無個性な喪服とカジュアル化

 ご家族、ご親族、親しい友人だけの少人数のお葬式が増えてきているからか、ご葬儀の際の喪服も男性喪主はブラックスーツ一辺倒で、黒のモーニングコートに縞のズボンという姿になかなかお目にかからなくなり、女性は喪主の奥様の和服以外は大方黒のスーツかワンピースに真珠のネックレスという無個性な装いになってしまっているようです。
 あれだけ普段のお洒落に敏感な若い女性もあわててタンスのロッカーの隅に追いやられている一張羅の喪服と称する黒い服を引っ張り出し、間に合わせているようです。
 逆にものの本には通夜の客の場合はとり急ぎ駆けつけた感じで平服でも構わないとありますが、実際立会いに伺ってみますと、ほぼ100パーセント近く黒服でいらっしゃいます。
 通夜といっても昔のようにお亡くなりになってすぐ夕方とか言うように、取るものもとりあえずかけつけることはなく、その間3日、4日と時間が経過するからには流石、ジーパン姿という訳にはいかないようです。

 喪服の決まり事は元々「皇室服喪令」が基準になり、大喪の令で女性皇族が長いローブモンタントに黒いベール付きのトーク帽と手袋、黒いアクセサリー姿で参列してから黒い小物が一般的に使われるようになったとのことですが、昨今はファッションのカジュアル化で喪服も例外ではないようです。 黒ならばということで、エナメルのサンダルやゴールドの留め金のバッグなどの光沢のあるものは小物でも黒一色の中では可なり目立ってしまいますのできをつけたいものです。
 喪服もファッションメーカーのお仕着せではなくマナーは守りながらも何処か自分らしさを出して、ご家族、友人をお見送りしたいものですね。