森繁久弥さんに続き「ターキー」こと水の江瀧子さんの訃報が知らされました。
水の江さんがご自分の生前葬を森繁さんの葬儀委員長のもと盛大に執り行ったことでマスコミを賑わしたのは今から16年前。そのお2人がくしくも前後して旅立たれてしまわれました。
最近は昭和の時代に活躍された方の青春時代を知る人も少なくなってしまったようです。
かつて一緒に過ごした仲間の方から伺ったことが色々思い出されます。
それは今、昭和の時代ともてはやされている60年代をさらにさかのぼること15年。
森繁さんがムーラン・ルージュ、NHK[愉快な仲間]でブレイクする前のことでした。
森繁久弥さん、芦田伸介さんなどの大連からの引きあげ組を中心にアンデルセンの童話劇を公演し、打ち上げパーティでは新劇組と大論争になった話など。
森繁さんは話術の達者な飄逸な持ち味があったが、演出どおりに演じない羽目はずしやアドリブ風のやり方に正攻法の新劇組とは相容れないところがあったようです。
それでも付き合いは面白く、大陸帰りのどことなく器が大きく茫洋としているところに風情があり、飲むほどにその視線ははるか草原へ注がれている感じだったと聞きます。
森繁さんの話術、そのリズムは韻を踏んでいるようなところがあり、よく口ずさんでいた「テアトル・コメディアン」のテーマ曲はセンチメンタルで時代状況とマッチし、胸にこみ上げるものがあったと懐かしがっておりました。
皆が無名だったころの青春譜の1ページでした。 合掌。