故人様を偲ぶスペース

 式場の一角に故人様を偲ぶ「思い出コーナー」を設置するご葬儀が近年、とても増えています。
 故人様の思い出のものを飾り、ご親族やご会葬の方にも故人様と過ごした時などを思い出してもらい、葬儀の緊張感から少し和んだ気持ちにさせてもらうのにもよいスペースのように思います。

 ご葬儀の立会いで伺った際にも、思い出コーナーがある時にはゆっくり拝見させていただいています。
 ノートパソコンを置いて、故人様との思い出の写真をスライドショーでながしていたり、故人様が趣味でやられていた華道の作品を、写真を元に生花で再現したものが飾られていたり、また、葬儀社さんによっては、預かった写真をそのまま飾るのではなく、写真を引き伸ばして、ご高齢の方でも見えやすいように飾られたりなど、葬儀社さんやご家族によって、様々な工夫が施されていることも多いようです。

 私の祖母の葬儀では、孫やひ孫の七五三の時に一緒に撮った写真が並べられていました。
 喪主を務める叔父は、葬儀社さんに勧められたときに、祖母には特に趣味などもなかったので思い出コーナーはなくてもいいと思っていたそうですが、遺影に使う写真を選んでいる時に、七五三の写真がまとめて出てきたことで、やっぱり飾ってもらおうと思ったのだそうです。
 写真に写っている小さかった孫たちは、祖母が亡くなった時には30代から40代。ひ孫も小学生になっていて、その写真からはずいぶん変わってしまいましたが、一緒に写っている祖母はずっと変わっていないようにみえるね、など、普段あまり会えない親戚たちと懐かしんで話しをするきっかけになり、小さなスペースでしたが、あってよかったと思いました。

 ご葬儀の準備はご家族にとって慌ただしいことと思いますが、思い出コーナーは普段なかなか会えないご親族やご会葬される方にとっても故人様との思い出を振り返ることができる場所にもなるかと思いますので、ご希望があれば葬儀社さんに相談してみてはいかがでしょうか。