人の心を明るくする春のお花は・・・。

 朝日新聞・天声人語を見ると4月2日は詩人で彫刻家の高村光太郎の命日でレンギョウのお花の名を貰った「連翹忌」と記されていました。
 生前レンギョウの花を好み、光太郎のご葬儀では柩の上に一枝のレンギョウの花が置かれたことに由来するとも言われています。

 東京の桜はここ数日間の雨であっという間に葉桜になってしまいましたが、この季節、桜に負けじと鮮やかさを誇るお花にこのレンギョウがあります。

 二昔ほど前、ご縁があって全国各地の尼寺にお伺いした時期がありました。
 奈良の尼寺にお伺いした折、春の柔らかな日差しを浴びて、あたり一面に咲き誇っていたレンギョウの花を見ていると、不思議な夢心地で幸せな気分に浸っているように感じられました。

 先月ご葬儀で立会いにお伺いした無宗教葬でのお別れ会では、故人様が臨死体験をされた際に見られたお花畑をイメージした祭壇が設けられ、色とりどりの春のお花が柩を囲んで植えられていました。

 お花畑を見ていると、なぜかその昔奈良で見たレンギョウの花が思い出されました。

 お花に囲まれた故人様のお気持ちはいかほどだったでしょうか。

 お花畑の小道を行くと柩の故人様とご対面ができる粋な計らいの祭壇は、葬儀社の担当者のこだわりの一品でもありました。

 ご喪家からのご注文はお花畑のイメージだけでしたが、担当者はお話をお伺いしていく内に以前お住みになっていたご自宅前の公園の桜が見事で、会社の方をお呼びしてはお花見をされていたご様子を伺い、お花畑の周りに桜の木に見立てた枝を配して、春爛漫のお花畑の演出を試みたとのこと。
 最後のお花入れの儀ではその満開の桜の枝とワンパックの日本酒を柩にご家族の手で納められました。
 あちらでゆっくりお花見ができましたでしょうか。

 柩はお花畑からの旅立ちになりましたが、春爛漫のお花畑にたたずんだご会葬の皆様もこころなしか明るくお見送りされた模様です。
 春のお花は明るく内に秘めた力も強く、人の心を和ませ幸せな気分にしてくれるようですね。