「残暑お見舞い申し上げます」のはずが、一気に涼しくなり、ここ2〜3日はご葬儀の黒服姿も苦にならなくなるほどです。

 今年の夏もご葬儀では様々な人間模様を知る機会を得ましたが、嬉しい出来事もありました。

 初めはお姉さんに顔を見るのも拒否された弟さんでしたが、49日も過ぎ、無事三途の川を渡ったことでしょう。

 「警察から遺体を引き取って火葬にしてお骨を預かってくれる葬儀社さんを紹介してください。後でお骨は取りに行きますので・・・」深夜いただいたお電話に思わず・・・。

 20年以上も音信不通の弟さんの死を警察から知らされ、戸惑いが隠しきれないご様子です。

 「顔も見たくないし、だいいち主人にも弟の存在すら話してないので、私の貯金でやるしかないんです」
 
 弟さんの為にもこの切羽詰った状況をなんとか打破してあげなければ・・・。

 ことの次第を話して、センターの賛同社にお願いすることになりましたが、こちらもいっしょにすがるような気持でした。

 2日後、葬儀社さんからの報告は、なんと翌朝東京近郊からお嬢さんとお2人で葬儀社に駆けつけ、一緒に御遺体を引取りに出向いたとのこと。

 さらに翌日の火葬式には御主人と3人のお嬢さんも参列し、無事お見送りして、大事にお骨を抱えてお帰りになられたご様子まで伺いました。

 「49日には菩提寺に納骨します」とおっしゃっていたというお姉さんの晴れ晴れとした顔が目に浮かぶようです。

 案ずるより生むが易いではないが、こちらまで胸のつかえがいっぺんに下りたような気持です。

 今年は3・11以来「絆」という言葉が巷に溢れています。
 お姉さんにとっての「きずな」にはどんな思いが託されているのでしょうか。