五月の連休後、各地に緊急事態宣言が発令され、コロナ騒動も混沌とした状態が続き、人の心も疑心暗鬼の様相を呈している昨今です。
御葬儀の世界も、コロナ以前の1年半前とは大分趣が変わってきました。
しかしながら、御葬儀の形式・形体は変われども、お一人お1人最期のお別れの気持ちは同じです。
以前御葬儀の立会いに、お伺いしたことが思い出されます。
無宗教葬の式場では、ご会葬者が自由に時間を過ごしながらも、銘々が故人様ときっちり向かい合い、お別れしている空気が強く感じられました。
葬儀社の担当者が喪主の方との打ち合わせで、第1に言われたことは「何もしないでほしい。無宗教葬ですので、献花する時間だけを取ってもらえれば、それだけでよい」とのこと。
終始オペラのアリアが流れる中、お集まりの方々は一見三々五々おしゃべりに興じているようにも感じられ、喪主の方が時々お話の輪に入って、リラックスした雰囲気のままに30分が経過しました。
30分後、お1人ずつの献花が終り、最期のお別れの儀ではゆっくりと故人に話しかけながらのご対面となりました。
何もしないでひたすら故人様との最期の対話の時間を作ってあげるだけ。
こんなひとときがあっても良いのでは・・・と思わされた御葬儀でした。
御葬儀と言えば、1時間の中身が儀式で占められ、ご出席の方々もひたすらそれに従っているように見受けられた目には、新鮮に映ったものでした。
先日、地方からのお電話で、東京近郊の施設に入居中のお身内の方が危篤状態ですが、万が一の際の御葬儀は直葬の形で結構ですので、葬儀社さんの方で執り行って頂き、御骨だけをご実家の方へお送りいただきたいとの御相談を頂きました。
ご家庭のご事情は様々ですが、最期のお別れだけでも・・・。
一抹の寂しさを感じた次第です。