最期の晩

 コロナ禍の報道に、相変わらず一喜一憂する毎日が続いています。

 都内での感染者数は日により多少減少しても、重症患者数がかえって増え続け、医療崩壊も視野に入れておく必要ありと連呼されておりますが、一方でコロナの実情も分かってくるに従い、少しづつではありますが、落ち着きを取り戻しつつあるようにも思われます。

 防止対策として3密(密閉、密集、密接)に続き、さらに不要不急の外出が取り沙汰される昨今ですが、御葬儀だけは取りやめるわけにはいきません。

 勢い、御葬儀にお伺いする方もご喪家側も、お互いの気持ちを察し、感染拡大を防ぐ手立てとして、お身内のみで執り行うことで、今少しのご辛抱を・・・と、双方が歩み寄る形に落ち着いてきているようです。

 通夜、告別式と続く御葬儀自体も通夜を省き、葬儀・告別式のみ執り行う1日葬が増え、2日間の御葬儀でも、特に通夜のお食事に関しましては省略されるケースも多く、通夜ぶるまいとしてお出しするのは現状2割程度とおっしゃる葬儀社さんもいらっしゃいます。

 また、時として最期の晩の過ごし方はご喪家にとりましても、ご出席の方々にとりましても、特別感慨深い思いにさせられるようです。

 コロナ禍以前には、こんなエピソードもございました。

 通夜ぶるまいの後、遠方から駆け付けたご親族と友人十数名で、式場に御安置された故人様を交代で見守り、さらに隣の大広間にはお布団を敷き詰めて、皆様で一晩雑魚寝をされ、合宿所のような雰囲気の中、翌朝、バケツリレーよろしく、皆様の手で次々とお布団の山が築かれていくのが、圧巻だったとの由。

 参加された皆様からは、次々に、故人様との良き思い出になったと、上気して当時のご様子をお話頂いたと担当者からお聞きし、当方も思わず胸を熱くしたのが思い出されます。

 今となっては、コロナ終息の折には、懐かしいエピソードとしての思い出が、再び現実になることを祈るばかりです。