波間に浮かぶ花びらは、永遠に漂っているかのような存在感を見せています。
あたり一面鉛色の中、そこだけが色鮮やかに光を放っているかのようでした。
先日、あいにくの雨模様の中、散骨の体験ツアーに参加してきました。
雨脚が強くなるばかりの当日は、普段あまり天候を気に掛けることもない私も、朝からテレビの天気予報に釘付けでした。
風は・・・、はたまた船の揺れは大丈夫なのか。
そんな心配をしながらの乗船でしたが、目的地に着くまでの間に行われる献花のセレモニーや心地よい音楽におしゃべりが加わりいつしか気持はピクニック気分へ。
波をよけるため、通常よりも手前になってしまったが、大きな揺れもなく散骨の目的地に到着。
参加者は散骨用のお骨に見立てたお塩を風に舞わないように水面近くから船べりにむけて播いていく。
ビニール袋ごとの方。手にとって播く方。袋から少しずつ出す方。
一方一緒に撒く花びらは頭上高く風に揺られながら落ちてゆく。
お花の他には自然に還るものでしたらお酒やお料理、お菓子なんでも大丈夫とのこと。
期せずして当日は友人の一周忌に当たります。私もお花を投げ入れながらお別れを言うことができました。
最後に花束にした献花を臨時の喪主役が投げ入れると、鐘の音が辺りに響き渡ります。
やがて船は大きく舵を取り、漂うお花の周りを3回程左回りに回って静かに離れていきました。
散骨した場所は海の住所として経緯度が記され、再び訪れることが可能です。