昨年来のコロナ禍騒動の中、季節は巡り、今年も鮮やか薔薇の花の季節がやってまいりました。
ひとときの騒動を忘れさせる程鮮やかな薔薇の花は、昔から御葬儀に向かないお花とまでいわれてきましたが、昨今ではお花の種類に関係なく、献花は故人様のお好きだったお花で執り行われ、中でも最近は一本で様になる薔薇が使われる例が多くなってきたようにも思われます。
穏やかなジャズが流れる中、棺を囲み静かなひとときが過ぎていきます。
60歳で他界されたご主人の柩の蓋は鮮やかな黄色い薔薇で埋め尽くされていました。
お歳と同じ60本の薔薇は、毎年奥様の誕生日に、お歳の数だけ薔薇をプレゼントし続けたご主人への、奥様からの最初にして最後の贈り物との事でした。
又、以前お伺いしたパーティー形式での御葬儀では、ご喪家から「祭壇を造らず、棺の周りを白薔薇で飾り、進行も自分達で執り行いたい」とのご要望を頂きました。
1日だけのお別れ会としてパーティー形式で執り行い、遺影写真も飾らず、一切のものを残さないとのご希望で、献花も柩へのお花入れも白薔薇で統一された中、最後奥様の手で一本の真紅の薔薇が手向けられました。
ご出席の方々には、奥様の様々な思いが込められた真紅の薔薇は、ご主人からのメッセージを代弁しているかのようにも思われたとの由。
その鮮やかさは、時を経た今でも目に浮かびます。
毎年、薔薇の季節になると、薔薇好きの友人達と横浜イングリッシュガーデンにお目当ての薔薇の花を愛でに伺っておりましたが、緊急事態宣言が発令されたままの昨今では、伺っても気もそぞろになってしまいそうです。
こちらの薔薇には、高貴な方やスターの名前が付けられていました。
お目当てのイングリッド・バーグマンに会えるのはいつになるか・・・。