「多摩地区で生活保護を受けている知り合いの人が亡くなったので、葬儀社を紹介してもらえますか」と相談がありました。
一般の人からではなく、23区・城南地区内のお付き合いのある葬儀社の人からでした。対応が困難だという事です(故人の住民票は多摩地区でしたが、火葬場は所沢市斎場)。
言うまでもなく葬儀業界は、お客さんとの対面が前提の労働集約的な地域密着型のサービス産業です。
中には、拠点は都内に1か所の小さい会社でありながら、ネットで目立たせて相当広範囲に施行しているところもあるようですが、手厚いフォローはあまり期待できないと思われます。
それはさておき、最近読んだ「なぜ、ローカル経済から日本は甦るのか」という本によりますと、今後の日本の経済成長は、地域密着型の産業(ローカル経済圏)の成長に大きく左右されると指摘しています。
あれ? まずグローバル企業(グローバル経済圏)の収益や賃金が上がって、日本の経済成長を牽引し、それが周辺に影響を及ぼしていくんじゃなかったの?
どうも違うみたいですし、現実をみると、そうなっていない感じが強いですし、何年かたっても変わりそうもありません。
日本経済でグローバル経済圏が占める割合は、GDPで3割、雇用で2割くらいだそうで、しかも、グローバル経済圏とローカル経済圏の関係も薄いので、グローバル経済圏がいくら良くても必要十分条件ではないというわけです。
ちなみに、二つの経済圏は、様相も相当違うので、最適な政策も違うのではないかとも。たとえば、グローバル経済圏の規制緩和・自由競争一辺倒ではローカル経済圏はうまくいかない、と。
さて、本書のテーマである、ローカル経済圏の成長のためには、どうすればいいのか? 生産性の低い企業の退出(廃業)促進により集約化を進めることだと提言しています。退出促進が勝負どころで、金融機関の協力や公の規制も絡ませても取り組むべきことだとしています。結果、労働生産性と賃金上昇が実現する。
葬儀業界が、今後、退出・集約化により、労働生産性と賃金上昇がもたらされるかはわかりませんが、示唆に富みます。