何もせずに、静かに見送りたい。

以前、参列者は家族だけで、ゆっくり見送りができる葬儀にしたい、という事前のご相談を頂きました。
ご対象者はお父様で、菩提寺もなく、宗教の信仰もないとのことで、できれば宗教色のない葬儀というかたちを希望されていましたが、最初のご相談時点では、無宗教葬というものがどういうものなのか、いまひとつわか
らないとおっしゃっていました。

無宗教での葬儀を希望される場合、大きく分けると、例えば音楽葬にしたい、懐かしい映像・画像を見ながら故人様を偲ぶような式にしたい、など、どのような進行で行いたいか具体的な希望がある場合と、特に進行する宗教がないので、宗教色のないものにしたいので、と漠然と考えられている場合がありす。

このご相談でのご希望は、無宗教葬で、できれば何もせず、家族でいられる最期の時間をゆっくり過ごしたいというご希望がありましたが、実際にはどのような葬儀になるのかを心配されていました。
そこで、事前の段階で、ご紹介葬儀社の担当者と面談し、具体的なご相談をされたのちに、直接会館の見学も行い、ご納得された状態で葬儀社をお決めになりました。

その後、事前にご相談された通りのかたちで、葬儀が執り行われ、通夜・告別式の時間を特に何もせず、ご家族がただただ故人様とゆっくりお過ごしになる時間に使い、通夜の夜は会館にお泊りになられたとのこと。
ご葬儀後には、「家族だけで静かに送りたい、という希望通りの納得がいく葬儀ができました」とご報告いただきました。

近年、家族だけでの葬儀なので、と、直葬をお選びになる方も多いですが、一方で、火葬のみでは忍びないので、と、一日葬などでゆっくりお別れができるようなかたちを希望される方も、このところ増えてきたように感
じます。

葬儀(特に無宗教葬)というと、何かしなくては、という気持ちにとらわれることもあるかと思いますが、儀式や進行にとらわれず、なにもしないで静かにお送りすることがご家族のご満足につながることもあるのだな、
と思いました。