担当者のアドバイスと采配

 ご家族、ご親族を中心としたご葬儀が多い昨今ですが、ご列席の方々もご葬儀の経験をされた方は少なく、勢い定番のご葬儀に合わせるように決めて、心に残るものが今一つ実感できないもどかしさを感じていらっしゃる方も多いかと存じます。

 ご喪家にとって不安と戸惑いの中で執り行われるご葬儀は、担当者のアドバイス如何に掛かっていると言っても過言ではありません。

 ご葬儀の良し悪しはご喪家と担当者双方のコミュニケーションの取り方にも関わってきます。

 納棺に間に合わなかった弟様のたっての願いは「最後の晩をお父様とご一緒に過ごしたい」でした。

 当初ご自宅でご逝去されお父様は、納棺後市営斎場での1日葬との段取りでしたが、ご葬儀まで1週間待ちとのことで、ご相談者の仕事の関係から難しい状況となり、急遽担当者の提案で地元のお寺でのご葬儀に切り替わりました。

 納棺後、ご葬儀会場となるお寺の安置所に移動されましたが、弟様が遠方から駆け付けたのは、ご葬儀前日でした。

 通夜を執り行わない1日葬で、式場費も半額とのことでお泊りは難しい状況でしたが、こちらのお寺を良く知る担当者の掛合いで、2階の空いている和室をご提供頂けることになりました。

 1階にご安置されている柩を2階の和室に運び込む手立ては階段しかありませんでしたが、御兄弟3人で力を合わせ、お父様を柩ごと2階和室にお運びし、お父様を囲んで最期の一晩をお過ごしになられた旨、感無量の面持ちで担当者にお話されたとの由。

 また、以前お伺いした家族葬では、ベテランの担当者から開口1番に「お身内だけですのでゆっくりやります」とのお話をいただきました。

 最期のお別れを重視され、柩にお別れのお花を入れるお花入れも、暫しお父様との無言の対話のお時間を取り、お母様は担当者が用意した車椅子にて火葬場に向かわれました。

 火葬場の告別ホールでは最後のご焼香後、お母様はなかなかその場を離れることが出来ない御様子でしたが、周りの方々はゆっくり見守り、全てお母様中心に運ばれた担当者の行き届いた采配ぶりにホッとした思いがしたものでした。

 横並びの「普通」のみを押し付けず、ご家族のご意向を汲み、ご喪家と同じ目線に立ってお見送りが出来るか。

これからも担当者の采配ぶりを期待したいですね。