今年も早、お盆を迎える季節になりました。お盆と言えば同義語の様に使われた行事で「とったか」という風習が我が故郷の遠州地方にはまだ残っています。
お盆の期間全国各地様々な行事が執り行われると思いますが、この「とったか」と新盆のお宅の豪華な祭壇飾りには、他からいらっしゃった方々も何事かと目を見張ることが度々あるようです。
お葬式の祭壇以上に華やかな飾りを施し、祭壇両脇を籠盛がずらりと並び、お葬式に参列された方はこの間「盆義理」と称して再び新盆のお宅にお伺いし、お線香を手向けます。
お盆行事を大事にし、新盆は2度目のお葬式とまで言われるゆえんです。
迎え火から送り火まで何軒もの新盆に伺う親戚の方々はお互いに日時を調整しながらのお集まりになり、車を待たせて新盆のはしごをされるご年配の姿も年中行事化されてしまっているようです。
かつて、新盆のお宅には軒並み笛・鉦の音に合わせて太鼓を勇壮活発に踊るように打ち鳴らす一団が訪れ、故人の供養をされていました。
しかし、昨今は依頼されたお宅だけを訪問するようになり、マイクロバスが庭先まで乗りつけ、マイクロバスでお帰りになってしまわれるとのこと。
数十年前、小学校3年生の時の祖母の新盆が思い出されます。
1度だけ出会った「とったか」のインパクトは鮮烈でした。
この「とったか」も正式名称「遠州大念仏」と称されるようになって久しくなりました。
いつまでも郷愁に浸ってばかりはいられないが、それでも風に乗って遠くから聞こえてくる鉦、笛や太鼓の音が次第に大きくなり、庭先でクレッシェンドになっていく醍醐味をもう一度味わいたいものです。