無宗教葬での担当者のアドバイスとは・・・。

 先日ジャズ仲間による無宗教葬をお話いたしましたが、無宗教でのご葬儀を希望される方も少しずつではありますが、増えてきています。

 家の事情からの方、ご自身の意思での方、宗教葬が嫌いな方、それぞれ理由は様々ですが、これに対して葬儀社の担当者が如何に対応し、アドバイスされているのかを伺ったことがあります。

 例えば、無宗教葬が社のセールスポイントの1つとおっしゃるA社の担当者は「ご葬儀は基本的に一緒の空間に参列することが大切だと思います。仏式ですとご焼香をしてお帰りになってしまいますが、無宗教葬ではご列席の方々が、ある時間を共有して故人を偲ぶことができます。お寺さんがいるよりも無宗教の方が何でもでき、特別故人に得意なものが無い場合でも、事前に色々伺っていくうちにその人となりが浮かび上がってきますので、ご葬儀での手持ち無沙汰はありません」とのことでした。

 B社の担当者はまだお経がないと供養した感じがしないという方が結構多いですねと前置きされて、「無宗教葬の難しさはお客様のご要望だけでは務まりません。ご葬儀はその時で終ってしまいますがご親戚との付き合いもあり後々のことを考えると、ご親戚の理解も必要になってきますので、アドバイスをして選択肢を提案するところから始めます」とのこと。
 雑誌やテレビに感化され、希望される場合もありますが、色々なことを考慮してお決めくださいとアドバイスされているようです。

 C社の担当者は無宗教葬でのアドバイスとして「身内以外の人、特に地方からお見えになられたご親戚に対して、ことの次第をじっくり説明する必要が出て来ます。通夜の席で初めに喪主が無宗教になったいきさつを全て話し、納得して貰うことが大切です」とおっしゃっています。

 また、葬儀をオーダーメードしていきたいというD社の担当者は無宗教葬について「無宗教も無宗教という宗教だと思う。敬うべき対象が必ずあるはずです。ご自分の求めているものを満たしてくれるのが見つからないのでしょう。宗教が嫌いで無宗教という方はいない。お話を聞いて、聞いていくうちにその方にとって手を合わせる対象が何なのかというだけだと思います。無宗教なりに好きな音楽は、初詣では、クリスマスはどうですかなどといろんな方向からその方がなにを求めていたかを聞き出します。そこからスタートです」

 異口同音にお答えいただいたのは後で後悔することのない式をお手伝いしたいとのことでした。

新盆は2度目のお葬式とも言われています。

 今年も早、お盆を迎える季節になりました。お盆と言えば同義語の様に使われた行事で「とったか」という風習が我が故郷の遠州地方にはまだ残っています。

 お盆の期間全国各地様々な行事が執り行われると思いますが、この「とったか」と新盆のお宅の豪華な祭壇飾りには、他からいらっしゃった方々も何事かと目を見張ることが度々あるようです。
 お葬式の祭壇以上に華やかな飾りを施し、祭壇両脇を籠盛がずらりと並び、お葬式に参列された方はこの間「盆義理」と称して再び新盆のお宅にお伺いし、お線香を手向けます。
 お盆行事を大事にし、新盆は2度目のお葬式とまで言われるゆえんです。
 迎え火から送り火まで何軒もの新盆に伺う親戚の方々はお互いに日時を調整しながらのお集まりになり、車を待たせて新盆のはしごをされるご年配の姿も年中行事化されてしまっているようです。
 
 かつて、新盆のお宅には軒並み笛・鉦の音に合わせて太鼓を勇壮活発に踊るように打ち鳴らす一団が訪れ、故人の供養をされていました。
 しかし、昨今は依頼されたお宅だけを訪問するようになり、マイクロバスが庭先まで乗りつけ、マイクロバスでお帰りになってしまわれるとのこと。
 数十年前、小学校3年生の時の祖母の新盆が思い出されます。
 1度だけ出会った「とったか」のインパクトは鮮烈でした。
 この「とったか」も正式名称「遠州大念仏」と称されるようになって久しくなりました。
 いつまでも郷愁に浸ってばかりはいられないが、それでも風に乗って遠くから聞こえてくる鉦、笛や太鼓の音が次第に大きくなり、庭先でクレッシェンドになっていく醍醐味をもう一度味わいたいものです。

「キリスト教は帰天ですよ」

 「没ではなく、帰天ですよ・・・」
 間もなくお母様の仏式でいう3回忌を迎える知人は、石屋さんから連絡を受けてビックリ。
 カソリックのご両親は富士山の見える霊園墓地に眠っていらっしゃいます。
 10年以上前にお父様が先にお入りになり、墓石には没の文字が刻まれていたが、何の疑いもなくお元気だった頃のお母様共々お参りしていたようです。
 お父様はお墓の下でずっと困っていたのでは・・・。
 もう一度削り直して、やっと今度はお母様共々仲良く帰天してもらえるのでは・・・

 電話口のほっとした声はセンターに頂く事前相談での声にダブってくるようにも思われます。
 最近の事前相談ではご葬儀後の相談にも乗っていただけるかどうかのお問い合わせが多くなってきています。

 49日の法要もしていただけるのか、塗りのお位牌の手配は、石屋さんのご紹介等は如何か、中には法的な手続きに関することまで、身近にご相談する方が見当たらず、ご葬儀後の後始末に頭を悩ませる方にとっては切実な問題です。

 葬儀社さんの方でも、最近は関係される専門の方々と横のつながりを持ち、オープンな形で依頼者のニーズにお答えできるように努力されているようです。
 依頼者からは時折「担当された方にまだ折に触れ、ご相談に乗ってもらっています」とのお便りをいただくこともございます。

繰上げ初七日法要とは・・・。

 仏式ではお亡くなりになって7日目に初七日の法要が営まれます。
 ご葬儀が終るや否や再びお集まりいただくのも大変なので、ご葬儀当日、火葬後遺骨を祭壇に安置し、ご住職が還骨回向の読経され、そのまま繰上げ初七日法要に移行するのが通常とされてきました。
 ところが最近ではお寺さんの都合なのか、はたまた式場の都合なのか、まだ荼毘に付す前に初七日法要が営まれるケースが多く見受けられるようになってきました。
 葬儀・告別式の読経に続けておこなわれ、ご家族・ご親族のみのご焼香となります。
 
 初七日は霊が冥土に向って最初の関門になる三途の川を渡る裁判日とのこと。初めての裁判を前に心細い気持ちを助けるための供養の日です。
 それなのに、荼毘に付される前に供養されるのがなんとも腑に落ず、未だに違和感が付きまとっています。
 
 公営の斎場の中には次のご葬儀の準備の為に出棺の後は式場に戻れないところが多く、必然的に前倒しで行なわれ、どこかところてん式に追い出される感じは否めないようです。
 タイム・イズ・マネー、時間で物事が決められていく中、時間を外して見送り供養はできないものか。
 目の前のご葬儀に立ち会いながら、ふとそんな天の邪鬼な心が動きます。
 何時か観た、韓国のお葬式の映画のように・・・。

神式での葬儀

 最近、神式のご葬儀の事前相談で祭壇には大好きなお花を飾って欲しいというご要望がありました。
 ご希望の斎場には常設の仏式、神式、キリスト教式等の祭壇がご用意され、こちらを使うことが義務付けられています。
 シンプルな神式祭壇では花を飾ることに抵抗があるように見受けられましたが、最近では宗派によっては、あまりうるさく言われないようになってきたとのことです。
 柩周りや遺影の額周りを中心に祭壇はそのまま活かしてお花が飾られることになりました。

 神式の葬儀は神葬祭と呼ばれ、以前より大分簡略化されてきました。
通夜・通夜ぶるまいに当たる通夜祭、直会(なおらい)に始まり、葬儀・告別式に当る葬場祭、火葬後、ご遺骨を祭壇に飾り執り行われ帰家祭、精進落としに代わる会食と流れは仏式と似た形で進行します。
 会葬者はご焼香の代わりに玉串奉奠を行います。

 しかし、式次第での斎主(ご葬儀を司る神官)さんはむしろキリスト教の牧師さんと似た立場で、主導的役割を持って主体的に参加されますので、斎主さんとの打ち合わせは密にしておく必要があります。
 この場合、仏式と違い葬儀社の担当者はむしろ黒子に徹する形になりますので、神式のご葬儀に精通している葬儀社を選ぶことが大切になってきます。
 また、神式では死を穢れと捉えるためにご葬儀を神社では行なわず、仏式同様ご自宅又は斎場にて執り行います。
 
 ●神式の葬儀
  ↑↑↑ 当センターのホームページでは 神式のご葬儀に関しての注意点、問題点を挙げて、説明しています。
 神式でご葬儀されたが先祖代々のお墓に入りたい等の難問の解決法は・・・。

無宗教葬での条件にあう斎場選びは時として難しい場合あり。

 最近、無宗教葬のご葬儀に立ち会うことも度々ございます。
 お坊さんは呼ばないでくれという故人の強い意思により、ご葬儀は献花でお見送りしていただくことが多いのですが、時として残された家人から「このような形で見送りたいから無宗教葬にしたい」と注文される場合もあります。

 先日ご連絡いただきましたご相談でも、お母様のご病気が芳しくなく、お医者様からは覚悟しておいてくださいとの由。
 万が一の時はお母様の生い立ちからの沢山ある写真やビデオを編集したものを、大好きな歌を流しながらご親族の方々に見て頂き、献花で見送りたいので見積をお願いしたいとのことでした。
 無宗教葬で後々大丈夫か伺うと、「納骨の時ご住職を呼んで読経をしてもらうので心配には及びません、火葬までやっていただければ後のことはご心配なく」との由。
 よくあることですが、無宗教葬でやったのはよいが納骨の時菩提寺とのあつれきが
生じ、ゴタゴタしてしまうケースも度々耳にしています。
 依頼者のご相談内容から、これらのことは一先ずおき、早速賛同社3社に見積を依頼しました。
 
 以外に難しいのは葬儀会場に、スクリーンやプロジェクターの設備が整っていないことでした。
 地域限定のため、3社とも同じ斎場が想定され、機材その他を専門業者に委託する場合、自社の写真部から機材持ち込みの場合、スクリーン、プロジェクター等は依頼者が別に用意する場合とそれぞれの見積を出してもらいましたが、経費の面でも一長一短があり、無宗教葬の内容も含めて再検討されることとなりました。

 
 

無宗教葬での会葬者は共通の空間で故人を偲ぶことができる

 葬儀・告別式は繰上げ初七日法要と最後のお別れの儀までを含めて、通常1時間の中で行われます。
 仏式が大多数を占めるご葬儀での一般会葬者は開式10~15分後から始まるご焼香が済み次第、お帰りになるか出棺まで見送るために式場とは別室の控室でお待ちいただくことになります。特に会葬者多数の場合は事務的にも見えるくらいのご焼香となり、じっくり柩の前で故人と対話するような時間をとることは困難となります。
 
 その点、会葬者が故人と直接関係する人の多い無宗教葬の場合は、1時間という時間を会葬者全員で共有することができます。ご遺族の挨拶、友人・知人の弔辞、献花と続く最初から最後までの間、会葬者は式場内に留まります。献花を済ませて再び着席し、閉式までの共通の空間で故人を偲ぶことになります。
 
 仏式の読経に代わるものとして、無宗教葬では音楽が多く取り上げられていますが、先日お伺いした無宗教葬のご葬儀では50通以上の弔電が献花の間中音楽代わりのように読まれ、生前の人柄が偲ばれ印象的でした。

無宗教から仏式に、仏式から無宗教に、相談のやり取りの中で揺れ動く気持ちが整理されてくる

 電話でもメールでも最初のご相談で無宗教葬を希望される方がちょくちょく見受けられます。
 一口に無宗教葬といっても動機は様々で、すんなりできる場合ばかりではなく、後々トラブルの火種になりそうな場合もあり複雑です。
 特に菩提寺がある場合、納骨される時の菩提寺との関係が懸念され、しぶしぶ辞めざるを得ない場合が多いようです。
 東京郊外の依頼者の場合も最寄り駅近くの斎場と公営斎場の見積りを希望、無宗教葬をイメージして花祭壇で、ボーイスカウト活動を長年やってきたので、ボーイスカウトの方々を中心に葬儀を企画したいとのことでした。ただ会葬者はボーイスカウト関係者ばかりではないので、そのあたりも考慮したいが加減が分からずイメージも浮かばないのでアドバイスをと相談されました。
 ボーイスカウト葬にこだわらず、献花や故人の思い出を縁の方に語っていただき、「最後のお別れ」をお一人ずつされ、ボーイスカウト関係は思い出コーナーで写真や品物を飾ることができる旨をお話しました。
 気になっていた菩提寺のことを伺うと、なんと当センター賛同社の自社斎場隣にあるとのことでした。但し、無宗教葬はお父様の願いですので依頼者は複雑な心境のようです。
 結局、最後菩提寺とのかかわりもあり仏式に落ち着き、弔文をボーイスカウト関係者
が話されました。
 また、逆のケースもございます。  

 横浜の依頼者の場合は東北地方に菩提寺があり、菩提寺からは俗名で葬儀を行い、49日後、地元で戒名を付けて納骨するようにと言われたようです。メールのやり取りの中で葬儀イメージがハッキリしてきて最初は会葬者100名ほどでしたが、身内だけ15名にしぼり、家族葬の無宗教葬に変更されました。

増加傾向にある無宗教葬

 2年前ほど前に行われた読売新聞の「宗教」世論調査によりますと、「自分の葬式は無宗教にして欲しい」と望む人は40%に達し、中でも大都市では実に50%を占めています。

 1998年に行われた同調査で「葬式が形式化してあまり意味がないので、宗教にかかわりなく行うほうがよい」という人が12%だけだったので、いかに、ここ数年の変化が激しいかおわかりいただけると思います。

 現実的には、この意識に直結して無宗教葬が多いのかといいますと、そうではありません。依然、仏式の葬儀が8~9割ほどを占めるのではありすが、無宗教葬が徐々にではありますが、増加傾向にあることだけは間違いないということです。

 この読売新聞の調査を受けて、宗教学者の石井研士・国学院大教授は、無宗教葬の希望者が多い背景として、①「家」制度の崩壊による祖先崇拝の希薄化、②戦後生まれの高齢者の宗教離れ、③宗教団体への批判の高まり、の三つを指摘しています。

特別な形式での葬儀が家族葬?

 家族葬に関する相談や要望する人が増えています。

 家族葬と言うと、何か特別な形式で葬儀をするのではないかと考えている人も中にはいるのですが、実際には、家族葬は、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、ぐらいの意味合いですので、仏式であれば僧侶、キリスト教であれば牧師あるいは神父、神式あれば神職にお願いして葬儀をします。

 家族葬の葬儀施行の宗教形式の割合で見ますと、一般葬と変わることなく、仏式で行われることが多いようです。