地区の生活相談員をされている方から夜遅くお電話をいただきました。
9年前から生活面の面倒をみている方がお医者さんから後2ヶ月は難しい状態だとの報告を受けたので、前もってご葬儀のご相談をしたいとのことでした。
始めに気がかりだったのは、ずっとお世話をされていらっしゃるとはいえ、ご家族でもご親族でもない方が勝手にことを進めてよいものかということでした。
勿論ご相談者は先刻ご承知のことですが、そのことをあえてお尋ねしました。
少し離れたところにご兄弟が5人もいらっしゃるとのことですが、この9年間どなたも1度もお見えにならず、ご連絡もない状態とのこと。
先にお亡くなりになったおじいさんおばあさんのご葬儀の時もゴタゴタの末、相談者の方に押し付け尻ぬぐいさせられた苦い経験があるので、今回は前もって葬儀社の方をご紹介いただければということでした。事情が事情なので少しお話をお伺いいたしました。
県に管理してもらっている財産と呼べるものはほとんど底を突いている状態なので提示されたご予算は直葬に近い金額でした。
多少のお値引きはあるとしても、2日間のご葬儀には公営斎場を想定しても葬儀社さんに支払う金額の他に斎場費、火葬代、搬送代、飲食代、返礼品代、お布施代等がかかります。
こちらの一存では返答しかねますので、地域の賛同社と連絡を取ってからご返事することになりました。
人のいい賛同社の担当者は「東京と違って大丈夫ですよ。二つある公営斎場の常設祭壇のある方でしたらなんとかなります。業者さんではなくお食事も外部持込にすればいいですし・・・」
翌日、早速に指定されたお時間にお電話いたしました。
実はあれからご相談者も面倒をみている方のご親族にご連絡されたそうです。
ご親族からはご葬儀のことはお亡くなりになったあとでよいと素っ気ないご返事に相談者も困惑のご様子。
なにもしないで口だけ挟む典型のようなご親族のようです。
だけど何もしないわけにはいけません。
ご事情が目に浮びます。
あくまでご親族が優先ですので、見積りやいざとなった時の手配等の準備だけでもそっとぬかりなく。
「担当者に事情を話しておきましたから大丈夫ですよ。万が一の時でも分るようにしてありますから・・・」と申し伝えると、電話口の声も心なしか安堵のご様子でした。