桜と気遣い

 当センターのホームページでは、ご相談いただいた皆様に、よりよいアドバイスをご提供できるようにと、当センター以外で施行されたご葬儀の口コミ、葬儀社さんの口コミ、又ご利用された斎場の口コミ等をご協力いただいております。

 いただいた口コミの多くは、こんなはずではなかったと、辛口のコメントが大多数を占めておりますが、時に是非皆様にお知らせしたいと紙面からお気持ちがあふれんばかりの嬉しいコメントも頂きます。

 先日いただいた口コミは、北海道千歳市にて、お姉様とお2人でお母様のご葬儀を済ませた方からでした。

 ご葬儀の担当者からは「ご葬儀内容についてなど、周りの皆さんが心配して色々言ってくるかもしれませんが、お2人が良いと思われることをやって差し上げてください」と言われ、前もってお2人のお気持ちはお話ししておいたので、見積り説明の際にも、「会社の規則として内容全てについて説明しなければならないので・・・」と一通り説明された後、「よく選ばれるのはこのランクですが、それより下のランクでも十分だと思います」と無理に上のランクを勧めてくるようなことはせず、むしろお疲れのお2人を色々気遣ってくださったとのこと。

 また、生前お母様が桜のお花見を楽しみにされていたので、せめてもと遺影の背景に桜の花の絵柄を合成していただいたが、担当者は桜の季節にまだ少し早い時期にもかかわらず、祭壇にも桜をご用意されて、お別れのお花入れの際には、つぼみが開いた枝を棺に入れることが出来、さらに遺影の周りには折り紙で桜の花を飾ってくださったとの由。
 さぞかしお母様もお花見を堪能されたのでは・・・。

 私事で恐縮ですが、満開の桜の季節に逝った母が思い出されました。

 担当者の気遣いと、お母様を無事お見送りできた安堵感いっぱいの口コミから、久しぶりに幸せのお裾分けをいただきました。

ご喪家にとって、良いご葬儀とは・・・。

  ご葬儀の良し悪しは、ご喪家と担当者とのコミュニケーションの取り方で決まるとまで言われます。

 ジャズの曲が緩やかに流れる中、柩を囲み静かなひとときが過ぎていきました。
 60歳で他界されたご主人の柩の蓋いっぱいに、歳の数だけ鮮やかな黄色の薔薇が咲き誇っていました。
 60本の薔薇の花は、お誕生日毎にお歳の数だけプレゼントされていた、奥様からの最後の贈り物でもありました。

 当初ご相談を頂いた折、葬儀社さんのホームページを見ても、どの社が良いのか分からなくて、と困惑されたご様子でしたが、ご紹介した賛同社の担当者との話し合いで、お食事と返礼品はご喪家側でご主人のお好みのお料理とご喪家の記念になるものをご用意され、ひとり娘のお嬢さんのたっての願いで、イベント企画のお仕事をされているお嬢さんがご葬儀の進行役を務めることになりました。

 無宗教葬にて執り行われたご葬儀はご喪家先行型で、担当者はあえて脇でアドバイザーとしての意見を申し上げるにとどめ、見守っていく形での進行となりました。

 「生前父は私の仕事内容が良く分かっていなかったようですが、最後にこれで理解してくれたと思います」。
 ご出棺後、お父様のご葬儀を取り仕切った感想を、感無量の面持ちで、担当者にお話しされたとのことです。

 同じ頃、当センターにご相談される前に火葬場併設の斎場にお伺いして、断られたとのご相談をいただきました。
 ご相談者であるお孫さんの一番の願いは、家族の一員として、御祖母様を最後の一晩皆で見守ってあげたいとのこと。

 斎場サイドでは式場控室和室部分で4〜5名様でしたら仮宿泊は可能ですが、柩の置かれている式場は防火対策上、夜9時以降お線香をあげられず、また防犯上施錠をしてしまうので、一晩付き添うことはできないとのお話しです。

 ご家族、ご親族だけで30名程。全員は無理としても、出来るだけ多くの方が付き添え、しかもご高齢者が多いとのことで、ご自宅近くに限定され、祖父様の時と同じ曹洞宗でのご葬儀を御希望されるという難しい条件でしたが、ご紹介した社の担当者は心当たりがあるとのことで、区内のお寺を推薦されました。

 本堂にてご葬儀を執り行い、2階にはお清め室に使われる大広間が2室あり、こちらでの仮宿泊が可能とのこと。

 しかしながら、こちらは貸式場として公開されておらず、浄土真宗大谷派で檀信徒の方々のご葬儀を中心に執り行っており、ご喪家では当初宗派が異なることに戸惑われたご様子でしたが、担当者はお寺に直談判をされ、是非にとご事情を申し上げたところ、ご住職の計らいで2階大広間にて一晩御祖母様と御一緒にお過ごしになられ、翌日無事本堂にてご葬儀を終えることが出来ました。

 ご葬儀に立会いでお伺いした折、担当者に全幅の信頼を寄せていらっしゃるご相談者をお見かけすると、双方のコミュニケーションがどの位取られているかが分かり、その度、今回も良いご葬儀になったのではと実感させられたものでした。

薔薇の花はご葬儀に向かない・・・?

薔薇にはとげがあり、お花は鮮やか過ぎて、ご葬儀には向かないとまで言われているようです。

しかしながら、ご葬儀の担当者からお預かりした1枚の写真の柩の蓋は、鮮やかな大輪の黄色い薔薇の花で埋め尽くされていました。
他界されたご主人の歳の数と同じ60本の薔薇は、毎年奥様の誕生日に歳の数だけプレゼントし続けていたご主人への、奥様からの最初で最後の贈り物と伺いました。

無宗教葬での1日葬を希望され、会社でイベント企画のお仕事をされているお嬢さんのたっての願いで、担当者はご葬儀の進行をお嬢さんにお任せし、脇でアドバイザーとしてご意見を申し上げるにとどめたとの由。

お食事と返礼品はご主人のお好みのお料理とご喪家の記念になるものをとご喪家側でご用意され、お母様との合作のご葬儀を無事終えられたお嬢さんから「生前、父は私の仕事内容が良く分かっていなかったようですが、最後にこれで理解してくれたと思います」と胸のつかえが取れたようにお話しされたご様子を伺い、思わずご紹介したこちらも大きく何度も頷いていました。

黄色の薔薇が全てを物語っているようでした。

また以前、立会いでお伺いしたご葬儀でも「祭壇を造らず、柩の周りを白薔薇で飾り、進行も自分達で決めたい。1日だけのお別れ会としてパーティ形式で執り行い、写真は撮らず、一切のものを残さない」とのご喪家の御希望で、献花も柩へのお花入れも白薔薇で統一されておりました。

最後のお別れは、ご会葬の方々が手向けた白薔薇で埋め尽くされた柩に、奥様が手向けた1輪の真紅の薔薇で締めくくられました。

真紅の薔薇はご主人のメッセージを代弁しているようにも見受けられました。

薔薇の季節を迎えた横浜イングリッシュガーデンでのひととき、五月晴れの空に向かって今を盛りと咲き誇っている鮮やかな色とりどりの薔薇に囲まれて、改めて薔薇の花の強い意志を感じています。

涙腺が弱いせいでしょうか。

 子どものころから比較的涙もろい方だったのですが、最近では「ちびまるこちゃん」を見ていてもホロリとしてしまうほど涙腺がゆるくなってきています。

 ご葬儀は故人様との最期のお別れの場であり、ご家族や故人様と交流があった方にとっては、深い悲しみの中で行われる儀式です。
 私たちはそのご葬儀へ立会いという立場でお伺いすることがありますが、もちろん、故人様とはご生前に交流があったわけではないので、そこに「思い出」というものはありません。

 立会いでは、ご葬儀を斎場の後方から拝見させていただくのですが、時としてこの約1時間の間に、ぐっと感情が入ってしまうことがあります。
 ご葬儀が始まる前は気丈に振舞われていた喪主の方が、お経を聞いている間、ずっと涙を流されているのを見ると、何とも言えない気持ちになります。

 また、お式の後半で、お別れの儀式の準備をするために、皆さまが一旦式場の外に出ることがありますが、準備が整うまでのこの時間は和やかな雰囲気で過ごされているなと感じることが多いのですが、準備が整って、お柩のふたが開けられている式場へ入ると、先ほどまでの和やかな雰囲気が一気に「最期」を感じる空気になり、直接故人様と交流を持ったことがない立場の私でさえ、自分の涙腺がどこまで頑張れるか…、と思いながらも、ご葬儀を後方から見ているのが仕事なので、毎回、どうしても感情が入ってしまうようです。

 葬儀社のスタッフの方たちは、自分達の仕事に集中し、次へ次へと動きまわらなければならないので、毎回のご葬儀で泣いているわけにはいかないのでしょうが、たまに、目を赤くしているスタッフの方を見ると、なぜかホッとしたりします。

 涙腺はこれから更にゆるくなってくるかと思いますが、式中に席をはずさなければならないようなことにならないように、引き締めないと・・と思います。

花の多い季節になりました

 近所の公園の桜がほぼ満開になっていました。
 昨日と今日の強風も咲いたばかりの元気な花にはさほど影響は無かったようです。

 いろいろな種類の花が咲く季節になりました。きれいに整備された公園の花壇には長く楽しめるように時間差で花が楽しめるように、咲く時期がすこしずつずれている花が植えられています。
 せっかく公園の近くを通りかかっても、忙しい時には前しか見ないで歩くので、公園を整備する方のそんな配慮に気が付いたのはつい一年前くらいのことでしたが、これから秋の初めくらいまで、楽しめそうです。

 生花祭壇に使う花も季節によって様々ですが、やはり春には春の花、夏には夏の花を使われることが多いように思います。

 以前、夏のご葬儀でひまわりの花を沢山使ってつくられた生花祭壇を拝見したことがありました。
 ご遺族のご要望だったそうですが、故人様のご生前はひまわりの花のイメージに良く似たとても明るくてお元気な方だったとのことです。
 祭壇にひまわり?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これこそその方のための祭壇なのではと思いました。
 
 生花祭壇はその方のためだけに作られる祭壇です。最近では生花祭壇にちからをいれている葬儀社さんも多くなってきました。
 その社のオリジナルデザインをはじめ、花の種類や色味など、ご家族のご要望を取り入れたデザインで作ってくれるところも少なくありません。

 花の少ない冬場でも、できる限り要望に応えてくれることも多く、デザインも沢山あります。
 生花祭壇で、との思いがある場合には、葬儀社さんへぜひご希望を伝えてみてください。

人生最後とお花の関係は・・・。

 先日、何気なくテレビを観ていると、オランダの若いご夫婦から友人の赤ちゃん誕生祝いのブーケを注文された店主が、お花は人生と共に有り、この国では誕生から最後のお別れまでお花のプレゼントは常に欠かせないものだと、力説されていました。

 1ヶ月近く前のご葬儀で、近親者だけをお呼びして、お母様を綺麗な生花祭壇でお送りし、お越しいただいた方にはおいしいお料理のおもてなしをされたいとのご要望をご相談者からいただいておりましたが、ご葬儀後のお忙しい中、早速にご満足されたご様子のご報告をいただいた矢先のことでしたので、思わず画面に見入って頷いてしまいました。

 そう言えば、私達もいつの間にか人生最後とお花は切っても切れない関係になってしまったようです。
 ご逝去された後、お布団にご安置された枕元には枕花が置かれ、枕飾りにもお花が生けられ、ご葬儀では生花祭壇を、祭壇の両脇にはご供養のための供花が飾られ、仏式、神式以外ではご焼香の代わりに献花が祭壇に手向けられます。
 祭壇や供花のお花は最後のお別れの「お花入れの儀式」で柩へと、故人様はまさにお花に囲まれての旅立ちとなります。

 少し前までは白木祭壇に比べお花の祭壇は高価なものでしたが、いつの間にかリーズナブルなお値段へ取って代わってしまった観があり、担当者の方も既成の祭壇だけではなく、こだわりを持ってご相談者のご要望に応じた生花祭壇も提供されていらっしゃるようです。

 近年、立会いでお伺いしたご葬儀の中でも、生前故人様が臨死体験の際見られたという、お花畑をイメージされた祭壇は印象的でした。
 お別れにお見えになられた方々が、色取り取りのお花畑をたどると、故人様とご対面できる造りは式場の様式と相まって、ドラマチックな雰囲気をかもし出していました。

 また、永年スキー愛好者だった方の雪山をイメージした生花祭壇では、それまで心労で担当者に愚痴をこぼし続けていらした奥様がご覧になられて、思わず歓声をあげられ、大変なお喜び様だったと伺っています。

 生前お花のお師匠だった方のご葬儀にお伺いした時は、後を継いだお嬢さんとお弟子さん達とのたっての願いで、プロの花屋さんが大方造った祭壇の、最後の仕上げを完成させ、関係者一同感無量の面持ちだったとの報告もいただきました。

 もの言わぬお花は人の心を読み取り、人生最後の伴走者を引き受けてくれているようです。

思い出深いお見送りとは・・・。

淡いピンクの柩が女性のお弟子さん達の手により、霊柩車に運び込まれました。
 万雷の拍手の中、静かに霊柩車は動き出します。
 当方も思わず手を合わせ、気持ちの中でご一緒に拍手していました。

 岩波ホールで上映中のドキュメンタリー映画、「そしてAKIKOは・・・ 〜あるダンサーの肖像〜」のアキコ カンダさんの最後のお見送りのご出棺場面でした。

 羽田澄子監督演出の映画は、日本の著名なモダン・ダンサーのアキコ カンダさんが死の直前まで踊り続けた姿を克明にとらえ、ご自身の意思を貫き通した、率直なアキコさんの生き方は観る側に勇気を与え、最後のお見送りの拍手が全てを物語っているようにも思われ、そこにはさわやかな余韻さえ感じられました。

 ご会葬にお見えいただいた方々とって、永遠の別れとなる最後のお見送りは最も印象に残ることの1つです。

 今までご葬儀の立会いにお伺いした中でも、最後のお見送りの良し悪しで、ご葬儀の空気が一変するような場面にも出会いました。
 ご葬儀の時間が押してきて、時間に振り回されているようなご葬儀も時として見受けられますが、ほんの短い時間でも思い出深いお見送りをされる方もいらっしゃいます。

 かつての大学の相撲部の仲間が柩を囲みながら円陣を組んで、涙ながらに歌い踊ってのお見送りがありました。

 通夜の席でご親戚同士が反目し、故人様側だけのご葬儀・告別式になってしまったいきさつを知らされた会社の同僚の方々が、ご出棺の際、思いっきりの万歳を三唱され、重苦しい空気を一変させたお見送りもありました。

 故人様の愛唱歌を生演奏されたご葬儀では、病気を押してまでゴルフに熱中された故人様にちなみ、いつも見ていらしたゴルフ番組のテーマ曲でのご出棺となりました。

 また、故人様の遺言で越路吹雪のライブ盤が終始流れていたご葬儀では、一転してオキナワの「さとうきび畑」の歌が静かに流れる中でのご出棺となり、耳に残るリフレインされた歌声に、見上げた青空のまぶしさとが相まって、万感胸に迫るものを感じたお見送りになりました。

 最後のお別れのお花入れの儀から、喪主様のご会葬の方々へのご挨拶へと続き、霊柩車が動き出すまでのお時間の中、永遠の別れの最後を共有できるお見送りが理想ですが・・・。

バラの季節のご葬儀

5月はバラ の季節です。
 先週伺った横浜イングリッシュガーデンでは青空のもと甘い香りと見事に咲き誇ったバラの饗宴が見事でした。

 バラには高貴な方や有名人のお名前がつけられ、華やかな雰囲気をさらに盛り上げていました。
 中でもハリウッド女優・イングリッド・バーグマンの名が付いた真紅のバラにはしばし見とれていましたが、その色合いにふと数年前のご葬儀のことが思い出されました。

 奥様から最後に柩の中のご主人にささげた一本のお花はビロードのような真紅のバラでした。

 無宗教葬のご葬儀は彫刻家だったご主人のかつてのお仲間50人ほどが集い、柩を前にして、グラス片手に飲みながら食べながら、若かりしパリ時代の思い出話に花を咲かせ、時には柩を囲み故人様とじっくりお話しをされ、そこにはお仲間同士が共有する、ゆったりとした時間が流れていました。
 
 最後のお別れにはお一人お一人が白いバラを柩に手向け、白いバラで埋め尽くされた中に真紅のバラをそっと置かれたのが奥様でした。
 その鮮やかさは今でも目に焼きついています。

 このような自由な雰囲気の中でのご葬儀は故人様の職業柄もありますが、最近お受けしたご葬儀の中にも久しぶりにお見受けいたしました。

 やはりフリーの立場でお仕事をされていた方のご葬儀でしたが、後日お別れ会をされるとのことで、ご家族ご親族を中心に無宗教葬での1日葬をご希望されていらっしゃいましたが、古くからのお仲間が多数故人様との直接のお別れをご希望されましたので、通夜ではなく、お食事会の形でお越しいただいたのが、お仲間の皆様には大変好評だったようです。

 葬儀社の担当者の方は18時からの開式だけを段取りし、ご会葬の方々が順次故人様と面会をされ、献花をされた後は、式場に設けられたウエルカムドリンクコーナーにてドリンクサービスでお食事の準備が整うまでの40分ほどをゆっくりしていただき、お食事会ではご会葬の皆様が21時までの時間を有効に過ごされたとのこと。

 一日葬とはいえ、前日からの担当者の影の力は大きかったようです。
 形式的な儀式のご葬儀が多い中、お仲間をお見送りするという視点に立ったご葬儀となり、お見えいただいた方々からも大いに注目されたご葬儀だったと伺いました。

好きな花に囲まれたい。

 花の多い季節です。買い物などで外を歩いていると、ときどきお散歩中の保育園児たちと遭遇するのですが、先日、道端や緑道に咲いている花を見つけては足を止めてしまい、先生に「おーい、歩いてくださーい。」と促されている光景を見かけました。きれいな花は、小さな子供たちの好奇心も引きよせてしまうようです。

 先日の事前相談で、ご相談者の方は、「母は花が好きなので生花祭壇にしたいと思っています」とおっしゃっていました。
 
 生花祭壇をご希望される方が増えていると感じていますが、それに伴い、生花祭壇にちからを入れている葬儀社さんも増えてきたように思います。
 祭壇のデザインは各社、オリジナルのもので、お花の種類や色はご遺族のご希望により選ばせてもらえたり、花の数を増やしてボリュームを出したり、逆に減らしてこぢんまりと作ってもらったり…。
 中には、予算に合わせてご遺族のご要望を織り込みながら祭壇をつくってくれる柔軟性に富んだ葬儀社さんもあります。

 以前、葬儀業界のイベントに行った時、某有名華道家の方がデザインした生花祭壇が展示されているのを拝見しました。
 それはそれは、ため息が出るほどの美しさで、厳粛な中にも圧倒されるような迫力もあり、「さすがだな〜」と思いましたが、これはいったいおいくらなのか…??と、つい下世話なことを考えてしまいました。
 
 私の知り合いの方は、よく、自分の葬儀の時には南国の花でいっぱいにしたいと言っています。何十年も先のことでしょうけれど、きっと華やかなご葬儀になることでしょう。

 生花祭壇は、その方のためだけに造られた祭壇です。生花祭壇を選ぶ際には、好きな花、好きな色などをリクエストしてみるといいかもしれません。

人の心を明るくする春のお花は・・・。

 朝日新聞・天声人語を見ると4月2日は詩人で彫刻家の高村光太郎の命日でレンギョウのお花の名を貰った「連翹忌」と記されていました。
 生前レンギョウの花を好み、光太郎のご葬儀では柩の上に一枝のレンギョウの花が置かれたことに由来するとも言われています。

 東京の桜はここ数日間の雨であっという間に葉桜になってしまいましたが、この季節、桜に負けじと鮮やかさを誇るお花にこのレンギョウがあります。

 二昔ほど前、ご縁があって全国各地の尼寺にお伺いした時期がありました。
 奈良の尼寺にお伺いした折、春の柔らかな日差しを浴びて、あたり一面に咲き誇っていたレンギョウの花を見ていると、不思議な夢心地で幸せな気分に浸っているように感じられました。

 先月ご葬儀で立会いにお伺いした無宗教葬でのお別れ会では、故人様が臨死体験をされた際に見られたお花畑をイメージした祭壇が設けられ、色とりどりの春のお花が柩を囲んで植えられていました。

 お花畑を見ていると、なぜかその昔奈良で見たレンギョウの花が思い出されました。

 お花に囲まれた故人様のお気持ちはいかほどだったでしょうか。

 お花畑の小道を行くと柩の故人様とご対面ができる粋な計らいの祭壇は、葬儀社の担当者のこだわりの一品でもありました。

 ご喪家からのご注文はお花畑のイメージだけでしたが、担当者はお話をお伺いしていく内に以前お住みになっていたご自宅前の公園の桜が見事で、会社の方をお呼びしてはお花見をされていたご様子を伺い、お花畑の周りに桜の木に見立てた枝を配して、春爛漫のお花畑の演出を試みたとのこと。
 最後のお花入れの儀ではその満開の桜の枝とワンパックの日本酒を柩にご家族の手で納められました。
 あちらでゆっくりお花見ができましたでしょうか。

 柩はお花畑からの旅立ちになりましたが、春爛漫のお花畑にたたずんだご会葬の皆様もこころなしか明るくお見送りされた模様です。
 春のお花は明るく内に秘めた力も強く、人の心を和ませ幸せな気分にしてくれるようですね。