告別式が無事終了し、最後のお別れの儀では柩に通常故人愛用のものが入れられますが、時として、特別かかわりのあった方からのお手紙も入れられます。
とりわけこのお手紙の存在は格別なもので、故人の人生が浮き彫りにされ、列席された方々も万感胸に迫るものがあるようです。
先日立会いに伺った現役サラリーマンの方のご葬儀では、小学生の次男のお手紙が故人の胸にそっと置かれました。
「お父さんへ。2週間頑張ってくれて有難う。天国のおじいちゃんと仲良くね」
お父さんとの約束、楽しかった思い出を語る坊やの声は、悲しみ以上に決意を表わしているようでした。
また、3年ほど前のご葬儀になりますが、ご事情で数十年ぶりにお会いされた妹さんがお兄様宛てに書かれた手紙は妹さんの声と共に思い出されます。
「あんちゃんらしく生きた人生でしたね。
父も母も早く亡くなったのであんちゃんにぶらさがっていました。いつも心の支えはあんちゃんでした。
やっと○○家の重圧から解放されましたね。一宮のお墓は弟の○○が守っていきます。あんちゃんは幸せ者でした。ありがとう。安らかに眠ってください」
耳にピアスをした若者が喪主を務められたご葬儀では、故人の妹さんからの手紙が拝読されました。
ご事情でご葬儀に間に合わない為、遠い沖縄の空の下で綴られた弔文はお兄様への思いと最後のお別れができないもどかしさであふれ、列席された方々は涙をぬぐう間もないほどでした。
とりわけ泣きはらした喪主の姿が印象的でした。