心に残ったご出棺は・・・。

 通常1時間の葬儀・告別式もそれぞれ事情で時間が押して最後は秒刻みになり、ともするとあわただしい中のご出棺に相成るケースが多々見受けられます。
 しかし、このご出棺こそが心に残るご葬儀になるか否かの決め手にもなるようです。
 静々と執り行われるご葬儀も最後の最後にクライマックスがもたらされ、ご会葬の方々の心にその余韻が長く残るからでしょうか。

 先日のご葬儀では、出棺に際し大学柔道部のかつての仲間が大勢集まり、円陣を組み部歌で送り出す姿は圧巻で、故人には最高のプレゼントになったのではないでしょうか。

 また、終わり良ければ全て良しということではありませんが、以前、通夜の席でもめ事があり、大方のご親族によるご葬儀ボイコットというハプニングがありました。
 しかし、出棺の際、長年苦楽を共にした仕事仲間が口々に「○○ちゃん、ありがとう、ありがとう」と叫ぶやいなや、今までの重い空気が一変し、和やかなお見送りができたことが思い出されます。

 ジャズ、越路吹雪のライブ盤と大音量の音楽を流し続けた無宗教葬では、ご出棺に際しての最後の曲は一転してクラシック歌手による「さとうきび畑」でした。
 静かに流れる歌声は仰ぎ見た真っ青な空に突き刺さり、心の中まで響き渡って胸に迫ってくるようです。
 「ざわわ ざわわ」のリフレインがいつまでも耳に響いていました。