最近、家族葬という言葉をよく聞くようになりました。こうした身内を中心とした葬儀が増加している背景には、地域コミュニティーの力が弱まってきているのにともなう近所づきあいの減少や、核家族化による親戚づきあいの減少、少子高齢化ということがあるでしょう。また、費用的に節約するためという面も見逃せません。
家族葬の厳密な定義はありませんが、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、こうした意味合いで使われているように思われます。
規模としては、家族や親族、親しい友人の範囲だけの葬儀ということになりましょう。
家族葬をしてあとあと問題になることが多いのは、「なぜ知らせてくれなかったのか」と友人や親戚に言われたり、弔問客が個々にお線香を上げさせてくれと訪れて、その対応に疲れてしまうということがあることです。
それゆえ、家族葬にする場合は、誰を呼ぶのかを慎重に決めなければなりませんし、呼ばない人へも、失礼のないような形でお知らせする必要があります。たとえば、呼ばないばかりに、「うちは、ご喪家から、そんなに軽く見られているのか」というように、あとあと感情的なしこりを残さないとも限りません。
葬儀は一回しかできない、取り返しがつかないことですし、様々な関係がありますから慎重に考えたほうがよいと思います。葬儀予算を抑えることばかりに気をとられて、人間関係の基本的なことを忘れないよう気をつけたいものです。