なぜ、この商品を選んでしまったのか

 「値決めは経営」「値決めはトップの仕事」と言われほど大事な値決めは、業績が伸びたり沈んだりする大事な要因になります。なので、葬儀社さんから「当社の価格帯はどうですか?」と聞かれても、「会社のスタンスですからね」としか答えようがありません。

 ネットで低価格を打ち出しているのが目立つので気になるのも仕方ないことです。それにひきづられるのもわかるところです。参考にするべきところは参考にしたほうがいいかもしれません。

 もっとも、参考にしたいのは、表示される低価格だけであってはなりません。ネットで便利なのは、利用したことのある人(自作自演ではないもの)や業界の人の声もあふれていることです。それを踏まえれば、そうした会社の実態、そして今後の成長についても推量できる気もします。総合的に見たうえで、値決めに活かしていったほうが賢明でしょう。

 さて、競合だけ見ていればいいというものではありません。もっとも大事で洞察しないといけなのは、購入者(消費者)です。自社、競合、購入者、この3者、3者は同じですが、その内容、状況は変わり続けるのでやっかいです。

 そして、変わり身の早さでは、購入者が第一です。
 先日読んだ、『予測どおりに不合理〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』には面白い例が満載です。提示される商品の種類や価格・組合せ・見せ方等によって、消費者は、選ぶ商品が変わる可能性が高いことが明らかにされています。要するに状況に関係なく、一貫して同じ商品を選び続けるのは難しいということです(商品の種類によって強弱がありますが)。

 逆に、商品を提供する側からしますと、状況を変えれば、選ばせる商品を変えさせることが出来るということです。

 一昔前の葬儀情報が調べられなかったときのこと、
1、A祭壇15万円、B祭壇30万円で、どちらにしますか? 
2、A祭壇15万円、B祭壇30万円、C祭壇50万円で、どれにしますか?

 では、B祭壇を選ぶ人は、1よりも2のほうが多いのが予想されます。

 祭壇の例はあまりに単純ですが、われわれが何気なく選んでいるものは、企業の思惑にうまく乗せられている場合が少なからずありそうです。
 需要不足の状況では、マーケティング力がものをいいます。最も売りたい商品を決めておいて、それを売るために、他の商品を配置する・組み合わせるとか、いう手法も色々なところで見られる感じがします。こうしたところにも、参考にすべきところがあるのかもしれません。