戦後最高値の円高

 3月11日から10日が過ぎました。
 自然の怖さに呆然と立ち尽くす間もなく、文明の恐ろしさもじわじわと押し寄せてきています。
 被災地の皆様のことを思うと何と慰めてよいか、適切な言葉が見つかりません。

 そんな中、遠く離れた東京で店頭から日用品や食料があっという間に消えてしまいました。
 先日、店内の空になった棚を見渡していると、背後からうわずった女性の声が飛び込んできました。
 振り返ると、そこには最後に残った卵のパックを持った目が据わった女性の姿が・・・。
 思わず、深呼吸して冷静に・・・と呼びかけたくなる光景でした。

 被災地の皆様の方がずっと冷静で耐えていらっしゃいます。
 人間は弱いものですが、辛い局面を何とか乗り切る力を持っています。

 昨年お亡くなりになった免疫学者で能作家でもいらっしゃった多田富雄さんは、ご自身も病気との闘いの中で、この力の由来を「作用と反作用の原理」と称し、どん底まで落とした負の力にはそれを跳ね返す力が働くと励ましていらしたようです。

 また、私事で恐縮ですが、母の葬儀の時、火葬場の入口にバスが差し掛かった時、車中が突然明るくなり、びっくりしたことが思い出されます。窓の外は見事な桜のトンネルでした。その時初めて今が桜の季節だと気が付きました。
 
 被災された方々にも必ずトンネルの明かりが見えてきます。
 やがて、桜のトンネルに気付かれる季節もやってくることを信じています。

Posted at 15:45 by (松) Comments/TrackBack(0) Permalink

2011年03月18日(Fri)▲ページの先頭へ

今なぜ円高に?
 戦後最高値の円高になったそうです。
 「復興に向けた手元資金を確保するため、日本企業が潤沢な海外資産を売って円を調達する」
 事の真偽はわかりませんが、素人考えでは、国難と思われるような現在のような状況では円が売られ円安が進むように思われます。それでも、円高になったのは、
 「未曾有の苦境の中でも、冷静さを失わず規律と節度が守られている日本の民度の高さをもってすれば、必ずやものすごい復興を成し遂げる、と外国市場が見て(感心して)円買いが進んだ」
 という解釈のほうが私にはしっくりきます。
 
 後世の歴史家が、次のように記述するかどうかは今後の我々にかかっていると思います。
 「日本の社会は無縁社会などと言われてバラバラになり取り返しがつかないような状態になりかけていてたが、この苦境を乗り越えることを通して、再びまとまり出した。そして、戦後100年のうちに2回目の奇跡の復興を成し遂げた。1回目は物理的なものであったが、2回目は物理面もさることながら、それを支える精神面であった」
 こうならないと、震災で亡くなられた方も浮かばれないと思うのです。