同窓会と間違えられた通夜の席

 近年成人式の暴走振りが話題になっていますが、ついにお葬式にまで飛び火してしまったようです。
 先日立会いに伺ったご葬儀は厳粛な中にも親子の情が篭ったお式でした。
 故人はまだ50代の働き盛りのお父様。突然の死に奥様、お嬢様のショックは大きく、葬儀社の担当者も葬儀の日取りを少しずらしたほどでした。
 6日目のご葬儀では、気丈に振る舞う2人の姿が逆に会葬者の涙を誘っていました。
 お嬢様の「大好きなパパへ」の手紙も柩に沢山のお花とともに納められました。
 おもわず担当者に「よいお式でしたね」と同意を求めると、「いやぁ、夕べの通夜は大変でした」と意外な返答が返ってきました。
 それは目が点になるようなお話でした。
 お父様はご自宅でお仕事をなさっていらしたので、お嬢様のお友達はお父様ともお知り合いの方が多かったようです。
 数十名のお友達が通夜に駆けつけて下さったまではよかったのですが、服装がジーパン、透け透けルックにミュールというつっかけスタイルで厳粛なご焼香の間中カックン、カックンと派手な音を響かせ、久しぶりに会うお友達同士話が弾み、お清めのお酒も手伝い、いつの間にか完全に同窓会モードになってしまったようです。
 周りの白い目も何のその、興奮の余り(?)あちらこちらで大騒ぎになり、担当者も堪りかねて「ここはお寺ですので静かに」と少し遠回しに注意をしたが効き目のほどは・・・・。
 「これからは葬儀のいろは以前にマナー(?)を教えなければいけない時代になったようです」苦笑する担当者に、黙って頷くしかありませんでした。