最期はいつものお顔で・・・。

 コロナ禍の中、最近の御葬儀はお身内の方々を中心に、御対象者と親しい方々でのお見送りが中心となって参りました。

 ご会葬にお見えになられた方々はご喪家のご厚意で、お1人づつ最期のお別れをされ、永年見慣れたお顔にホッとされる姿を、良く拝見いたします。

 ご逝去後、病院で死後の処理の一環として男性の場合はおひげそり、女性は簡単なメイクでお顔を整えますが、長患いでやつれ、痛々しい程の姿の方の場合は、プロのメイクアップアーティストの手に委ねる方もいらっしゃいます。

 御葬儀の担当者から「元気な頃のお母様に会えてよかった」と喜んでもらえたとのご報告に、思わずこちらも大きく頷くことしきりです。

 プロの手により、シリコンを入れふっくらされた特殊メイクが施されると、みるみるうちに生気を取り戻し、今にも目を開けてにっこりされるのではと思わせる程だったとのこと。

 元気な頃とは別人の様になられた方を見慣れたお顔に戻すのは、時にはプロのお力をお借りすることも必要かと思われます。

 たかがメイク、されどメイクとも言われますが、メイク一つでご葬儀全体の印象がガラリと変わる場面も、度々お聞きしております。

 一方、ご高齢の方の御葬儀では綺麗にメイクをし過ぎて、普段見慣れたお顔と違い、御家族から御葬儀の間中落着けなかったとのご指摘もございます。

 プロの方からは、通常のメイクと違い、綺麗に仕上げるだけではなく、如何に生前のその方らしいメイクが施せるかが目的で、元気な頃の写真を拝見したり、御家族の方々からお話をお伺いして、少しでもその方らしいお顔に近づける様に気を付け、それは丁度絵画の修復作業にも似ているとのお話をお伺いしたこともございます。

 永年お世話になり、昨年101歳で亡くなった、綺麗に整った伯母のお別れのお顔が、目に浮かびます。