見送る気持ちは不変です。

 新聞に掲載されていた記事の切り抜きを見ています。

 「弔いのあり方」という特集記事の中で、遺言どおり家族葬を執り行った御家族の話に、思わず目が止まりました。

 「家族葬の大変さを実感しました」との記事内容は、御葬儀の段取りや内容そのものではではなく、周囲の方々のあまりにも大きな反応に戸惑われたことでした。

 「何で教えてくれなかった」に始まり、「この前執り行った旦那様の葬儀に比べ、質素でかわいそう」「えらい扱いだ。こんな目に合うなんて」「友達だってお別れを言いたい。それを断るのはおかしい」等々。

 故人の遺言であることを告げても、なかなか納得していただけなかった由。

 大分前のお話しかと思い、記事の日付を見るとほんの2年半ほどの前でした。

家族葬、直葬の言葉はマスコミを中心に以前から取り上げられていましたが、それが現実となると、一般的に浸透するまでには大分時間がかかったようです。

 それでも、いつの間にか内々での家族葬はもとより、火葬のみの直葬までもご家庭での御葬儀の話題に上るほどになり、今年に入ってもたらされたコロナ禍の中では、むしろ1日葬での家族葬が話題の主流を占めるまでになり、御葬儀の在り方にも急激な変化がもたらされて来ているようです。

 一方でコロナ禍の中、3密(密接、密閉、密集)を防ぐためと称し、御葬儀はオンラインでと、記帳・香典の受け渡しから始まり、御葬儀風景も生中継され、決済も全てオンラインで完結する御葬儀が話題を集める昨今でもあります。

 しかし、見送り方がどんなに変わろうとも、御葬儀だけはやり直しがききません。

 最近はハウツウ型の一見スマートな御葬儀が目につくようにも思われます。

 コロナ終息の折には、労を厭わぬ、お一人お1人の個性に合わせた、お見送り方が待ち望まれます。