直葬にも様々な顔がございます。

 一瞬「おう・・・」という声にならないどよめきが、辺りに響き渡りました。
 暗闇の中、無数のライトが一斉に輝き、ブルー一色の幻想的な世界が一瞬にして目の前に現れ、あの世もかくやと思わせる不思議な体験をして参りました。
 
代々木公園並木通りの日常が、非日常に変わる瞬間でもあります。
 並木道一面に敷かれたリノリュウムのシートが青色のライトに反射し、舞台効果をより際立たせた中を、大勢の観客が荘厳な気持ちに浸りながら右往左往している風景は、昨今のイルミネーションブームの中でも特異な存在感を示しているようです。

 平成最後の年末も、あと僅かになって参りました。
 ご葬儀の世界も、今年に入り大分様変わりを見せてきております。
 お式を省いた直葬が、ごく一般的に語られ、ご相談頂くようになってきたのも一つの特徴かと存じます。
 それに伴い、直葬にも様々な取り組みがなされ、御家族に出来るだけ負担を掛けないようにと、ご本人様からのご要望も増え、また少数ですが、菩提寺のご協力も増えつつあるようです。

 菩提寺にせっぱ詰まった家庭の事情を思い切ってお話しされたところ、ご住職から火葬が終った段階で戒名のことも含めご相談しましょう、とおっしゃっていただけた方もいらっしゃいました。

 又、お式はできないが最後のお別れだけはゆっくりされたい方も増えてきております。
 ご葬儀の担当者サイドも、ご要望にあった見送り方をあれこれと検討されてきつつあるのが特徴です。

 その一つとして、火葬前日に自社安置所にてゆっくりとご面会できる場を提供している社もございます。
 前日、安置所にて妹様とご一緒にお母様と最後のお別れをされたご相談者の場合は、当日火葬場に急遽お見えになられた叔父様ご夫妻にお別れの時間をご提供出来、ほっとされた状況をアンケートで頂きました。
 
 また、ご安置中はご家族の方が日参され、さらに火葬前日にはご親族の方々も含め、お弁当持参で最後のお別れをされたご喪家もいらっしゃいました。

 一方火葬当日の朝、火葬場にご出発前に空いている自社斎場を開放し、ゆっくりと最後のお別れの場を提供されている賛同社もいらっしゃいます。
 
 今後さらに直葬へのご要望に合わせて、より一層最後のお別れへの取り組み方に期待できるのではと想像されますが・・・。
 ブルーのライトに期待を込めて・・・。