最近、たて続けに無宗教葬をご希望されるご相談を受けております。
宗教色のない、お別れ会のような形でお見送りをされたい。
できるだけシンプルなご葬儀をご希望ですが、読経がない分、綺麗なお花を飾ってお見送りをされたいとのご要望をいただきました。
6〜7年前、無宗教葬が話題にのぼり、宗教色のないご葬儀を希望されていらっしゃった方々が強い味方ができたとばかりに、一時期次々と無宗教のご葬儀を執り行なった感がありました。
そんな中、無宗教葬のアドバルーンも周りの反対や戸惑いに徐々にトーンダウンされたのか、いつの間にかここ何年かは尻すぼみ状態のようにも感じておりました。
しかしながら、ご要望は地道に脈々と受け継がれ、周囲の反応も大分様変わりしてきたようで、ここにきてようやく、無宗教葬にもごく普通に市民権が得られるのではとの予感がいたします。
そんな中、かつて、立会いでお伺いした無宗教葬のシーンが思い出されます。
通夜の席、祭壇に手を合わせた後、100人以上の会葬者がお1人ずつマイクを片手に柩の故人様に語りかけていました。
長い沈黙の後ぼそっと一言話す方、出会いから現在の心境まで詳しく話す方、涙声で聞き取れない方、皆さんそれぞれ最後のお別れです。
故人様と向き合ったお1人おひとりの言葉はどんなに短くてもその人なりが出て、次第に1つのドラマになり、いつの間にか式場全体に一体感が生まれ、大きなうねりとなって迫ってくるようにも感じられました。
目を閉じて聴いていると故人様の世界が広がり、面識がないのにいつの間にか、当方までが旧知の間柄のような錯覚を覚えてしまうほどでした。
ご遺族のお子様達も「私達の知らなかった父の一面を知ることができました」と感慨深い面持ちで涙ぐんでいらっしゃったのが印象的でした。
これからは宗教色のない、その方らしいこんなご葬儀も増えてくるのでしょうか。