夏が近づくと一枚の絵葉書が気になります。
麦藁帽子に白い服の少女は背丈ほどもあるお花畑を突き進んでいます。
「遠い夏の日」のタイトルの少女はまだお元気でしょうか。
3年前に頂いた絵葉書の中の少女は後姿しか見せませんが、夏の強い日差しを浴びながらも毅然とした姿で歩き続けているようです。
数十年後の少女から頂いた事前相談のお礼のお手紙には「万が一の時にはすでに一生が終わって何一つそのことにたずさわることもございませんわけですのに、客観的に冷静に考えられまして妙にすっきりいたしました」としたためられ、これからの行く末を見据えて生きる気迫が感じられました。
事前相談がマスコミに取り上げられ始め、今までの因習にとらわれず、自分の最期は自分の考えのもとでとご希望される方々が出始めたのも丁度その頃でした。
「いつか必ずお世話に預かりますことと存じます」と結ばれたお手紙と絵葉書をファイルの中から取り出しては時折眺めています。
今年もまた永遠の少女からのお便りが届きませんようにと念じつつ・・・・。