「15,16日あたりはお坊さんの確保が難しいですよ。お忙しくて場合によっては断られることもありますので・・・」
実感がこもった電話口の賛同葬儀社さんの言葉に、思わず季節の移り変わりの速さを感じた次第です。
今年も早お盆の季節がやってきました。
地域によっては8月の旧盆を指すところと、当方の実家のあたりのように7月をお盆の季節と呼んでいるところとそれぞれですが、日本の原風景のようなお盆風景もまだ各地で見受けられるようです。
お盆行事を大切にしている実家の遠州地方での新盆は、第2のお葬式とまで言われ、ご葬儀顔負けのように盛大な習わしが今も脈々と受け継がれています。
新盆のお宅は金銀の飾りで満艦飾の祭壇が用意され、ご訪問者をお待ちしております。
ご葬儀に伺った方は「盆義理」と称し、1年間にお伺いしたお宅を、お盆の夕方に再び1件1件訪問する習わしがあり、この間車は渋滞し、街中が黒服だらけになるとまで言われています。
ご葬儀と違い、バラバラにお見えになる大勢の訪問客をお迎えする方も大変ですが、故人を偲び、義理人情を彷彿させるこんな風習は今では貴重な存在です。
少し前でしたら無駄なように感じられた方も多かったと思いますが、大震災以来新たに地域の絆の大切さが見直されており、花笠を背負い勇壮活発に笛や太鼓鳴らしながら念仏を唱和して、新盆のお宅を回る遠州大念仏と共に残してほしい風習の一つになっているようです。
母の新盆の折には親戚・従妹達が集まり、たいまつの火を消さないように皆で門前までリレーで運び、火が燃え尽きるまで円陣を組んで、久方ぶりのおしゃべりに話が弾んだ、送り火の風景も懐かしく思い出されます。
今年も間もなく迎え火のお時間がやってまいります。