通夜、葬儀・告別式と続くご葬儀を省き、火葬のみの直葬をご希望の方が増えておりますが、火葬場でゆっくりお別れをされる時間をとることは難しく、どこか急き立てられる感は否めません。
そんな中、最近は一旦病院からご自宅にお帰りになり、火葬の日までご自宅でお身内の方とゆっくり最後のお別れをされる方が目立ってきたように思われます。
通常病院からご自宅にお戻りになられることは、ご近所に知られることとなり、お知り合いの方々がご会葬にお見えになられることを前提に、ご葬儀の準備に入りますが、この場合はお式が省かれ、祭壇の設置もなく、葬儀社さんの進行もありません。
生前親しくされて、最後のお別れを希望される方のみがお越しになり、故人様とご対面されるという形になります。
都会の場合は隣近所とのお付き合いも大分様変わりしてきましたので、義理でお見えになられる方も少なくなり、ご喪家のご意向がストレートに反映されたこのようなやり方でも、あまり違和感を覚えなくなってきているようです。
先日ご相談いたしましたご葬儀でも、当初ご家族だけでの1日葬を希望されていらっしゃいましたが、横浜では市営斎場での1日葬は難しい状況になりますので、直葬に変えられ、故人様はご自宅で火葬までの3日間を過ごされました。
その間にご近所の親しかった方々がお線香をあげにお見えになり、こちらで最後のお別れをされて、火葬場に向われました。
ご自宅からの出棺前、お知り合いのご住職による読経を30分以上されたとのことです。
また、以前1人住まいのお母様のご逝去で、ご長男の喪主様はご自宅にお連れし、ご親族の方々と最後のお別れをされた後、直葬を希望されたのですが、集合住宅で階段が狭く柩を上げるのが無理な状態となり、まして医務院で解剖されたお母様の体を痛めるわけにはいかず、急遽、喪主様の奥様のご実家へ搬送というハプニングがありました。
血縁でもないご親族のご自宅にいきなりご遺体が運ばれ、火葬までの2日間を快く引き受けてくださったご実家の方々のご好意と思いやりに感謝し、お母様サイドのご親族の方々は、初めてご訪問するお宅で、ゆっくりとお別れができたことが、忘れがたい思い出となられたとお聞きしました。