紅葉

 今日はお寺の斎場を見学させていただきに行ってきました。
 いつもなら、複数の斎場や葬儀社さんをおじゃまさせていただくので、無駄がないように、1軒終わると次の場所へいくための移動手段や時間、道順を検索しながらスマートフォンとにらめっこの状態で移動するので、景色を見る余裕もなく…の状態なのですが、今日は贅沢に1軒だけの訪問だったので、見学の後は境内をゆっくり歩かせていただきました。

 今日は、斎場の方から最初にお話しを聞かせていただき、その後で実際に斎場内を見学するという、いつもと違うパターンだったので、内容もよくわかり、(いつもは、斎場の方と一緒に見学しながら説明を受けるので、メモが追いつかないことも多々・・・)1軒しかおじゃましていないにもかかわらず、とても充実感があります。

 斎場内はとてもきれいに整っていて、葬儀社さんが今晩のお通夜の準備をしていました。生花祭壇が飾られ、ご遺族やご親族がまだ到着していない、ちょうど一息ついた頃だったのでしょう。設営のバタバタした感じもなく、式場内もゆったりしていました。

 一通り見学が終わったので、そのまま帰ろうと思ったのですが、夕方のうす暗くなるまで少し時間がありそうだったので、せっかくだからと、お寺の境内を少し散歩させていただきました。
 
 毎日、なんとなく慌ただしく過ごしていてすっかり忘れていましたが、紅葉の季節でした。ちょうど、中学生や高校生が下校する時間帯だったようで、何人かの学生たちとすれ違いましたが、みんなおしゃべりに夢中で紅葉には目もくれず・・。
 私も学生の頃は、紅葉の何がよいのか…と思っていた人でしたが、今では黄色や赤いもみじを見ると、「紅葉を見に出かけたいな」と思うようになったな、と。

 今日はそんな気付きもありました。

お寺の役目は・・・。

 「お寺は町のサロンで、子供達にとっては日曜学校のような場でもあり、いつもお菓子を貰うのが楽しみだった」と九州出身の先輩から戦前のお寺の様子をよく聞かされたものでした。
 本堂は時に児童舞踊の稽古場にもなり、ご住職自ら教えていらっしゃったとのこと。
 
 しかし、お話を伺ってはいましたが、周りのお寺を見渡しても気配すら感じられなく、檀家以外の町の人にとってあまり身近な存在とは言いがたいのではと最近まで傍観者を決め込んでいました。
 
 世の中大きな事件、事故が起こるたびに「宗教家はどうしている」と周りからのシュプレヒコールばかりで、宗教者の沈黙ぶりが目立っていましたが、ここ1年程、さすがに世の中の危機感が肌で感じられるようになったためか、マスコミやネットで紹介されるようになったためか、お坊さんの活動ぶりが一般の人々の目に触れ、知られるようになってきました。

 自殺対策に取り組む方、廃業した温泉旅館をデイケアや訪問介護の拠点にして活動されている方、仕事と家を失った人の駆け込み寺になっている方、各地のお寺で金子みすヾの生涯を演じる方、医学部で教える方、バーのマスターになりお客と語り合う方等々。

 皆さんそれぞれのお立場で葬式仏教と揶揄されるだけではと、誰にでも門戸を開き、また、お寺を飛び出しての布教ぶりが注目され、旗振り役をされているようです。
 
 お葬式や法事だけではないお寺の役目が世間一般に浸透して、点から面になっていくことで、お寺さんも町の人達の意識も双方が変わってくれば、昔のサロンがよみがえってくるかもしれない。
 益々孤独な世の中に、明かりを灯す火種になるのでは・・・。
 また、葬儀の段になってにわかにお寺さんとのご縁を持つのではなく日常的なコミュニケーションが取れれば、お布施のこともおのずとわかり合えて来るのではと少しばかりの期待もしております。 

密葬の場合は香典をいつお渡しすべきか?

 先日、「会社の同僚宅のご葬儀が密葬とのことで職場の仲間の香典を集めて持っていますが、いつ伺えばよろしいですか」とのお電話がありました。
 密葬、家族葬の場合は通常ご家族、ご親族、あるいはごく親しい友人のみで執り行われ、ご葬儀が終った後に、知人や関係者にご連絡されますが、会社関係の場合は少々複雑なようです。
 お電話頂いた方の場合でも、喪主に当られる同僚の方は、会社を数日休むために理由を公表せざるをえません。
 部署によっては取引関係者まで知る羽目になってしまいます。
 今回も通夜から告別式の日取りが掲示板に発表されたようです。
 但し、斎場は分らないとのことでした。
 式場をお知らせしないということはあくまで内々で済ませたいという意向だと思います。
 無理やり聞き出して伺っても先方は戸惑うばかりです。
 
 家族葬、密葬さらには直葬とお身内だけのご葬儀が増えている現在、一般会葬者の方々はいつお悔やみを述べるか、タイミングが難しい状況もあるようです。
 
 立会いで伺った家族葬の中には、会社の同僚の香典をまとめてご葬儀前にお見えになり、受付にお渡しして、そのままお線香をあげずにお帰りになられた方もいらっしゃいました。
 また、ご喪家側もご家族のみで通夜をして、通夜が終るまでに会葬者がいらっしゃった場合は別室で待たせてほしいとまでに徹底される方もいらっしゃいました。
 
 一般会葬者の場合ご遺骨がご自宅に戻っていますので、ご葬儀を済ませた翌日か、喪主が会社に戻る前あたりに、「仏様にお線香をあげに伺いたいのですが、如何でしょうか」とお尋ねされるのも一案かと思います。
 それに対してはご喪家側からもどのようにしたいか、ご返事頂けるのではないでしょうか。
 

お布施代について考える・・・。

 先日依頼者から「斎場として以前親戚のものが葬儀をしたお寺ではどうか」との相談を受け、先方に問い合わせてみたところ、檀家になっていただいて院号の戒名の方のみ本堂でご葬儀を執り行いますとのお話でした。
 ついでに恐る恐る戒名のお値段をお伺いすると「こちらでは200万円以上」とのことでした。

 以前、都下の寺院で檀家の方が本堂でご葬儀をされた時もこれ以上の金額だったことを葬儀社の担当者から伺ったことがありました。
 同行した担当者は中座させられ、ご喪家の依頼者とご住職とが直にお話をされたようです。
 檀家で院号を付けると200万~300万円が相場となる・・・?。
 これに葬儀費用が加わる

菩提寺ってなんですか・・・。

 「ホームページに載っている寺院会館のお寺の信徒なんで、義父の葬儀はそちらでお願いしたいのですが、いざという時には葬儀社をご紹介してくれますか」
 まだ奥様には内密にそっと打診をされたとのことでした。
 その寺院会館は以前葬儀の立会いに伺い、お寺のご住職には色々と取材させて頂いたことがありましたので、説明するこちらもつい力が入ってしまいました。
 
 我々はお話をお伺いする時によく「菩提寺はございますか」と、お聞きする場合がありますが、とっさに何のことか分らない方も多いようです。 
 そんな場合は簡単に、先祖代々のお墓があって、法要をされるお寺のことと前置き説明をして、ご理解いただいております。
 
 ご葬儀に関しては菩提寺を無視しては何事も始まりません。
 菩提寺があれば、そちらの壇信徒としての役割があります。
 まずは菩提寺にお伺いを立てて、ご指示を仰ぎます。
 
 壇信徒とはそれぞれ檀家と信徒のことで、通常檀家はそのお寺にお墓をもっている家のことをさし、信徒はそのお寺にお墓はないけれど、信者で葬儀や法事をお任せする人のことをいう場合が多いようです。
 
 お寺が所有している会館には檀信徒のみ使用できる壇信徒会館と宗派を問わない会館がありますが、お電話頂いた会館も壇信徒のみ使用になっています。
 「信徒であればこちらが初めての方でもお貸しします」とのことでした。但し、読経はご住職がなさいます。
 

葬儀を迎える朝、一番落ち着くのはお寺の境内・・・?

 ご喪家として葬儀の朝は一番心乱れる時でもあります。
 泣いてもわめいても時間は刻一刻と過ぎて行きます。今日を限りの今生のお別れです。
 そんな中でも、できるだけ平常心でこれから続く葬儀・告別式をつつがなく進行させなければなりません。
 ご葬儀当日の気持ちの整理が重要なポイントになり、そのためには朝早く葬議場にあたふた駆けつけるよりも、通夜の晩一晩ご一緒され、気持を落ち着かせ、最後の朝を迎えるのも一案だと思います。
 ご喪家側のご要望としても通夜の仮宿泊はゆっくりできるかどうかが決めてになるようです。
 宿泊施設の完備面もありますが、実際にお泊り頂いて好評か否かはたぶんにメンタルな面に落ち着きます。
 特にお寺の境内にある斎場は心の落ち着ける場所としても独特の雰囲気を持っていて、境内の持つ空間が、広さだけではないものを感じさせるようです。
 先日もお寺の境内にある1階が式場2階が和室30畳ほどのお清めどころ兼親族控室になっているこぢんまりした会館でしたが、泊まられたご喪家からも大いに感謝されました。
 1人息子さんでお亡くなりになられたお父様との絆が強く、現実を気持ちの中でなかなか受け入れにくい状態のまま通夜を迎えてしまわれたようです。
 泊まられた会館は1ご喪家のみの使用になりますので、「ゆったりした静かな雰囲気の中で、故人を囲み思い出を家族皆で語り合い、朝早く境内を散策して行くうち次第に気持ちの整理もでき、ご葬儀への気持ちの決心が付きました」とおっしゃっていたのが印象的でした。

お布施と葬儀後の相談との関係は・・・?

 都会のご葬儀では依頼に応じて葬儀社の方でご住職の手配をするのがごく自然な成り行きのようになってきました。
 60年代から70年代の高度成長期にかけて田舎から出てきた若者も定年を迎える
年代に突入し、年老いた田舎の両親を都会に呼び寄せ、最後を看取る必要に迫られています。実家は長男が継ぎ、次男のお父様は実家の菩提寺に入るわけにはいかないという方もいらっしゃいます。
まして、遠い実家の菩提寺からは、よほどのことがなければご住職がわざわざ出向く確率はすくない。
「そちらはそちらでどうぞ」ということになれば、不安は募るばかりです。
 最近「葬儀後の相談にも乗ってくれますか」という問い合わせが顕著になってきたようです。
 その一方で依頼者側はさらにご葬儀のお布施をできるだけ安くと求めてきます。
 お布施はお寺により、宗派により様々で、一概に言えませんが葬儀社の担当者はそれぞれ大方の基準を持っています。ところが最近はこの足並みが少し崩れてきているようにも思われます。
 これは格安で通夜、葬儀告別式の読経のみを受け持つお坊さんの派遣業が増えてきたのも一因でしょうか。
 但し、こちらの派遣される僧侶の方はお寺を持っているご住職ではないので葬儀後の相談は難しい状況にあります。
 格安のお布施と葬儀後のご相談、どちらも切実な問題です。双方をバランスよく持って行く方法を考えることも、これからのご葬儀のあり方を問うきっかけになるのではと思いますが・・・。
 

 
 

お布施の金額はピンからキリまでありますが、お値段の問題だけではありません。

 「菩提寺にお布施を幾ら渡せばよろしいのでしょうか」最近時々聞かれる質問ですが、一口で幾らぐらいとは言いにくい。
菩提寺も宗派によってそれぞれ違いますし、同じ宗派でもお寺によってかなりの差があります。
 まずは、ご親族の長老を始めとする、年長者のご意見を伺い、また同じ信徒の方にも伺ってみることをお勧めしていますが、最近は両者ともご存じない方が増えてきて、あまりお役にたたないようです。
 逆に菩提寺から提示され、金額がご喪家にとって高額過ぎる場合は、直接現状をお話して菩提寺に掛け合う形を取らざるを得なくなります。
 いずれにしても、菩提寺との対話が必要不可欠になってきています。
 
 一方、菩提寺を持たないご喪家の場合は、葬儀社の担当者が手配したご住職ですと大体の相場があり、一般的なお値段に落ち着くようです。それでも、値引き合戦があり、半値以下のお値段を表示するところも出てきています。
 大方の葬儀担当者はご喪家の葬儀後の相談にものれるように、お寺を所有しているご住職にお願いすることにしていますが、お寺を持たないお坊さん達の派遣をしている業者の方もあり、そちらは読経専門に相場の何分の一かの費用でまかなえるようです。

 しかし、ご相談者の中でもご両親の葬儀に直面し、初めて実家の宗派を知り、葬儀以後の不安を口にされる方も増えています。
 葬儀社の担当者もその場限りではなく、葬儀後の49日法要、法事等などの相談にも乗っていただけるご住職の紹介を心がけ、現にご紹介したお寺とのお付き合いがずっと続いているご喪家の方も多くいらっしゃいますとのことです。
 お布施は一概に高い、安いの問題だけではないようです。
 

ご葬儀をドタキャンしてしまった菩提寺住職。

 以前、働き盛りのお父様が急死され、慌てたご子息の喪主の方が菩提寺にFAXで連絡したため、ご住職の逆鱗に触れたことを葬儀社の担当者から聞いたことがありました。昔から2人の使者が菩提寺に出向き報告をするのがならわしで常識だと息巻いていらっしゃったようです。
 菩提寺をたてて、何事もまずは菩提寺に報告をして、指示をを仰ぐ。
 遠方の菩提寺の場合でも同じです。
 遠方からでも駆けつけるご住職もいらっしゃいます。来られない時は、同じ宗派の地元のお寺を紹介されたり、同じ宗派のセンターを通じて紹介される等の場合がありますので勝手にご喪家側で処理しないように。
 このように菩提寺に気を使ってもハプニングはあります。

 実は通夜にはお見えになって読経されていらした菩提寺のご住職が、葬儀にお見えにならず、ドタキャンされてしまったという前代未聞の出来事がありました。
 時として開始時間に遅れるご住職もいらっしゃるのでスタッフ一同やきもきしながら待っていましたが、一向にいらっしゃる様子がなく、連絡しても通じない状態です。
 ついに火葬時間が迫っているので、会葬者の皆様にはご焼香をお願いし、読経なしの
葬儀・告別式になってしまいました。
 前日の通夜の読経は済んでいますが仏様は成仏出来ず、中途半端な状態でお別れのご焼香になってしまい、仏式とも無宗教葬ともつかないご葬儀に会葬者も戸惑いを隠せなかったようです。
 ようやく連絡が入ったのは火葬が済み、再び斎場に戻ってきた時でした。
 言い訳に終始され、のらりくらりとされ追求しても「申し訳ない。お布施は要りません」の一点張り。
 「お布施の問題ではない」と葬儀を終えた翌日、喪主は葬儀社の担当者に同行願って、菩提寺に向かったのは言うまでもありません。

 今回の場合は昔からの菩提寺ではなく、1年ほど前にお墓を買い新たに檀家信徒になったばかりで、ご住職との付き合いもほとんどなかったようです。
 これからはお墓を買って檀家信徒になるときにはご住職の人柄チェックもお忘れなく。

分かりやすく解説しながら読経されるご住職

 通夜、葬儀、告別式、初七日法要と続く読経は信仰心のある方等を別にして、初めての経験という方も多いのではないでしょうか。
 まして子供達にとってはちんぷんかんぷんで、大人に混じって神妙な顔をして、ひたすら時間をやり過ごすのを待つことになってしまいます。
 昨年末、伺ったご葬儀ではご住職が一つひとつ丁寧に説明してから読経が始められました。
 定刻、席に着かれたご住職は「ご一緒にお勤め願いたいと思いますので、お配りした紙を見ながら木魚と一緒に般若心経を斉唱しましょう」まずはいきなり声を出すことで儀式の緊張感が和らぎ会場に一体感が生まれてきました。
 「仏様と一体になっていただくことを成仏と言いますが、まずは仏様とお弟子の約束を結んでいただきます」。
 1時間近くの儀式が斉唱、合掌、礼拝、般若心経と参加型になり、時間が足りなく感じるくらいでした、 

 「葬儀が終った時、私共もしばらくの準備が必要で、この世とあの世の間には49日間ほど掛かります。旅支度の49日間怪我が無いようにと死装束と一緒にわらじを入れてやります」
 お子さん達にも湯灌や納棺の儀を見せながら、分かりやすく説明されとても喜ばれたそうです。
 家族を中心にしたご葬儀がふえている関係もあり、お子さん達も参列されるケースが増えています。
 ご住職自ら説明されることでお子さんだけでなく、会葬者全員が葬儀という儀式の意味合いを理解されたようです。