ご喪家にとって、良いご葬儀とは・・・。

  ご葬儀の良し悪しは、ご喪家と担当者とのコミュニケーションの取り方で決まるとまで言われます。

 ジャズの曲が緩やかに流れる中、柩を囲み静かなひとときが過ぎていきました。
 60歳で他界されたご主人の柩の蓋いっぱいに、歳の数だけ鮮やかな黄色の薔薇が咲き誇っていました。
 60本の薔薇の花は、お誕生日毎にお歳の数だけプレゼントされていた、奥様からの最後の贈り物でもありました。

 当初ご相談を頂いた折、葬儀社さんのホームページを見ても、どの社が良いのか分からなくて、と困惑されたご様子でしたが、ご紹介した賛同社の担当者との話し合いで、お食事と返礼品はご喪家側でご主人のお好みのお料理とご喪家の記念になるものをご用意され、ひとり娘のお嬢さんのたっての願いで、イベント企画のお仕事をされているお嬢さんがご葬儀の進行役を務めることになりました。

 無宗教葬にて執り行われたご葬儀はご喪家先行型で、担当者はあえて脇でアドバイザーとしての意見を申し上げるにとどめ、見守っていく形での進行となりました。

 「生前父は私の仕事内容が良く分かっていなかったようですが、最後にこれで理解してくれたと思います」。
 ご出棺後、お父様のご葬儀を取り仕切った感想を、感無量の面持ちで、担当者にお話しされたとのことです。

 同じ頃、当センターにご相談される前に火葬場併設の斎場にお伺いして、断られたとのご相談をいただきました。
 ご相談者であるお孫さんの一番の願いは、家族の一員として、御祖母様を最後の一晩皆で見守ってあげたいとのこと。

 斎場サイドでは式場控室和室部分で4〜5名様でしたら仮宿泊は可能ですが、柩の置かれている式場は防火対策上、夜9時以降お線香をあげられず、また防犯上施錠をしてしまうので、一晩付き添うことはできないとのお話しです。

 ご家族、ご親族だけで30名程。全員は無理としても、出来るだけ多くの方が付き添え、しかもご高齢者が多いとのことで、ご自宅近くに限定され、祖父様の時と同じ曹洞宗でのご葬儀を御希望されるという難しい条件でしたが、ご紹介した社の担当者は心当たりがあるとのことで、区内のお寺を推薦されました。

 本堂にてご葬儀を執り行い、2階にはお清め室に使われる大広間が2室あり、こちらでの仮宿泊が可能とのこと。

 しかしながら、こちらは貸式場として公開されておらず、浄土真宗大谷派で檀信徒の方々のご葬儀を中心に執り行っており、ご喪家では当初宗派が異なることに戸惑われたご様子でしたが、担当者はお寺に直談判をされ、是非にとご事情を申し上げたところ、ご住職の計らいで2階大広間にて一晩御祖母様と御一緒にお過ごしになられ、翌日無事本堂にてご葬儀を終えることが出来ました。

 ご葬儀に立会いでお伺いした折、担当者に全幅の信頼を寄せていらっしゃるご相談者をお見かけすると、双方のコミュニケーションがどの位取られているかが分かり、その度、今回も良いご葬儀になったのではと実感させられたものでした。