心に残る担当者

 「つい先日、葬儀は終わったのですが、葬儀社に対してどうしても納得がいかないことがあり、相談させてもらいたい」というお電話がありました。
 まず、地域をお伺いすると、東北方面でセンターでは対応が出来ない地域であり、また、センターはトラブルを未然に防いでいただくための活動をしているのでご葬儀後の事でお役にたつことが出来るかわからない旨をお伝えしたうえで、話しを聞かせていただきました。
 
 トラブルがあったのは、お母様のご葬儀の時だったそうです。
 依頼した葬儀社は数年前にお父様の時にお願いした葬儀社で、その時の対応はとても良いものだったそうです。しかし、お母様のご葬儀では、ご家族の事情により、一人娘であるご長女(ご相談者)が一人で見送ることになり、以前とてもよくしてくれたからと、その葬儀社に依頼したそうなのですが、自分ひとりだったからか、足元をみられたようだとおっしゃっていました。
 お母様の時は神道での葬儀だったことから、その旨を葬儀社に伝え、神道も大丈夫とのことで依頼されたそうですが、準備では足りないものがあり、また、神道のご葬儀では一番大切とされる儀式も中途半端な状態で行なわれ、台無しにされ、それが一番悔しいと。
 また、どう考えても仏式の作法でしょうと思うお焼香をし、それに対して異論を伝えると、「うちの神道はこうだから」と言われたそうです。

 それらを葬儀が終わってから葬儀社に訴えても、結局結果は「言った・言わない・聞いていない」の水掛け論で自分の話しは認めてもらえず、納得がいかない気持ちを引きずったままになっているとのことでした。
 
 葬儀は地域性も大きく関わりますので、わからない地域の葬儀の内容についてはセンターでもいい・悪いを判断することはできませんが、少なくともご喪家の方が納得できない状況だったことが残念でなりませんでした。

 葬儀社にとって、葬儀は日常の仕事であり、もちろんたくさんの葬儀をしていかなくてはなりませんが、一度きりの葬儀を行なうご喪家にとって葬儀社とは、大切な人を送るときに力になってくれる大きな存在で、満足のいく葬儀を行えた方はその担当者のことをずっと心に残っているでしょう。
 ただ、その逆もあり。
 母の葬儀をその担当者に台無しにされたとおっしゃるこのご相談者はその気持ちをこれからずっと引きずってしまうと思うと本当に残念だと思います。

 結局、具体的にお役にたつことはできませんでしたが、一通り話し終えたご相談者は、「なんだか癒されたし、話が出来て良かった。葬儀社に対してはまだ納得はしていないのでまだこれからもどうするか考えます」と、少し元気になられたような声でおっしゃっていました。