紹介センターとゲームの理論

 先日、東京ビッグサイトで行われた東京都産業交流展に行ってきました。知り合いが出展していたこともありますが、基調講演をした経済学者の伊藤元重さんの講演も聞きたかったからです。

 講演し慣れているということもあるでしょうが、マーケティングにも詳しい先生らしく、どうしたら長時間の講演でも聴く人を飽きさせないかをよくわきまえて話を展開していました。
 連発していたのが「知っていますか? どうして○○○なのかを」です。裏話も交えながら次から次へと繰り出していました。
 ○○○には、たとえば、「テレビに出てくるエコノミストと呼ばれる人はあんな悲観的なことばかり話しているのか」とか、「日本が先進国の中でも最悪の財政赤字になってしまっているのか」や、「貧困率の数字が何を物語っているか」、「ある銀行が合併した時、システム統合で大混乱をもたらすだろうと言われていたが、大した混乱がなかったのはなぜか」・・・等などです。
 テレビや紙媒体ほど慎重に発言しなくてもいいからかもしれませんが、持ってまわった言い方もないので、わかりやすく、ざっくりと世の中の流れが、わかるので大助かりでした。

 私は、伊藤さんの日経流通新聞(現・日経MJ)での連載コラムを読んで以来、世の中に起こっているミクロ・マクロの経済現象をわかりやすく解説してくれる人だと感心していました。

 伊藤さんの著書の中で一番のお気に入りは、「ビジネス・エコノミクス」(日本経済新聞社 2004年)という本です。ビジネスの世界で起こっている様々な現象(小は吉野家の牛丼の値付けの話から、大は多国籍企業の貿易摩擦まで)について経済学的な見方を提示しています。伝統的な価格理論や、近年になった急速な発展を遂げてきた不完全情報の経済学やゲームの理論などによって、様々なビジネス現象を読み解いています。

 この中のゲームの理論で経済現象を理解するところは、あさがお紹介センターの位置づけを考える上で参考になりました。

 自分の行った行為が相手に影響を及ぼし、それは結局自分に返ってくる。その相互作用のメカニズムについてどのように理解するかということでゲーム理論が利用されます。囚人のジレンマが有名です。

 ちなみに、囚人のジレンマに陥らないためには継続的関係がキーワードです。

 葬儀において、一般的に、喪家は葬儀社とは、継続的な関係にはありません。リピートといってもいつになるかわかりません。
 とすると、葬儀者側は1回勝負でそのときに暴利をむさぼろうとする誘因が出てくる可能性があります。
 実際にはそうでないとしても、喪家側はそうした不安が頭をよぎるかもしれません。しかしながら、あさがお紹介センターと葬儀社は継続的な関係にあるらしいので、変なところは長い間には排除されている可能性が高そうだ。とすれば、リスクが少なくてすむだろう、という思いもあるのではないでしょうか。当センターが、利用される理由の一つになっている感じがしています。

 それにしても、あさがお紹介センターもゲームの理論で読み解けるとは思いもよりませんでした。