慣れ。

 先日、立ち合いに伺えなかった2カ月ほど前のご葬儀の内容について、その時の担当葬儀社からお話しを聞くことがありました。
 2カ月も前の話しなので、その後も数多くのご葬儀を施行されていることでしょうし、記憶も薄れているでしょうから、詳しい話しは聞けないかもしれないと思っていたのですが、担当者は「よく覚えていますよ」と言われ、私からの質問について事細かに回答をしてくださいました。

 仏式のご葬儀などでは、ご会葬者の方は受付を済ませ、お経を聞き、御焼香、(通夜では)お清め、(告別式では)ご出棺、などとご葬儀で行う儀式の流れはほぼ決まっているので、ご会葬で葬儀に参列された方には、どのご葬儀も「同じ」と受け取られる方も多いことでしょう。

 これは、葬儀社側にも言えることです。ほぼ流れが決まっているということは、何度も同じようなご葬儀を施行しているということになり、そこには「慣れ」が生じてきます。
 ご葬儀は、ご喪家にとって大切な人との最後のお別れの儀式であり、特別なもの。流れは同じように感じても、その内容はひとつとして同じものはありません。
 しかし、この「慣れ」がよくない方向に向いている葬儀社は、ご葬儀の打ち合わせからご葬儀が終わるまでを葬儀社主導の『流れ作業』で済ませてしまうこともあるようです。
 逆に、「慣れ」が良い方向に向いている葬儀社は、ご喪家の不安に向き合う余裕があり、ご要望をきちんと聞き入れることができるので、ご喪家にとっては頼もしく感じることができ、それらが結果としてご喪家の満足のいくご葬儀につながるのだと思います。

 2カ月前のご葬儀のことを細かくお話しができるということは、その時にきちんとご喪家と向き合って対応してくれていた証だと思いました。