当方のデスク脇には、少し黄ばんだ手紙が10年ほど前から置かれています。
当センターに参加して間もない頃、御葬儀後のアンケートと御一緒にいただいたご相談者からのものです。
「おそらくあと数日という不安な状況の中、思い切って病院からお電話したのですが、心の拠り所となってアドバイスしていただける貴センターの存在に心より感謝しております。
お蔭様で安心した気持ちで父を最後まで看取ることができました。そして、御葬儀担当者様のきめ細やかなお働きにより、あたたかい雰囲気の中で父を送り出すことができました。
遺された者として振り返りました時、父の看取りと葬儀が不思議なこと“幸せな思い出”となっていることに気がつき、父の死に関わって下さった皆様への感謝の気持ちでいっぱいになります」。
折に触れ、そっと手にとり読み返し、1人頷いております。
お父様が御自宅で倒れられ、医師から「これが最後の入院になるだろう」と告げられ、お母様とご相談者はご葬儀の事を考えなくてはいけない状況におかれたが、現実お母様と交代で病院に行くのが精一杯でした。
当初「病院から紹介されるだろうから、成り行きでいいよね」と、あまり積極的に考えていらっしゃらなかったが、お母様のお気持ちが、公共の斎場で近親者のみの家族葬を御希望されていらっしゃることを知ったご相談者は、インターネットで密かにお調べになり、当センターのサイトを見つけ、電話番号を控えておかれたとのこと。
それからしばらくして、御逝去5日程前、ためらいながらもお母様には内緒で、思い切って当センターにご相談され、「不安もピークに達していた時だけに、お電話の最後にいつでもまたお電話してくださいとおっしゃっていただけた安心感で、ホッとしたことを覚えています」と。
さっそく、お母様にはNPOのセンターがあり、そこを通して紹介してもらった葬儀社さんが良さそうだということをお話しされ、以後センターにお任せする覚悟ができたとのこと。
残りの数日はお父様を看取ることだけに気持ちを集中することができ、御相談させていただいてよかったと思いますとの由。
以後、当方も特に残り少ないお時間でご相談を頂いた折、御相談後は看病に専念していただくよう切にお願いしております。