ご葬儀の立会いに伺うと、通夜の空気で早くも良し悪しが分かってしまう感があるように思われます。
葬儀が終わった時、良いご葬儀だったと思われるのは決してお金を掛けたからでもなく、会葬者が沢山来てくれたからでもないことは皆さんご承知の通りです。
故人とは直接面識のない方々ばかりが多数お集まりいただいても、一番戸惑われているのは故人かもしれません。
そんな状況からか、近頃は都会を中心にご家族親族を中心に極親しかった方のみをお招きするケースも増えています。
遠路はるばるの方、久しぶりにお会いする方、それぞれの事情を抱えながら万感の思いで故人を偲びに駆けつけます。
喪主の方は参列者が多い時でもせめて目をあわせ、次に何時会えるか分かりませんので会葬者とはできるだけお話された方がよろしいのではないでしょうか。
定刻どおり、通夜の読経から始まり約45分間の読経の間に、ご焼香の終わった一般会葬者は礼状と返礼品を受け取り、随時お清め所に案内され、型通りのお食事をされてお帰りになる。一つのパターン化された儀式に近いものを見ていると、通夜の席ではもっとくだけておしゃべりしても良いのではとまで思ってしまいます。
会葬者に「通夜ぶるまいはしっかり食べたり、飲んだりしていって貰いたい。故人を弔う意味からも」と声をかけているベテラン担当者いわく「飲み食いは残る位がよろしいですよ。食べていってくれるのが供養になりますから」と。
会葬者がゆっくり腰を据えて食べていかれた通夜はどこかあたたかな空気に包まれ、悲しみの中にもホットしたやすらぎをあたえてくれるように感じられます。