先日「身内の者が危篤状態なのですが、家族葬での相場はお幾ら位でしょうか」との最初のお電話をいただいてから3時間後、ご相談者からご逝去の報が入りました。
その間、ご相談者からは、お見積りに関するご質問やご依頼があり、緊迫した状況が刻々と伝わってきました。
初めてのご葬儀とのことで、「病院付きの葬儀社さんからドライアイスをすぐに入れないとダメだと急かせられているのですが・・・」とのお問い合わせには、そんなに急ぐ必要がないこと、葬儀社さんはすでに決めていらっしゃることを先方に申し上げ、担当者がお迎えに上がるのを、お待ちいただくよう、お伝えいたしました。
搬送、ご安置をされた後、葬儀社の担当者は大筋の打ち合わせだけをして、翌日ご自宅にお伺いし、本格的な見積りの作成に入りましたが、ご相談者がご葬儀のご相談で立ち会ったのは、安置後の打ち合わせまでとお聞きしています。
ご相談者は故人様の娘婿に当たられる方で、その後の打ち合わせは全て、奥様と喪主のお義母様に、バトンタッチをされたとのことでした。
ご逝去直後のお義母様と奥様のお気持ちを考慮され、ご葬儀に関する情報を一手に引き受け、一つひとつのご葬儀の内容はお二人に全てお任せされたご様子とのこと。
役割分担をきちっとされた模様で、奥様のご親族の方々にも、きっと好印象を持って迎えられたのでは。
と申しますのは、担当者からの報告を伺って、真っ先に思い浮かんだことがありました。
以前、横浜在住の妹様のご主人が危篤状態との、ご相談をいただいた時のことでした。
「実の兄弟以上の付き合いをしていたので、最期の別れを悔いのないものにしたいと、妹と相談しながらのお願いです」とのご相談でしたが、義弟のご実家のことをお尋ねすると、東北地方にお母様もご兄弟もご健在でいらっしゃいますが、長年疎遠になったままの状態とのこと。
しかしながら、ご病気のご報告には、なしのつぶてのご兄弟も、万が一のことに関しては見逃すわけにはいかないご様子で、しかも勝手に進めているのが、奥様のお兄様となれば、血の繋がりがないあなたがなぜ、という目で見られ、双方の思いは益々気まずくなるばかり。
「肝心の妹が動揺しておりますので、これ以上のご相談は無理な状態になってしまいました」と丁重なお詫びのメールをいただいたことが今でも思い出されます。
ご葬儀は好むと好まざるとにかかわらず血縁を意識させられる唯一の場でもあり、ご相談者の立場も微妙です。