仏式での葬儀

 現在のところ、当センターが取り持つご葬儀の8割方は仏式が占めています。
 仏式と言っても浄土宗、浄土真宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗など宗派は様々ですので、その時になって慌てないためにも前もってご自分の家の宗派を確認しておく必要があります。

 事前相談のやりとりでも仏式で執り行うことは分っていても、宗派についてはなかなかすぐに答えられない方がいらっしゃいます。
 ご仏壇をお持ちの方はご本尊やお位牌を見ていただければ戒名の文字で宗派が分りますが、お持ちでない方はご親戚に問い合わせをされたり、ご実家に確認しておくようにしましょう。間違えてご葬儀の最中にご親戚から指摘された例もありますので。

 仏式のご葬儀でご相談が多い筆頭に挙げられるのがお布施の問題です。
 菩提寺が無い場合は葬儀社の方でご手配できますので、各社それぞれ多少の違いはありますが、相場としての見当はつきます。

 問題は菩提寺がある方です。特に菩提寺とは日頃疎遠になっていらっしゃる方から見当がつかないから相場を教えてほしいとよくお問い合わせいただきます。
 しかし、これは菩提寺との関係でおこころざしですので、我々は口が挟めません。

 同じ菩提寺の壇信徒さんやご親戚にお伺いし、相場をお知りになった上で、無理なようでしたら直接菩提寺にご相談されては如何でしょうか。
 同じ戒名でも菩提寺の格や諸々の条件によりかなりの差がありますので。

 菩提寺をお持ちの方は万が一の時真っ先に菩提寺にお伺いを立て、ご指示を仰ぐことが大事です。
 菩提寺が遠方だからといって、ご喪家が勝手に地元から選ぶのではなく、あくまでお伺いをたて、ご指示に従いましょう。
 ことによってはこちらでご手配することになるかもしれませんが、その場合にも菩提寺からは出来るだけ戒名をつけていただきましょう。

 ●仏式の葬儀
  ↑↑↑当センターのホームページでは仏式の葬儀について宗派が分らない方に見分け方を、また戒名やお布施についての心得を説明しています。

キリスト教式告別式と仏式告別式の違いは・・・・・

 葬儀・告別式に出席ということになり、大方仏式を想定して準備をされる場合が殆どですが、時として故人が生前教会に通っていた関係で特に信徒でなくてもキリスト教式の葬儀になることがあります。
 この場合はキリスト教でもプロテスタントになりますので、カトリックに比べ比較的略式で、仏式との違いさえ心得ていれば、キリスト教に疎い方でも式場でまごつくことはありません。
 出席される前の心得として、供花を送る場合知り合いの花屋さんでもかまいませんが、葬儀社の方にも連絡を入れてください。
 特にキリスト教式の時、白い洋花のみで飾りたいというご喪家の要望がある場合等、花屋さんの方へ注文して要望に沿った花で統一できますので。
 またキリスト教では供花に名札を立てず芳名板にまとめて名前を記す形になりますので、ご喪家の方は贈り主に了承をとっておいたほうがよいと思われます。
 
 当日受付に出す香典の表書きは「御花料」になります。
 祭壇は白い花がほとんどで、十字架も白い花で創られます。
 会葬者が先に着席し牧師さんの先導で遺影・遺族が入場します。
 通夜に当たる前夜式と翌日の告別式の式次第の違いはあまり無いようです。
 前夜式の式次第はオルガン演奏に続き、賛美歌斉唱、牧師さんによる聖書の朗読、牧師さんの説教と遺族への慰めの詞、祈祷、賛美歌斉唱、友人代表の故人を偲ぶことば、賛美歌斉唱、喪主の挨拶、献花と続きます。仏式のご焼香にあたるのが献花になります。
 白いカーネーション等による献花が終ってお清めにあたる追悼の集いの食事会になりますが、お清めとの違いはアルコール類が一切だめなことです。
 
 告別式の式次第はオルガン演奏に続き、賛美歌斉唱、ご喪家のかたによる故人の略歴紹介、牧師さんによる聖書朗読、牧師さんの説教と遺族への慰めの詞、祈祷、友人代表の故人を偲ぶことば、賛美歌斉唱、喪主の挨拶、献花と続き、お別れの儀に移ります。
 お別れの儀は仏式と同じように、柩のなかに祭壇の花を入れ、最後のお別れとなります。
 火葬のあとの精進落しに相当する食事会は親族による慰労会になります。
 プロテスタントの場合は教会のみならず、何処の式場でも受け入れられます。

プロテスタントの告別式に伺ってみると・・・。

 キリスト教関係の葬儀は通常、信者として通っている教会で、担当の牧師さんの手で行われることが多いのですが、プロテスタントの場合は諸般の事情で他の教会、式場で執り行われることも増えてきたようです。先日のプロテスタントの葬儀も故人が通っていらした教会ではなく、別な教会を使用しました。
また、今年はじめに伺った葬儀では、区営の斎場を使用していました。
 キリスト教でもプロテスタントの場合は比較的規則が緩く、式も日本独自の習わしにそって行われます。
 日本式の通夜にあたるものをカソリックでは通夜の集い、プロテスタントでは前夜式と呼ばれ、牧師さんの司会進行により執り行われます。
 前夜式も通夜同様、近年参列者が多く、葬儀にこられない会葬者のために、告別式に準じた内容になります。
 告別式を例にとりますと、まず定刻前に会葬者が着席し、ご喪家の方々をお迎えします。
 オルガン演奏の中、司会の牧師さんのご挨拶から始まり、賛美歌合唱、ご喪家による故人の略歴紹介、聖書朗読、牧師さんの式辞、友人代表のお別れの言葉、賛美歌合唱、喪主の挨拶、仏式の焼香にあたる献花へと続きます。
 所要時間は仏式、神式と同じ1時間以内に収められます。特に仏式との違いは賛美歌合唱の
会葬者参加型にあると思われます。
 最後に、柩にお花を入れるお別れの儀は宗教を問わず行われます。
 白一色のお花は出席した方々に鮮烈な印象を与えたようです。

キリスト教での葬儀

 日本でのキリスト教の宗派は主にカトリックとプロテスタントに別れますが、ご葬儀の流れとしては大きな差はありません。
 但し、カトリックの場合は教会で生前に洗礼を受けた方のみになりますので、故人が属した教会にて執り行われ 、一方のプロテスタントの場合は教会での他に一般の斎場に牧師さんをお呼びして執り行われる場合もあります。

 日本でのキリスト教のご葬儀は日本式にアレンジされており、通夜にあたるものはカトリックで通夜の集い、プロテスタントでは前夜式と呼ばれ、聖書の朗読、聖歌、死者のための祈り、柩への献香と会葬者の献花、ご遺族のご挨拶等が行われています。

通夜の後の通夜ぶるまいにあたる茶話会では紅茶にサンドイッチ等の軽食が出され、故人の思い出を語り合います。お酒の類は控えます。

 カトリックの葬儀・告別式ではまず神父さんによるミサの儀式があります。ミサ終了後、神父さんは故人の略歴を紹介し、柩に聖水をそそぎ、香をたきながら退場します。その後は弔辞、弔電が読まれ会葬者の献花へと続きます。

プロテスタントではミサがなく牧師さんによる聖書朗読や説教、お祈りの言葉、故人の略歴紹介、オルガン演奏による賛美歌合唱が行われます。その後はカトリック同様に弔辞、弔電、献花へと続きます。
 通常は通われている教会の牧師さんの手で行われますが、故人がしばらく教会を離れていらっしゃってお知り合いの牧師さんがいない等の場合は葬儀社の方で牧師さんをご紹介いたします。

 ●キリスト教の葬儀
  ↑↑↑ 当センターのホームページではキリスト教におけるご葬儀の注意点、起こしやすい問題点、神父さんや牧師さんへの相談が大事な点等を説明しています。

 

お葬式も宗教戦争?

 依頼者は故人の妹さんでした。
 第1報では区営斎場をお借りして、キリスト教・プロテスタントでの家族葬をご希望され、牧師さんの手配もお願いしますとのことでした。
 もしも牧師さんの紹介が煩雑であれば無宗教もしくは火葬のみのこともありえるとのこと。  少々切迫感があり、事情がありそうなご様子でした。
 葬儀当日、葬儀社の担当者に伺うとご家族の方々の信仰の対象が違い、それぞれが主張なさっているようです。
 お父様はキリスト教が大嫌い。
 その為に故人と妹さんとお母様は隠れキリシタンのようにお父様に内緒で教会に通っていらっしゃったようです。それでも最後に事情が分かってしまい、お父様は大層ご立腹で、葬儀をぶち壊すとまで言う始末。
 キリスト教関係の場合は通っていらっしゃる教会での牧師さんによって執り行われることが殆どですが、それも出来ずのご相談でした。
 葬儀社がお願いした牧師さんによると、信者の方でもしばらく教会を離れている場合などで、時にはこういうこともあるそうです。
 葬儀予算も火葬のみ位でしたが、費用を抑えたコースで、1日だけのキリスト教プロテスタントの葬儀・告別式がおこなわれました。
 柩にお花をいれるお別れの儀の後、柩の蓋を閉めるのを待ってもらい、お母様と妹さんは声を掛け合い暫しの間、故人と3人で無言の話し合いをしているようでした。
 お父様はとうとう最後までお見えになりませんでした。
 病院での最後のお別れを覚悟なさったようです。
 

最近の無宗教葬 その3  グラスでカンパイのお別れ

 目の前の柩がなければパーティ会場と間違えてしまいそうな雰囲気の告別式に立ち会いました。
 故人は彫刻家。会葬者は全員故人と縁の深い方々50名余り。会場は寺院の会館ですが多目的ホールとして使われ、あまり宗教臭さのないところでした。
 立食のパーティ会場前方には白い薔薇の花に囲まれた柩と故人の作品のパネル写真が飾られていました。
 受付を済ませた会葬者は式場壁際のイスにて、式の始まるのをお待ちいただくことになりました。手前の二つの大きなテーブルにはご喪家の手作りのオードブルを初めとする料理がグラスやワインと共に並べられています。
 後の式内容は自分達で決めたいというご喪家のご要望でしたので、葬儀社の担当者は黒子に徹して色々と気を使ったようです。
 年配の会葬者の為に駅近く交通の便がよい、音楽をかけても大丈夫な式場を、しかも1日だけのお別れ会なので半額にするという格安の式場を捜してきました。
 会葬者は1本の白薔薇をお1人ずつ柩に入れ献花としました。入れ終った方々はワイン、ビールを片手にお料理を頂きます。
 献花が終ったところで喪主の奥様よりご挨拶、友人代表のご挨拶と続きました。その間もお友達同士久しぶりの旧交を温め、お互いの話しが弾んで、柩の故人も話しに加わったらと思われるほどでした。マイクが手に渡ると皆さん次々思い出話に花が咲き、それでも最後の方になると「何百回も会い別れているのに、1度たりともさよならを言ったことがない。じゃあ、またね」と涙で絶句。
 ご喪家を代表して息子さんがグラスを上げ「父の旅立ちに先立ちましてカンパイ」。
 最後のお別れ花は柩の周りの白薔薇を皆さんで手向けました。
 その間、テーブルのグラスやお料理はご喪家の手で手際よく片付けられ、柩の通る道が開けられました。お料理の残りはラップされ、食べ残しはビニール袋へといつものパーティのように手の空いている方があうんの呼吸で手伝っていらっしゃったのが印象的で、ご自分達の手でやっているという実感が感じられました。

 いよいよ出棺です。式の間ずっと流れていたカザルスの曲が一段と大きくなりました。

無宗教での葬儀

 事前相談で初め無宗教葬希望とお伺いしていても実際のご葬儀の段になると読経をお願いされる方もいらっしゃいます。
 ご希望としてはお持ちだけれどもお話をお伺いしていくうちにご相談者のお気持が少しずつ整理されてきて、再度ご家族との話し合いの結果とのことでした。

 無宗教でのご葬儀の場合、故人の意思や喪主を始めとするご喪家側の「どんなご葬儀をなさりたいか」のコンセプトがはっきりしていないと、時間だけが過ぎてしまう締まりのない式になりかねません。
 特にご会葬にお見えになられた方々が戸惑われないような配慮が大事になります。
 先ずは通夜・告別式とも喪主の方が無宗教にするいきさつをきちんと説明されることが必要です。

 無宗教でのご葬儀の流れとしては一般的に黙祷の後、喪主のご挨拶に続き故人がお好きだった音楽を流し、家人・友人から思い出話をお伺いしたり、故人との交わりの深かったお子様・お孫さんからの手紙の朗読、楽器の演奏等がおこなわれ、献花で最後のお別れをされるような例が一般的に多く見受けられます。

 また、シャンパン・ワインを飲みながらのパーティ形式や趣味のジャズをお仲間が演奏される中ご葬儀が執り行われるような独創的なケースもあります。

 いずれの場合でも式の流れはご喪家が前面に出て、葬儀社がバックアップするような形をとることが多くなりますので、無宗教葬に慣れている葬儀社を選ぶことが大事なポイントになります。
 担当者との意思の疎通も式の出来不出来を大きく左右しますので。

 ●無宗教の葬儀
  ↑↑↑  当センターのホームページでは無宗教の葬儀についての注意点、心得等を詳しく説明しています。

家族葬は特別な形式で葬儀をするのではありません

 家族葬に関する相談や要望する人が増えています。

 家族葬と言うと、何か特別な形式で葬儀をするのではないかと考えている人も中にはいるのですが、実際には、家族葬は、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、こうした意味合いですので、仏式であれば僧侶、キリスト教であれば牧師あるいは神父、神式あれば神職にお願いして葬儀をします。

 家族葬の葬儀施行の宗教形式の割合で見ますと、一般葬と変わることなく、仏式で行われることが多いようです。

無宗教葬の要望者の増加について

 2005年8月に行われた読売新聞の「宗教」世論調査によりますと、「自分の葬式は無宗教にして欲しい」と望む人は40%に達し、中でも大都市では実に50%を占めています。

 1998年に行われた同調査で「葬式が形式化してあまり意味がないので、宗教にかかわりなく行うほうがよい」という人が12%だけだったので、いかに、ここ数年の変化が激しいかおわかりいただけると思います。

 現実的には、この意識に直結して無宗教葬が多いのかといいますと、そうではありません。依然、仏式の葬儀が8~9割ほどを占めるのではありすが、無宗教葬が徐々にではありますが、増加傾向にあることだけは間違いないということです。

 この読売新聞の調査を受けて、宗教学者の石井研士・国学院大教授は、無宗教葬の希望者が多い背景として、①「家」制度の崩壊による祖先崇拝の希薄化、②戦後生まれの高齢者の宗教離れ、③宗教団体への批判の高まり、の三つを指摘しています。