ある葬儀屋の社長さんのブログで一年以上前に紹介されていた、「美味礼讃」(海老沢泰久・著)という本を読み終えました。最初のほうを少し読んで放置していたのですが、最近再び読み始めたら面白くて一気でした。調理師専門学校の経営者で、本格的なフランス料理を日本にもたらした、辻静雄氏の半生を描いたものです。
その功績がいかに大きかったかの解説は他に譲りますが、ここで取り上げたいのはちょっと違います。
辻氏は、大学卒業後、大阪読売新聞社へ入社し、社会部記者になりました。入社早々、そこで、タクシー料金の水増し請求を要求する上司記者にでくわすという話が出てきます。もちろん、その水増し分は辻氏の懐には入らず、その上司記者がみんな取ってしまうわけです(辻氏は、利用されるのが嫌で、電車を利用するようになったそうです)。
舛添知事を糾弾していたマスコミの人と、「上司記者」がダブって見えました。こんな「上司記者」に叩かれて辞職させられるとは!
もちろん、みんな「上司記者」のようなことをやっているわけではないですが、それは、できない立場と状況なだけで、自分でお金を差配できる立場になって、誰も見ていず、絶対にばれないとなったとして、きちんとできる人がどれくらいいることか・・・、心もとないです。
舛添知事のこの騒動は、本当は誰も真剣に怒ってないのに怒っているかのようなふりをして、叩きやすそうな特定の人物を公に集団リンチを行って憂さ晴らしをする、この社会の不気味さを表している感じがします。