写真。

 「遺影に使う写真をどれにしようか・・、写真、、写真、、、。」
 
 お父様が亡くなり、葬儀社と打ち合わせの際に、葬儀社からの説明も上の空で写真の事ばかりが気になって・・・と、以前、友人が話していました。

 遺影写真、今ではお元気なうちにと、プロが遺影写真を作ってくれるサービスもあるようですが、なかなか、そこまでは、、と思われる方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

 風景ばかりでご本人が写っていない、など、いざ探すとなるとなかなか見つけられない、迷ってしまって選べない、などもあるようです。

 立会いでお邪魔させていただいたご葬儀では、故人様の奥様が「主人は写真を撮るのが趣味でしたが、撮るばかりで、自分が写っている写真はほとんどなくて、遺影にする写真を探すのが大変でした」とおっしゃっていました。
 思い出コーナーには、ご主人が愛用していた数台の立派なカメラが飾られ、ご生前に撮影したたくさんの写真がはってありましたが、その中にはご主人が写っているものがなく・・。
 「ずいぶん前の写真ですが、やっと見つけてこれにしました」と、一枚をお選びになったそうです。

 今ではスマホやデジカメで簡単に写真を撮ることはできますが、撮るのは好きだけど、撮られるのは苦手という方もたくさんいらっしゃると思います。
 私も、私の母もそんな感じで・・・。

 もう少し、撮られることに慣れないとな、、といつも思うのですが・・・。

 

 

故人様との思い出コーナー

 お正月三が日のお休みと寒い季節が相まって、新年の各斎場は例年の如く混み合いを呈しているようです。

 以前、市営のかわさき北部斎苑をご希望のご相談者に混み合う場合を考慮して、自社斎場を所有している葬儀社さんをご紹介致しましたが、双方とも混み合い、一番早くご予約できるのは同じ市営のかわさき南部斎苑の大式場になってしまいました。
 ご喪家のご要望とは言え、お身内だけのご葬儀に、イス100席もある式場は何としても広すぎます。

 そこで、担当者は普段どちらかと言えば式場入口や片隅に配置される思い出コーナーを、式場後半全部を使って造ることを提案し、ご喪家の方々や故人様の御兄弟に思い出の写真や、故人様が大事にされていた思い出の品々を多数持ち寄って頂きました。

 通夜当日、式場半分近くまで展示された懐かしい写真や遺品の数々を手に取り、お身内の皆様が暫しの間思い出を語り合うことができ、広い会場も和やかな空気に包まれて大変喜ばれたとの報告を頂きました。

 また、思い出コーナーは葬儀社さんのサービスの一環としてご喪家に提案し、飾り付けや制作は通常葬儀社さんにお任せする場合が多いようですが、以前立会いでお伺いしたご葬儀では、ご喪家総出でお手伝いをされ、大変感慨深いお式になった例もございます。

 お父様のご葬儀でご相談頂いた喪主様は葬儀社の担当者から思い出コーナーの提案をされたが、当初あまり乗り気ではなかったとの由。
 担当者はご要望をお聞きして、ご喪家にできるだけ参加していただき、より多くの思い出を創ってもらうことを意とし、観る側も手際よく造った業者サイドのものよりも、ご喪家の想いが出ている作品により愛情を感じていただけるのではと期待しての提案でした。

 通夜当日の午後から、ご喪家総出で写真選びからレイアウトに到るまで、切ったり貼ったりと共同作業をしていくうちに皆の気持ちが寄り添い、ひとつになっていくのが感じられ、作品のみならず、より一層の思い出になりましたと後日興奮気味にお話されたのは当の喪主様でした。
 
 数年後、お花の先生をされていたお母様のご葬儀の折も、ご家族ともに生徒さんたちの共同作業があったのは言うまでもありません。

遺影

 このところ、歌舞伎界を初め、著名人の現役世代の訃報が相次ぎ、ファンならずとも同時代を生きた人達の感慨もひとしおのようです。

 久しぶりの旧友との話題も、お元気な頃の活躍ぶりを思い出し、話の種は尽きませんが、テレビに映し出された遺影を見ていると、一枚の写真に託された気持ちがファンの心に焼付いて、これからもずっと語り継がれていくのではと心強い思いが伝わってくるように感じられました。
 遺影の力は大きいです。

 ご葬儀立会いの節には遺影と必ず一期一会のご対面となりますが、皆様著名人に負けず劣らず、飛び切りの笑顔で最後のお別れをされていらっしゃいます。

 先日も笑顔の素敵な遺影との出会いがありました。
 正装をして写真館で撮ったむりやりの笑顔と違い、同じ正装姿でもあまりに自然な笑顔に、しばらく見入ってしまうほどでした。
 聞けば、息子さんの結婚式の時の写真とか。
 本来ならば、うれしさが溢れている笑顔に、思わず“おめでとう”と声を掛けてしまいそうな写真です。

 しかしながら、当時この笑顔がご自身の遺影になるとは露ほども思わなかったでしょうに・・・。
 それを思うと、60代の若さで亡くなられた無念さが笑顔と二重写しになり、しばしかける言葉も見つかりません。
 それでも、お母様は毅然と微笑んでいます。
 お母様は後に残したご家族に悲しみを見せないように、思い切りの笑顔を見せて旅立たれたように思われます。
 遺影の力は偉大です。

最近の遺影写真エトセトラ・・・。

今にも画面から飛び出して「やぁ、いらっしゃい」と、片手を上げてお客様をお招きするようなポーズに、ご会葬のお客様も思わず片手を上げ、「やぁ、しばらく・・・」とご返事されそうなお写真でした。

 遺影の写真と言えば上半身というよりバスト上くらいのお顔写真が多い中、お父様のお人柄がよく出ているこの写真を遺影に使いたいとのご喪家からの強いご希望がありました。
 真四角に近い画面の故人様とご対面された方々は終始温かな空気に包まれ、通夜のお清めでも思い出話は尽きなかったようです。

 一方、先日奥様を亡くされた御主人が素顔の素敵な奥様の写真を遺影用に作られましたが、親族会議で奥様の姉妹からの反対にあい、ご葬儀前日夜、急遽作り変えるというハプニングもありました。
 クレームの原因は化粧なしの素顔にあったようです。
 御主人は素顔のままの笑顔が一番との思いでしたが、最後の思い出に残るお顔は綺麗にお化粧された姿でなければ可愛そうというのが、仲のよかった姉妹の方々の反対理由です。

 正直、女性の目線から言えば、姉妹の方のお考えはごもっともですし、少々ややこしいことに、これから御主人のそばでずっと御一緒される写真ですから、御主人のお気に入りが一番のこともまたごもっともです。
 ここは御主人が姉妹の仲のよさに免じて1歩ゆずりましたが、思わぬところで女性目線、男性目線の違いが浮き彫りにされたようです。

 女性の皆さんはいかがお考えでしょうか。
 取っておきの一枚の写真。
 綺麗に撮れていることに越したことはありません。
 やはりこれは残された方々のためにも、お元気な今のうちにご自身で納得のいく写真を選んでおく必要があるように思われます。

「良いご葬儀だった」と言われる陰に担当者の気配り有り。

ご葬儀では葬儀社の担当者の気配りが大きな力を発揮するようです。
ご葬儀が執り行われた後、早速にその気配りぶりを是非お伝えしたいというお便りやアンケートを頂くことが多々あります。

どれから手をつけてよいのかも分からず不安な気持ちが募る中、担当者のちょっとした気配りは当事者に安心感とやすらぎをあたえてくれ、大きな励ましとなっているようにも感じられます。

ご報告いただいたお便り・アンケートからは、当事者のお気持が肉声のようにつたわってきます。
「遺影写真と共に故人が書き残した直筆メッセージをお渡ししたところ、会葬礼状の文面の最後に印刷していただき、原本は額に入れて安置所に飾ってくれ、故人を大切に考えてくださっているお気持が伝わり、思わず新たな涙を流しました」。

「高齢で長患いだった母を見送る気持の整理はすでに出来ていました。その気持を汲み取っていただき、時には明るい笑顔で対応していただき、心静かになることができました」。

「若い方なのに非常に気配りのある行き届いた対応を最後までしてくださり、町内の方々を立てつつ切り盛りしていただき、残された母共々感謝しております」。

一人娘で最愛の父を見送られた方は担当者から手紙を貰い「心に残る葬儀だったと書いてくださり、これでよかったのかなと悩んでいた私の気持が少し軽くなったきがします」とご報告いただきました。

気持がメンタルな時だけに、ちょっとした心遣いに弾みがつき、大きな成果をもたらしているようです。