宗教学者の山折哲雄さんが、今週の「日経ビジネス」巻頭の有訓無訓で次のようなことを話しています。
自分自身の言葉で何とか宗教と社会を語れるようになるのに半世紀を要したという山折さん―― 物事、いい時もあれば悪い時もある。それを目先の危機的状況だけに右往左往する。これは何とも情けない。永遠なるものなどなく、世界不況も諸行無常、景気変動の一つにすぎない、と。
凡人からしますと、テレビからの大量の報道に接すれば、この経済社会がどうしても複雑怪奇なものに映り捉えどころがないように見えてしまいますが、本当のところはどうなのでしょうか?
数学の難問を解いて、フィールズ賞を受賞された広中平祐氏は「複雑な現象というのは、単純な事実の投影にすぎない」と言われました。
そういえば、数学の話題で、最近面白いテレビ番組を見ました。NHKスペシャルの再放送で、「100年の難問はなぜ解けたか」です。これまで誰も解けなかった数学の難問「ポアンカレ予想」が証明されたというものでした。「宇宙は最大で8種類の断片からなっている」という命題を解くことを通して、ポアンカレ予想を証明しました。数学の門外漢なので、この問題がどれほど難しいかはわかりませんが、宇宙は最大で8種類の断片というのは強烈な印象でした。複雑怪奇そのものに見える、この宇宙でさえ8種類の断片とは!
話を急に小さくして、身近なところで言えば、「複雑怪奇に見える葬儀業界は、日常の話題に上りにくい事実の投影にすぎない。」であるとか、「複雑怪奇な説明は、説明者の頭の中が整理されていない(もしくは整理することに慣れていない)という事実の投影にすぎない。」というようなことになりましょうか。