コロナ禍の中、残暑お見舞い申し上げます・・・。

 8月に入り、異常なまでの炎天下が続いたかと思えば、一転して局地的な集中豪雨と目まぐるしい天候異変の中、コロナ禍は更に拡大され、お盆の帰省も自粛が要請される昨今ですが、テレビに映し出される帰省客は弁解をしながらも、どこかいそいそとしていらっしゃるご様子が否めません。

 今年の帰省はご遠慮下さいとのお達しも、なかなか浸透するまでにはいかないようです。

 せめて久しぶりの故郷でのご親戚一同、クラス会一同等の集まりだけは避けてほしいものです。

 今、私の手元には1枚の絵はがきがございます。

 「遠い夏の日」とタイトルがつけられた絵葉書には、10年程前、先に御相談されたお兄様の御紹介で、ご自身の万が一の際は当時まだ珍しかった直葬を御希望になり、お見積りをお取りした方の若き日の自画像が描かれています。

 お手紙のやり取りの中、当初漠然とされていたご自身のお気持ちも次第に定まり、「その時はすでに1生が終っており、私自身何一つ携わることが出来ないはずなのに、客観的に冷静に考えて妙にすっきりしました。その時期がいつになるか分かりませんが、いつか必ずお世話にあずかりますこと・・・」と絵葉書には記されています。

 絵葉書の少女の御希望は「万が一の際は火葬場に直行し、無宗教で家族に見守られて見送ってもらえれば・・・。お墓は20年前主人が亡くなった際、川口湖近くの霊園に購入済み・・・」との由。

 あれから幾年かの歳月が過ぎましたが、今年も後を託された息子さんからのご連絡が無いことを祈りながら、ひとり絵葉書に見入っております。

 絵葉書は真夏の太陽の下、背丈以上もある赤と黄色のカンナの花咲く中を白い服の少女がスケッチブックを片手に毅然と前を見据えて佇んでいます。