送りをされた無宗教葬もございました。

 はたまた、ご喪家側のご事情で故人様のお好きなお料理の手配から、ご葬儀進行を故人のお嬢様の手にゆだね、担当者は脇でアドバイザーとして見守って行く形を取られた無宗教葬等々。
 いずれも故人様のお気持が尊重され、生き方として積極的に無宗教葬を選択されていらっしゃるご様子が伺えたご葬儀でした。

 ご葬儀の話題は無宗教葬での御葬儀をご希望され、ご自身の意思を貫いて、シンプルに生きるお元気な先輩の生き方に触れ、後輩達はいつの間にか背筋を正して聞き入っていました。

ご葬儀後のご相談もお願いします。

 久しぶりに青空と真夏の暑さが戻ってきましたが、風はすでに秋色です。
 暦の上では、早くも来週末には、暑さ寒さも彼岸までの秋分の日が控えています。

 秋分と言えば、ご紹介した担当者とのご相談の中で、最近特に、ご葬儀以後のことも含めてのご相談をされる方が、増えてきているようです。

 核家族化が呼ばれて久しい中、周りにご相談される方が中々見当たらないとのことで、ご葬儀のプロの方に、ついでと言っては語弊がありますが、ご葬儀を済ませた後のことも、この際伺っておかなければ、とのお気持を強く持たれる方もいらっしゃいます。

 先日もご相談者のお父様のご葬儀を執り行った担当者から、ご葬儀後のご報告を頂きました。

 ご相談者のお母様から、ご葬儀後毎日のようにお電話で、お位牌のこと、49日のこと、新盆のこと等多岐にわたるご相談を頂いて、頼りにされ、こちらも大いに勉強になりました、と担当者の労を厭わぬ対応ぶりを伺い、ご相談者もさぞかしほっとされたことではと安堵致しました。
 
 昨今ではご自宅以外でのご葬儀が通例化され、7日目に執り行われる初七日法要も告別式に繰り上げ初七日として繰り込まれ、49日を機にお返しをする香典返しも、即日返しでご葬儀当日済ませることが多くなり、本来の意味合いからは少しずれを生じても、いつの間にか忙しい現実生活に組み込まれてしまっているのが現状です。
 
 ご葬儀後にお待ちしている菩提寺での49日の法要では、当日ご遺族ご親族を中心とした方々にお集まりいただき、法要、お位牌の開眼供養、お墓での納骨法要、開眼供養の後、ご自宅にお戻りになり、法要とお仏壇の開眼法要という段取りになります。
 
 一般的に49日の法要でのお布施代はまちまちの様ですが、あるベテランの担当者に伺うとご葬儀の際のお布施代の一割を目安に、プラスアルファされるとよいとの事。関東地方の場合は1割を下らないようにと言われているとの由。
 開眼法要で白木のお位牌から魂を抜き、塗りのお位牌に魂を入れたうえでの読経代となります。
 但し、地方に帰って埋葬の場合は、この限りではありませんので、ご注意ください。
 地域によっては昔からの風習が残っているところもありますので、地元のご親戚の方に伺うのが1番とは言うまでもありません。

 私事で恐縮ですが、当方も来月は父の17回忌が待っております。

菩提寺との関係は・・・。

 「あれから意を決して菩提寺にお話ししたところ、そういう事情でしたらと、戒名のことも含めて、ご相談に乗っていただけることになりました。ご心配をおかけしました」。
 電話口からは、安堵のご様子が伺えました。
 
 入院中のお母様には年金が無く、お世話しているご相談者は1人っ子の上にお子様二人を抱えたシングルマザーで、ご自身もローンを抱え窮地に立たされた状態でのご相談でした。
 
 直葬しか選択の余地がなく、現在都内にある菩提寺のご住職とは連絡が取れず、了解して頂けるかどうかも分からないとの由。

 直葬での見積りをお送りすると同時に、先ずはご住職に現状をありのままお話しされ、ご様子を見ることにいたしましたが、その後お母様の容態が急変され、ご連絡を待つ間もなく、お見送りとなり、その夜のご報告となりましたが、何はともあれ当方も思わずホッとした思いがありました。
 
 一方で、菩提寺との思わぬトラブルもご葬儀の担当者から多々伺っております。

 東京近郊では、まだ菩提寺が地域のご葬儀を全て取り仕切っていた名残りで、ご逝去されたら、何を差し置いても菩提寺にご報告するとの習わしから、思わぬトラブルに発展してしまった、エピソードも伺いました。

 引っ越しされてきたばかりで、当地の事情に不慣れなご長男の方から、担当者が直接にお父様のご葬儀のご依頼をいただいた時の事でした。
 
 早速市営斎場を押さえに行くため、依頼者のご長男には、菩提寺へ丁寧にご連絡をして頂くよう申し上げておきましたが、サラリーマンのご長男は、ファックスでご住職にご報告をされた為、ご住職の怒りを買い、さらには勝手に葬儀社さんを決めたことへの反発と相まって、険悪な様相を呈し、一時はご葬儀も危ぶまれる程となったとの由。

 しかしながら、当初ご不満を口にされた住職も、聞き役に徹したベテラン担当者の説得に、いつしか耳を傾け、ご葬儀当日には3者で仲直りし、お父様をお送りされて、無事難局を切り抜けたお話しも伺いました。

 先日、久しぶりに菩提寺の本堂をお借りしてのご葬儀が、しめやかに執り行われました。

 最近は公営の斎場やお近くの民営斎場をお借りし、ご住職にお越しいただいて読経をお願いするケースが多い中、ご相談者の御祖母様をお見送りした菩提寺で、今回はお父様もお送りされたいとのご要望を基に、ご相談を進めて参りました。
 
 菩提寺でのご葬儀では、ご指定の葬儀社さんにお願いされるようなケースが多々ございますが、御祖母様の時と同様にご喪家にお任せになり、本堂でのご葬儀ですので、祭壇を省略されたご葬儀になり、しかもご実家近くとのことで、普段から菩提寺とのコミュニケーションもとれ、担当者曰く、これからご法事が始まるのではと思わせる位、和やかなご葬儀だったとの由。

 一方で、家族御親族のみでのお父様のお見送りは、久しぶりにお集まり頂いたご親族の親交を深める場ともなったご様子です。
 お父様もほっとされたのでは、と思わせるようなご葬儀となりました。

喪主様と故人様の信仰が異なるときは・・・

 今回は無宗教の葬儀・・ではなく、無宗教にするかどうしようかと迷われて、結果、仏式の葬儀にされたというお話しです。

 喪主をお勤めになる故人様の子供にあたる方はキリスト教、故人様は特に宗教の信仰はなく、でも、ご親族は今まで仏式のご葬儀をされてきたとのこと。
 そのような状態のなか、故人様が信仰していないキリスト教の葬儀を行なうわけにもいかず、かといって仏式のご葬儀にするのも・・・と悩まれていた中、無宗教葬とういう選択肢があり、最初は無宗教での葬儀にしようかという流れになられたとのこと。
 その後、ご家族でご相談され、ご親戚の手前、やはり仏式の葬儀にした方がいいかもしれないという結論をお出しになり、葬儀社からご僧侶を紹介して頂き、仏式のご葬儀にされたとのことでしたが、ご葬儀後に喪主様から「仏式の葬儀にして良かったです」とお話しになられたとのこと。

 センターでは、ご相談で無宗教を選択されたご相談者へは、なぜ無宗教の葬儀を選ばれたのか理由をお聞きしています。 
 最近では無宗教葬という言葉も多くつかわれるようになってきたので聞いた事はあると言う方も多いかと思いますが、地方から葬儀に参列される方やご高齢の方にとってはあまり馴染みもなく、たとえ信仰がなくても葬儀ではお経を読んでいただかないと・・と思われている方も多いため、ご葬儀に参列したときに、戸惑われることもありえることから、場合によってはご親族には事前に説明をしておいた方がいい場合があるからです。
 ずいぶん前のご相談でしたが、ご主人を亡くされ、喪主をお勤めになられた奥様はご主人側のご親戚との関係があまり濃くなく、事前に無宗教での葬儀を行なう旨の報告をできなかったことから、ご葬儀が始まってすぐのご挨拶で事情をお話しし、無宗教での葬儀にすることをお伝えしていました。

 ご葬儀における宗教については、各ご家庭だけでなく、各個人にもかかわる事もありますが、まずは皆様が故人様を大切に送る事を一番にお考えいただければと思います。

宗教の信仰がない方のお葬式 4

 引き続き、無宗教の葬儀のお話しを・・。

 参列者は家族のみ、宗教の信仰もなく、費用は抑えたい。ただ、直葬ではお父様とゆっくりお別れをすることができないので、お別れの時間をとってもらいたい、というご相談がありました。
 一般的に、ゆっくりお別れをしていただくためには、対応可能な安置所を利用する、または、式場を使っての無宗教葬というかたちでお別れをしていただくという事になるかと思いますが、安置所でこれに対応できるようなところはなかなか探すのが難しく、希望される方の近隣にそのような施設があれば、それは本当に幸いなことになるかと思うくらいです。
 
 このご相談者がお住まいの付近にはそのような安置所がなく、式場を使っての一日葬というかたちで執り行う事になりました。
 「家族だけでゆっくり見送りたい」と言うご要望に、一日一ご喪家のみ使用の会館を保有する葬儀社をご紹介、その式場を使っての一日葬のご葬儀となり、センターからは、ご葬儀のお時間にお別れの言葉など、何かやりたい場合には葬儀社のほうでも提案して頂ける旨をお伝えし、ご葬儀となりました。

 葬儀の時間は約1時間、仏式のご葬儀ならそのうちの半分くらいの時間はお経がありますが、無宗教の場合はその時間も全て自由に使えます。
 一般的には主に故人様の略歴紹介や献奏、おわかれのお手紙を読んで頂くなどで時間を使う事が多いかと思いますが、ご家族だけの式ではどれも不要、故人様がお好きだった音楽をかけて一緒に聴いていただくことくらいでしょうか・・。

 ご家族は、故人様と一緒に居られる最期の一時間をゆったりと、何もしないでお過ごしになる事を選ばれました。
 なにかに振り回されることなく、ご家族だけで自由に故人様をお送りできた、とても貴重なお時間だったのではないでしょうか。

 あえて何もせず・・、これも無宗教葬ならではの選択肢です。