「お手配まで進めていただいているところではございますが、しばらくペンディング(保留)ということで、ご了解いただければ幸いです」
新年早々に、上記のメールをいただき、ホッといたしました。
通常のビジネス用語としては、かなり否定的なニュアンスをもたらす言葉ですが、ご葬儀の進行状態の中では、うれしいニュアンスも込められています。
昨年の5月に最初の事前相談をいただき、メールのやり取りで見積りをお取りし、ご検討いただいているご相談者からの久しぶりのご連絡でした。
この前にご連絡を頂いたのはお見積りをお渡しした1ヶ月ほど後のことでした。
お悪かったお母様の病状が回復の兆しを見せ始めたので、「将来、そういう場合が参りましたら、その際にはあらためてご連絡をして、打ち合わせた通りに進めさせていただきたい」旨ご連絡を頂いてから半年。
ずっと小康状態を保っていらっしゃるとのこと。
もうしばらくはこのままかと思われていらっしゃるご様子に、思わず今は出来るだけお母様とのお時間をお取りいただくようこちらからも改めてご伝言申し上げた次第でした。
ペンディング宣言から8ヶ月、残暑厳しい最中、メールをいただきました。
お母様のご様子が思わしくなく、「以前の見積り内容は今でも有効ですか」とのお問い合わせに、「大丈夫」との葬儀社の担当者の言葉をつなぐ間もなく、ご逝去の報が入りました。
ご病状を伺ってから1年4ヶ月よく頑張りましたね。
いつの間にか、こちらも身内の不幸に出会ったような気持ちになっていました。
事前のご相談を伺っていると、途中から対象者の方の病状が快復に向かい、ご相談者からペンディングをご希望されるケースに出会うことがたびたびありました。
私たちは「いのち」に一喜一憂しています。
どんなに先延ばしされ、保留されても動じないのも「いのち」です。
時として「いのち」の不思議を感じます。