依頼者は故人の妹さんでした。
第1報では区営斎場をお借りして、キリスト教・プロテスタントでの家族葬をご希望され、牧師さんの手配もお願いしますとのことでした。
もしも牧師さんの紹介が煩雑であれば無宗教もしくは火葬のみのこともありえるとのこと。 少々切迫感があり、事情がありそうなご様子でした。
葬儀当日、葬儀社の担当者に伺うとご家族の方々の信仰の対象が違い、それぞれが主張なさっているようです。
お父様はキリスト教が大嫌い。
その為に故人と妹さんとお母様は隠れキリシタンのようにお父様に内緒で教会に通っていらっしゃったようです。それでも最後に事情が分かってしまい、お父様は大層ご立腹で、葬儀をぶち壊すとまで言う始末。
キリスト教関係の場合は通っていらっしゃる教会での牧師さんによって執り行われることが殆どですが、それも出来ずのご相談でした。
葬儀社がお願いした牧師さんによると、信者の方でもしばらく教会を離れている場合などで、時にはこういうこともあるそうです。
葬儀予算も火葬のみ位でしたが、費用を抑えたコースで、1日だけのキリスト教プロテスタントの葬儀・告別式がおこなわれました。
柩にお花をいれるお別れの儀の後、柩の蓋を閉めるのを待ってもらい、お母様と妹さんは声を掛け合い暫しの間、故人と3人で無言の話し合いをしているようでした。
お父様はとうとう最後までお見えになりませんでした。
病院での最後のお別れを覚悟なさったようです。