昨年来のコロナ禍の中、御葬儀のご様子も大分様変わりの様相を呈してきました。
3密(密閉・密集・密接)を避けるためにも、お身内だけでのお見送りが大半を占める様になり、状況が状況ですので、お伺いする側も本来でしたら、永年のお付き合いでの最期のお別れに、何をおいても馳せ参じるところですが、ご喪家のことをおもんばかって、通夜をご遠慮されたり、お伺いしても、通夜の後のお食事は御辞退されるケースが大半を占める状況とのこと。
御葬儀の担当者に伺うと、最近はご喪家の8割方、「通夜ぶるまい」のお食事を省く傾向にあるとの由。
弔問にお越し頂いた方々にお礼の意味も込め、また故人様を供養する為にも、大いに召し上がって頂くよう、大皿にもられたお料理もすっかり姿を消してしまいました。
更に、通夜を省いた葬儀・告別式の1日葬も多くを占める様になり、出来るだけご出席の方々との接触を避けるためにも、独自の演出はご遠慮され、ご出棺も通り一遍の儀式として取り扱われているご様子との事。
howツウ式のお別れだけが目につく昨今です。
数年前、立会いでお伺いした御葬儀のことが思い浮かばれます。
告別式も無事に済み、最期のお別れの時がやって参りました。
柩を囲んだ数十人の叔父様達は、一気に半世紀前の学生時代にタイムスリップしたかのようです。
上着を脱ぎ、スクラムを組んで、面倒見がよかった先輩の柩を取り囲み、溢れる涙を拭おうともせず、蛮声を張り上げ、応援歌をいつまでもリフレインしていました。
周りを囲んだ参列者も思わず目頭を押さえ、暫しの間その場が告別式であることを忘れさせる程、穏やかな空気に包まれていました。
御葬儀の慌ただしさを忘れ、当方も見とれていると、後からお声がかかりました。
「良いご葬儀だったね・・・」
聞き覚えのある声にハッと我に返り、思わず頷きながら振り向くと、ベテラン担当者が立っていました。
コロナ終焉後を期待しています。